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短編小説『令和5年8月3日の京極新聞』

緊急事態宣言が発令された6都府県で、新型コロナウイルスに感染して自宅療養している人が約12万人に上ることが2日、分かった。先月21日時点では約4万人で、わずか10日余りで3倍に急増した。感染力の強い日本由来のUTAMARO株による「第六十九波」で感染拡大に歯止めがかからないことが背景。自宅療養者がさらに増える可能性があるほか、医療体制の逼迫も懸念される。

新型コロナウイルスの「第六十九波」が全国各地に波及しつつある。1日当たりの新規感染者数はこの1週間弱で、京都など27都府県が過去最多を更新。緊急事態宣言の対象は2日、6都府県に拡大した。政府は飛沫防止のため、飛沫が飛びやすいとされる「ぱ音」「ば音」「か音」ではじまる語を発することを禁止する「ぱばか禁止法」を施行したところだが、現状、効果は表れていない。なお、「ぱばか禁止法」では「ぱ音」「ば音」「か音」の発音が禁止されているため、話す際には「例の音たちは発音無理法」、あるいは略して「無理法」と呼ばれる。

夏休みで人の移動が増え、地方にも新型コロナウイルス感染が広がる恐れが高まっている。全国知事会は旅行や帰省を原則中止、延期するよう国民に求めるメッセージを出したが、「感染拡大をストップさせるためにも旅行や帰省は控えていただく」と「無理法」で禁止されている「か音」「ぱ音」を多用したため、バッシングの嵐となり、京都市内でも繁華街である四条河原町界隈で「か音」「ば音」「ぱ音」の言葉のみでしりとりしながら行進するデモがあった。

「都道府・・・都道府とあともう一つ皆さん周知のあれのボーダーラインを越(えっ)するのは、"何"を広めるのと同じだ」と知事会会合では、言葉を選びながら京都府知事が声明を発した。「ニホンのみなさんとウイルスのわざわいはとても危ないよという思いをシェアする強いメッセージを必要とする」と絶妙に「ば音」「ぱ音」「か音」を外しながらの賛同意見が相次いだ。少しでも禁止された音を発すると容赦のない誹謗中傷に晒されるため、発言には慎重にならざるをえない。

首都圏で急激に感染者数が増える中、人々の往来活発化で感染力の強いUTAMARO株が地方にも拡大し、医療体制が崩壊するという懸念がある。UTAMARO株の他にも日本由来のNINJA株、HARAKIRI株、OHKINA株などへの対策も後手に回る。カロ藤官房長官は2日、記者会見で県境を越えた移動は「できるだけ避けてほしい」と言いたかったのであるが、うまい言い換えが思いつかず、目力で思いの丈を訴えるにとどめた。

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※本日8月3日の京都新聞の記事をベースにしている部分があります。

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