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食品ロスの仕組みを聞いた話をフィクション風にまとめた話
「500円弁当はありがたいっすよね。ワンコインでお肉も野菜も、もちろんご飯もあるし。でも付け合わせのキャベツがほんまに悪いけど全然美味しくないんですよね。もったいないとは思いますけど、あれは残してしまいます」
「え?涌井亭のお弁当ですか?いやー、あれは助かります。だって500円やもん。そんな贅沢言わへんけどあれはなかなか美味いで。せやけどキャベツの千切りはほんまに不味い。まあ、別に食わんかったらええことなんで、あんまり気にはしてないですけど」
「たまにスーパーのお弁当買って食べますけど、年々クオリティが上がってる気がしますね。我が家は土日のお昼は子供たちも喜ぶのでフラスコのとんかつ弁当をけっこう買います。え?キャベツですか?うーん、あんまり考えたことないですけど、まぁ、子供たちは食べないですね」
どのお弁当にも使われているキャベツの千切りを作っているのは小真食品である。美味しいキャベツを食卓へ運ぶことなど微塵も考えてはいない。とにかく安く安く、どこの会社よりも安く価格を抑えることでシェアを伸ばしている。噂によると従業員の給料は時給に換算すると350円ほどと、ラジオディレクター並みの劣悪さらしい。
しかし、人件費を抑え、あらゆるコストを削減した結果、国内で最も安価にキャベツの千切りを作ることに成功し、その安さゆえ、お弁当業界の8割5分は付け合わせのキャベツの千切りを小真食品に発注しているのだが、最大の欠点は不味いことであり、ある調査によれば、小真食品のキャベツの千切りは、実にその9割5分が、食べられることなく廃棄されているらしい。
安いが故に流通しまくり、消費者には喜ばれるにも拘らず、それは消費者の胃袋に入ることはなく、ゴミ袋に直行する。つまり、小真食品は、あらゆる経費を削減しながら、ゴミを生産している。ある取材で「もったいないとは思わないんですか」との問いに社長の三嶋氏は「僕らは儲けるためにやってるんですわ。食べてもらうためにやってませんねん。削れるとこ削っていまや業界のシェアNo.1なんでっさかいに次はレタスやらもやしやらもやったりましょかね!ぐへへへへへ」と鼻息が荒かったという。
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