京都のパン屋さん アンジュール桃の木
年間パン消費量1位を毎年神戸市と争っている京都市はパン屋の名店が多い。どんな店でも入ってみればよい。美味しいから。
美味しいのは当たり前、そこから「私のお気に入り」を見つけることができるのが京都市内在住の嬉しいところなのである。
なんの目的もなく、市内をぶらり三十分ほど歩いておれば、どこかしらにパン屋さんが出現する。なんせ全国でいちばんパンの売れる町なんである。それだけパン屋さんが多くなる。松坂大輔という怪物がいたおかげで「松坂世代」と呼ばれるほど名選手が多数出現したあの世代と理屈は同じであるといえる。
白川今出川の交差点は東へ少し行けば哲学の道と銀閣寺、ほんの少し北へ歩けば東側にあるのが「アンジュール 桃の木」、名前だけでは想像しにくいがパン屋さんである。
庇屋根に張ってあるブラウンの幕に、雑誌ananのフォントっぽいフォントでan jour Momonokiと書いてあり、背景には桃が描かれている。その下にはDebut 1994と書いてあるから、1994年にオープンしたんだろう。令和オープンのパン屋さんにはこの命名はできないし、あのフォントも使えない。平成も90年代もいつの間にか随分とノスタルジィを匂わせてくるようになった。この感じが好きなのだ。私がゴキブリだったら90年代テイストを匂わせてくれたらすぐにそのホイホイに入り込むことだろう。
割れた腹筋みたいなジャンボフランク、地元感漂う大文字バニラクリーム、甘ったるそうで見てるだけでうっとりしてくる小倉あん&ミルククリーム、どれも美味そうでどれもをミックスさせた匂いがたまらない。この匂いは平成も令和も変わらない。
食パンは好みの厚さにスライスしてくれる、その名も「シルクブレッド」。しっとりきめ細かい絹のような、ということだろう。桃の木の下にシルクみたいなパン、これぞ令和に受け継がれる平成の御伽話なのだ。
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