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かとちゃん
学生時代からの友人が亡くなりました。立命館大学文学部、今はもう無い人文総合科学系(インスティテュート)という学科の同級生でもあり、同じバンドサークルに所属し、同じマジシャンズというバンドで活動してもいました、同じゴミの収集のアルバイトもしていました。
と書くと、えらい仲が良かった親友という感じがしますが、そこまで仲が良かったわけではありません。2人で遊んだりとか、そういうことはほとんど無かったと思います。それでもバンドを止めてからも、私のライブイベントには来てくれたりもしたし、逆にそれ以外では会うことは無くなっていて、最後に会ったのも確か、前々回の自主企画イベントの時だったと思います。前回は誘ったけど来なかった。
亡くなったのを知ったのが日曜日(8月15日)のことで、ゴミ収集のアルバイトをしていた頃の先輩で、今も交流のある方から電話がありました。それによると、8月10日に亡くなり、12日には家族のみの葬儀を終えたとのこと。コロナ禍ということもあり、友人知人が来ても対応が難しいということもあったのか、事情はわかりかねますが、私に知らせてくれた先輩に連絡があったのも、全て終えてからであったのでした。
よく遅刻をする男で、バンドで最初のレコーディングをするって日にも遅刻してきたものですから、録音ブースでいざギターを弾こうとしている彼に向かってヘッドフォン越しに「何考えとるんじゃおまえは」とキレまくったところ、案の定、ギターがガタガタで収録が上手くいかないこともありました。
ライブ中に私がふざけて彼の唇を奪おうとしたところ、そういうノリに対してはしっかりと答えてくれるようなところもある男でした。
学生時代は大学東門を出てすぐの交差点を南に下がったあたりのアパートの1階に住んでおり、窓を開けているのをいいことに、窓から勝手に上がりこんだりもしました。やがて彼の部屋は同級生やサークル仲間の溜まり場となりました。
男前だった割には女性には奥手なところもあり、ある日、彼は「今日こそはあの娘に思いの丈を伝えるのだ」と意気込んでその娘に会ったにも拘らず、結局何を伝えることもできなかったのを悔やみ、1人、大将軍あたりにあった(今もあるのかしら)蒋陽というラーメン屋へ行き、生ビールを注文しました。酒を飲めないくせに生ビールを注文しました。
後輩に慕われており、みんなから「ちゃん付け」で呼ばれていました。卒業してしばらく経ってから、同級生の男3人で花園にあるアパートでルームシェアをしていましたが、その時は、これまた我々の溜まり場になり、年がら年中、毎週月曜日には必ずここで鍋を囲みました。そうはいっても彼はパチスロ稼業に忙しかったため、みんなで一緒に鍋を囲んでいる時にはおらず、店が閉まって帰ってきたら残り物を食うといった具合でした。
お酒を飲まないから、バンドで東京へライブしに行く時なんかは、運転はほぼ彼に任せていたように思います。たまに私が運転することになった時に限って、あれは京都へ帰る途中だったと思いますが、箱根あたりを移動中、高速道路で深い霧に包まれ、5m先も見えないという状況の中、運転をする私の隣でベースのみっちー(女性)は延々お経を唱えていたような気がする。
私は楽器が弾けないくせに曲を作っており、そのうえ、今にして思えば極度に音痴だったわけですが、そんな私が鼻歌で伝えたメロディをコードにして曲の骨組みを仕上げてくれるのも彼の仕事でした。あんなことを快く(だったかどうかはもはやわからないが)引き受けてくれていなければ、マジシャンズというバンドもなかったのではないかと思う。
時系列もめちゃくちゃで思い出したことから順番に書き連ねてしまいました。ここ数日、YOASOBIでも桑田佳祐でもイエローモンキーでもマイケルジャクソンでも、切ない歌を聴くたびにすべて彼のことが思い出され、泣いてしまう。
心の整理の付かないなか、Twitterであまりにも軽々しく彼が亡くなったことについて触れているツイートを見て、悪気は無いんやろうが、その軽さはなんやねんと怒り心頭に発するに至り、彼が亡くなったことについて、自分なりにこの数日、向き合ったことを書き記しておかねばならぬと思った次第です。
コロナ禍で無ければ、あの頃のみんなで月曜日に鍋でもしたいところですが、それが叶わぬ今、好きな女の子に思いを伝えることができなかった設定で蒋陽へ行き、生ビールを飲むことに決めた。
#令和3年8月17日 #コラム #エッセイ
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