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「若者のすべて」が流れ始める頃

 風が吹いたら桶屋が儲かるとかバタフライ現象とか、一見関係のないもの同士に実は因果関係があるというのは齢を重ねるほど妙に納得をしてしまうといいますか、それってつまり、やはり真実なのだろうなと思うのです。
 僕は学生時分、ドラゴンクエスト6ばかりやっておりまして、プレイする間はずっとローリングストーンズのベストアルバムを聴いておったんですが、おかげでいまだにローリングストーンズを聴くたびドラクエを思い出してしまいます。6は石版を集める物語だったのでストーンと繋がりやすいというのもあるかもしれません。Time is on my sideを聴きながら無為の時間を過ごしていました。
 真夏のピークが去った頃、ラジオで必ず流れるのがフジファブリックの「若者のすべて」。あの曲の歌詞が若者のすべてのはずがないと若い頃は思っていましたが、今聴いてみると確かにそうなのかもしれないという節もあり、それってつまり、やはり真実なのだろうなと思うのです。
 「若者のすべて」が流れ始める頃、僕の友人が亡くなりました。いや、亡くなったことを知ったのが八月の今時分のことで、去年は彼を知る同級生や後輩と墓参りに行ったのでした。若かりし頃、三十代の手前まで一緒にバンドをやっており、彼はギター、僕は歌。作曲なんてやったことのない僕の下手くそで碌に音をとれていないメロディを耳コピしてコードをとり、曲にしてくれました。大学の近く、小松原公園という小さな公園のすぐ側に住んでおり、友人たちの溜まり場になっていました。僕もよく遊びに行きました。
 そうかといって、いつもいつでも一緒にいたというような間柄ではなく、バンドをやめてからはだんだんと疎遠になり、同じバイトを僕がやめてからはほとんど連絡を取り合うこともなくなっていました。「若者のすべて」を聴くたび、僕は彼のことを思い出すのです。

「若者のすべて」が夏を終わらせり

蠱惑暇(こわくいとま)

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