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短編小説『時代遅れ』

結婚式の司会の仕事をしている方に聞いたが、近頃は新郎新婦の馴れ初めが「マッチングアプリ」ということが実に多いらしい。41歳の私は「マッチングアプリ」といえば、何やらいかがわしいものと思ってしまうが、10歳も下になると、もっとカジュアルに捉えているものらしい。そのうち、人と人がお付き合いをするためには、いきなり直接話しをすることのほうが「はしたない」と言われるような時代が来るのかもしれない。



知らない人には直接話しかけられても絶対に答えちゃいけません!知らない人とは、まず、インターネットの世界で知り合いになりなさい。え?通学路の交差点で旗当番してるおじさんに声を掛けられた?まぁ!なんて非常識なおじさんなんでしょう!おじさんっていくつくらいのおじさんなの!?おじいちゃんやて?ほら、やっぱりや!おじいちゃんおばあちゃんの時代にはインターネットが無かったから、みんないきなり直接話してたんやけど、もう時代は違うねん!同じおじいちゃんでも坂本さんのとこなんかは、ちゃんとインターネット使いはるのになー。あんたもよー覚えとき!物事には順番があるねん。ええか、まずネットや。ネットに登録して、人柄とか思想とか宗教とか右とか左とか、好きな作家とかをちゃんと見ておくんや。ちゃんと確認したうえで、この人なら大丈夫やな。っていう人とだけ、直に交流するんやで。だいたい、そういう順番抜かしするやつは、碌にマスクも着けへんし、たぶんセックスの時もコンドームを着けへんねん。チャリンコ逆走でスマホ見ながらタバコ咥えてイヤホンで音楽聴いたりするねん。ええか!生身の人間ほど怖いもんは無いんやからな!大人になるまではインターネットの世界で人間関係の勉強をしとくんやで!



結婚式の司会の仕事をしている方に聞きましたが、近頃は新郎新婦が出会うことさえ無いらしいんですよね。「ファッキングアプリ」っていうのがあって、とりあえずネット上で"やる"んですよ。そしたらお互いの体の相性が数値化されて、平均90点以上が弾き出されたら、ネットで子作りしようかって話になるらしくて。それで子作りする前には道徳的にも結婚はしとかなあかんやろーということで、ネット上で結婚するんやって。全部ネット上で完結するのに、昭和世代のじいちゃんばあちゃんが許さへんから、とりあえず、式場は借りて、形式だけリアルの世界で式を挙げるっていうパターンが増えたらしい。親族だけ出席して、新郎新婦は不参加でパソコンが1台置いてあるのが最近の主流らしい。「できちゃった結婚」やっていうカップルの式はさすがにパソコンが2台あったらしいけど。

#令和3年9月17日  #コラム #日記 #エッセイ
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