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構造計算を行わない「普通」、「今まで」とはなにか?

構造計算を行わない建築士や建築業者が
「普通」という言葉で構造計算結果を否定することがあります。

構造計算を行い、大きな断面の梁が出ると
「普通はこんな大きな梁が出ない」と言われます。

基礎がゴツくなると
「普通はこんなゴツい基礎にならない」と言われます。

構造計算を行い、吹き抜けが大きすぎることにより水平構面がNGとなると「今まではこのくらいの大きさの吹き抜けをつくっていたのに」と言われます。

構造計算を行わず勝手に決めた梁断面を「普通」と位置づける意味がわかりません。
構造計算を行わずに勝手に決めた基礎を「普通」と位置づける意味がわかりません。
あなたは何を基準に話をしているのですか??

構造計算で算出される梁の断面、基礎の大きさが、安全性を確保した「普通」なのです。

その安全性を確保した「普通」を「過剰」と捉えていることは危険なことです。

なぜなら、
安全性を無視したいわゆる「過小」を「普通」と勝手に決め構造物である住宅をつくるのですから危険な行為そのものです。

まずは、
構造計算の結果を「普通」と捉え、
なぜ、あなたの「普通」と違ったのかを考えてください。

例えば、
梁の断面が大きくなる原因は、梁のスパンが大きいこと、梁に大きな荷重が作用していることです。
特に2階の床梁が大きくなる原因は柱の直下率の悪さです。
上下階の柱位置がズレていませんか?
柱の位置がズレているから2階の床梁は大きくなります。
この原因は構造計算ではなく「間取り」ですよね。

基礎が大きくなる原因も、同様に間取りです。
梁や基礎など、構造部分が大きくなると感じるのであれば、
構造計算をやめるのではなく構造計画ルールに基づいた間取り作成を実践してください。
構造を無視して自由設計を謳い、絵を描いているうちは構造のスリム化は見込めません。

もうひとつ考えてほしいことは、
自分の考える「普通」に根拠がないことです。
ここで考える「普通」は、今までこんな感じだったという感覚的なことのはず。
この感覚を裏付けることは、今まで何も問題がなかった、だと思います。
今までの問題無しは、運良く何もなかっただけかもしれないし、問題が発生していても顕在化されていないだけかもしれません。

根拠なき「普通」は「異常」なのだと気がついてください。
そして構造計算は過剰なことを行うものではなく「普通のこと」、「当たり前のこと」として標準化してください。

構造の影響で被害を受けるのはお客様なのですから。

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