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想定外で逃げるな!

地震が起こるたびに出てくる言葉に「想定外」があります。
2011年に発生した東日本大震災では、
「想定外」の大津波による甚大な被害が出ました。

2016年に発生した熊本地震では震度7が2回連続で発生する「想定外」の地震でした。

2024年に発生した能登半島地震では、
新潟市の西区、石川県の内灘町において液状化による側方流動が発生する「想定外」の地震でした。

実はこの「想定外」ですが、
2011年の東日本大震災による「想定外」の津波被害、
2016年の熊本地震による「想定外」の震度7の連続発生は、
まさに「想定外」だったと思われます。

しかし、
2024年の能登半島地震による液状化の側方流動は、
砂丘のヘリという側方流動が発生する場所で「想定内」で発生しています。
地震被害による「想定外」は、工学的に、専門家内でも「想定外」の場合と、工学的、専門家内では「想定内」でけれど、一般的に「想定外」とが存在するのかもしれません。

そこで、
木造住宅の倒壊について考えてみます。
木造住宅の倒壊には「想定外」は存在しないと考えています。
あくまでも木造住宅の耐震性能が原因による倒壊についてです。

地震で倒壊する木造住宅は「耐震性能不足」が主たる原因です。
建築基準法の要求性能では、最低基準の耐震等級1の場合、
「極稀に発生する大地震(震度6強から7程度)において、倒壊・崩壊しない程度」としています。
これは、
構造躯体の損傷を許容しているということで、
震度6強から7程度の地震が発生すると耐震等級1の木造住宅は構造躯体が損傷するため耐震性能は低下する、しかし、一度だけは倒壊・崩壊せず命を守るという意味です。

2016年の熊本地震では、
4月14日の震度7で耐震等級1の木造住宅は構造躯体が損傷したけれど倒壊・崩壊せず命を守り、4月16の震度7で倒壊しました。

他の木造住宅もその後に発生する余震(現在は余震は使わず地震で統一)で倒壊していきました。
これはまさに「想定内」なのです。

しかし、
要求性能を理解せず、過去の地震被害を学ばず耐震等級1で十分とする建築士や建築業者も多く存在します。
自身の建築するエリアで大地震が発生していないだけなのに
「過去に地震で倒れた建物はない」と言い、
耐震等級1で十分という考えです。

そんな耐震等級1でも十分という建築士や建築業者の建築エリアで大地震が発生し、安全と豪語していた耐震等級1の木造住宅が倒壊すると必ず言うのが「想定外」の地震だったという言い訳です。

自分の建てた木造住宅が倒壊するはずないという絶対的自信と保身から、
「想定外」の地震と言い訳をします。

繰り返しますが、
耐震等級1の木造住宅の倒壊は「想定内」です。
「想定外」と言い訳するのはやめましょう!

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