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快適は気が付かないこと
快適な状態は「快適だ」と気が付いていないことが多いのです。
気が付く快適は、いずれ不快になることもあります。
温泉に入ると快適です。
しかし、入り続けていると熱さにのぼせてきます。
多分、
本当に快適な状態とは気が付かないことなのだと思います。
例えば、きれいなガラス窓は、外が良く見えます。
この状態で「ガラスがきれい」とは気が付かないと思います。
しかし、
ガラスが汚れてくると「ガラスが汚い」と不快は気が付きます。
鏡も同様です。
きれいな鏡は「鏡がきれい」と気が付かないと思います。
しかし、
鏡が汚れてくると「鏡が汚い」と、不快は気が付きます。
住宅の断熱性能も同様です。
快適な状態の住環境は「快適」と気が付きません。
住宅の場合「夏涼しく冬暖かい」とのキャッチフレーズがありますが、
夏涼しく感じる住宅は、いずれ寒くなります。
冬暖かく感じる住宅は、いずれ暑くなります。
本当に快適な住環境とは、
「夏も冬も感じない」ここがポイントなのだと思います。
住宅の快適を目指すならば、「快適は気が付かない」ことを意識し、
その事実をお施主様に伝えることが大切です。
この事実に気が付いたのは数年前です。
省エネ性能に拘る建築業者のモデルハウスでのことです。
年に数回モデルハウスにお邪魔していました。
冬はマイナスになる地域、夏は40度を超える地域です。
極寒の屋外からモデルハウスに入ったとき、
「暖かい」とは感じませんでした(当然、寒くも感じません)。
40度近い猛暑日もモデルハウスに入ったとき、
「涼しい」とは感じませんでした(当然、暑くも感じません)。
しかし、
この厳しい外気からモデルハウスに入る経験を何度かしているうちに気が付いたことが「快適は感じない」ということでした。
省エネ性能は突き詰めると「感じない」ところに行きつくのだと思いました。
それに比べ、
耐震性能は難しいですね。
そもそも何も感じないのが耐震性能です。
耐震性能が低くても高くても、何も感じない。
大きな地震が発生したその時に、耐震性能による被害の大小が出ます。
そのタイミングまで何もわかりません。
耐震性能は逆に言えば、常時感じてほしいと思います。
耐震性能が高い住宅は「安心を感じる」みたいに、
常時体感できるのならば、
もっと耐震性能を求める機運が高まるかもしれません。
快適さとは真逆の話になっていますが、
耐震性能はぜひとも感じてほしいと思っています。
がっちり守ってくれる家、安心感抜群の家、
耐震性能の体感があるといいですね。