構造計算がコストアップ原因という誤解
木造住宅は構造計算をされずに建てられてきた歴史があります。
構造計算経験が少ない建物は、構造計画という概念がない。
そのため、間取り作成を行う設計者は、
自由設計と称し構造計画を無視したメチャクチャな絵を描く。
それを構造計算すると力業(ちからわざ)の構造計算となり、
大きな梁が出る、ごつい基礎が出てきてコストアップに繋がります。
しかし、
この全体像が見えていない設計者の多くは、
構造計算すると大きは梁が出る、ごつい基礎が出る、
「構造計算はコストアップ」と言い出す始末。
これは大きな間違いです。
大きな梁が出る原因は柱の直下率が悪いから。
柱の直下率とは、上下階の柱の揃っている割合です。
2階の柱が30本あるがある場合、
30本すべての真下に1階の柱がある場合は、柱直下率100%、
15本揃っていたら、柱直下率50%、
一本も揃っていなければ、柱直下率0%となります。
上下階の柱がズレているということは、
2階の柱を2階の床梁が受けます。
そうすると2階の床梁は大きな断面になります。
構造計算の段階で、わざわざ上下階の柱位置をズラしません。
間取りの通りの柱配置で構造計算したら、
2階の柱がズレていることで大きな梁断面になった「結果論」なのです。
したがって、
大きな梁が出る原因は構造計算ではなく構造計画を行わずに作成した「間取り」なのです。
ゴツい基礎になる原因は、これもまた構造計画を無視した間取りです。
基礎は鉄筋コンクリート構造です。
鉄筋コンクリートの基本構造は、
四角いスラブ、スラブ周囲に梁、スラブの四隅に柱です。
これを逆さまにしたものが「べた基礎」です。
したがって、
べた基礎の基本構造は四角いスラブ、スラブ周囲に基礎梁、スラブの四隅に柱なのです。
木造2階建ての場合、
スラブの大きさは4P×6P(3.64m×5.46m)を最大区画と考えてください(スラブ厚さ150mm、シングル配筋)。
べた基礎が正しくできるかを1階の間取りでチェックできます。
1階間取りにスラブ最大区画4P×6Pで四角形を描いていきます。
このスラブ区画四隅に柱がなければ、
その間取りでは正しい構造のべた基礎はできません。
では、そんな間取りでどのようにべた基礎をつくるのかといえば、
スラブ四隅に柱がない部分は、
基礎梁(一次梁)を基礎梁(二次梁)で受ける構造として構造計算を行います。
そのため、ゴツい基礎梁が出てきます。
木部の梁同様に、
ゴツい基礎が出る原因は構造計算ではなく、
構造計画を行わずに作成した「間取り」なのです。
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