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二三味ゆきね(にざみゆきね)
2024年6月24日 10:15
靴音が響く度に、からくり人形である少女の足下の血溜まりが、小さく揺れる。からくりの少女は笑みを浮かべ、ずるずると息も絶え絶えな術者の襟をつかんで引きずった。その術者の胸部からは血が流れていて、つんと鉄臭い。「ねー、封印の間はこっチ-?」 少女は引きずっている術者に声をかける。だが、術者はわずかに首を振り答えない。「ねー、こたえテヨ-!」「……ぐ」 わざと傷に響くように、少女は背後の男
2024年8月22日 11:35
それは、とおいとおい、むかしむかしのお話。 あるところに、それはそれは栄えた家から逃げ出した青年がおりました。 青年は、本来その家の人間には相応しくない力を宿しておりました。 彼はその身に宿した「妖力」を疎まれ、蔑まれ、彼の母は彼を産んだことを責められました。 彼は成人する頃、自分はこの家を出ていくから、どうか母だけは許して欲しい、と父の前で泣きながら両手をつき、頭を床に擦り付け
2024年8月22日 11:38
酒呑童子の妖力。それはとてつもなく強大であり、邪悪でした。 手頃な人間、もとい、封印の警備をしていた術者に乗り移った酒呑童子。彼は、瑞雅(みずまさ)を小脇に抱えて歩き出します。 術者の面影はすでに消え去り、額には立派な二本の角が生えておりました。「おい、坊主」 瑞雅を抱えた腕を振りながら、酒呑童子は低い声で唸るように言いました。「……」 瑞雅は、全てを諦めた表情で何も