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十二支とボクら

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「十二支」「令和初期っぽい」「妖怪」をテーマに書いていきます。 どのお話を読むか迷った際は、メインストーリー「黒山家の秘密」をおすすめします。
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2024年8月の記事一覧

猫又の記憶の断片 その1

猫又の記憶の断片 その1

 それは、とおいとおい、むかしむかしのお話。

 あるところに、それはそれは栄えた家から逃げ出した青年がおりました。

 青年は、本来その家の人間には相応しくない力を宿しておりました。

 彼はその身に宿した「妖力」を疎まれ、蔑まれ、彼の母は彼を産んだことを責められました。

 彼は成人する頃、自分はこの家を出ていくから、どうか母だけは許して欲しい、と父の前で泣きながら両手をつき、頭を床に擦り付け

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猫麻呂の記憶の断片 その2

猫麻呂の記憶の断片 その2

 酒呑童子の妖力。それはとてつもなく強大であり、邪悪でした。

 手頃な人間、もとい、封印の警備をしていた術者に乗り移った酒呑童子。

彼は、瑞雅(みずまさ)を小脇に抱えて歩き出します。

 術者の面影はすでに消え去り、額には立派な二本の角が生えておりました。

「おい、坊主」

 瑞雅を抱えた腕を振りながら、酒呑童子は低い声で唸るように言いました。

「……」

 瑞雅は、全てを諦めた表情で何も

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