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残酷な妹、それが私。

「なんで生きてるのよ。死んでよ」
姉にそう言ったことがある。
ソファに座り、姉はじっと絨毯の一点を見て、時々私の方を怪訝にちらっと見る。
その、私の様子を伺う視線が、私をさらにいらつかせた。
ソファのそばの、ダイニングテーブルの椅子に座った私は、姉を睨みつける。
「あんたがどんだけ私の人生をだめにしてるかわかってるの。
お願いだから死んでよ、ねえ」
姉はじっと一点を見ている。
「ねえ死んでよ、お願いだから」
何度もそう言った。
姉は黙っていた。

なんて残酷な妹なんだろう。
実の姉にそんなひどいことを言った経験のある妹はこの世の中で何人ぐらいいるのだろう。

30歳を過ぎたばかりの当時の私は、結婚を考えていた相手に、姉のことをどうしても打ち明けられなかった。
そのうち相手との関係がぎくしゃくし始め、結局別れてしまった。
私は自分の将来に絶望していた。

なんで私がこんな想いを私がしなければならないのだろう。
私が悪い訳ではないのに。
私は何もしていないのに。
なんで姉は普通じゃなかったのだろう。

その想いが、私の内部を猛烈に荒らす。
私の口を開かせ、残酷な言葉を姉に容赦なく何度も投げつけさせる。
「なんで生きてるのよ。早く死んでよ」
なんで
なんで
なんで

涙と鼻水でぐちゃぐちゃな顔になりながら、姉を攻め続ける。
姉はじっと一点を見ている。

姉に対してどう振る舞えばいいのか、だれかに正解を教えて欲しかった。
正解なんてあるかわからないけど。



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