この世で一番怖いもの。
この世で一番怖いもの。
それは、プライベートアドレスに届く母からのメール。
メールボックスを開き、母からのメールが届いていると、
私の気持ちは重い鉛をつけられたかのように、どんよりとゆっくり沈んでいく。
姉の病状、そしてそれに対峙する自分がどれだけ辛いかが書かれたメール。
他人をも自分の辛い状況に引きずりこむような、読む人の気持ちを全く考えないメールに、私は返信する気力をなくす。母の気持ちを受け止めてあげられなくて、悪い娘だとは思うけれど。
悪い娘だと思う一方で、家族のことで辛かった時、その思いを母に受け止めてもらったという記憶はないな、と思う自分がいる。
私が姉のことで将来に絶望した時、家族なのにそんなことを思うのはおかしいとむしろ私を責め、悩む私を受け入れなかった。私はきょうだい児としてどう生きていjくのかを、一人でもがき、自分の心の中で葛藤し、模索してきた。
母と私には、感情的に激しいやりとりをした過去がある。
姉がこの世を去る準備を始めている。
私は母のメールに返信ができない。