八年前の稽古日誌。
本日の稽古終了。
二の腕の裏の筋肉が痛い。
足の裏の中で、一時も留まらないように運び続ける。軸は一時も留まらず、右纏左旋をし続ける。歩み足、継ぎ足、踏み足、撞木足、前へ出て、斜めにさばいて、一重の身になって、また円を描き廻っての打ち込み。八双、正眼。
スナップでは無い、締めを利かせた打ちがやっと理解できた。
両手を束ねて柔の稽古。
どこが自分の技の効く範囲で、そこから知らない間に誘い出される恐怖。
中心で攻めながら、入り身が完了されている。気がつけば天井を見たり、地べたに頭を打ち付けたり・・・もうこうなると、殆ど気の修錬。力んだ、詰まったら速効アウトである。
今日ははじめて師から一本を頂く。100本中の一本だが、自分にとってはゼロから飛躍の一。大きい一歩。師も喜んで下さった。情けなさ、忝さ、嬉しさ…悲喜こもごもでちょっと眼がしらが紅くなる。
親指側での詰めと、乗り込み、またそれを返す技術。
技術技術技術・・・どこまでも先人の開拓した跡が続いている。
秘の打ちを伝授される。
あまりにも効くので笑ってしまう。指一本で制するとは、実にこう云う事だったかと納得。
しかし、これを出来るようにして行くにはどんだけの精錬が必要なのだろうか・・・知ってはいるが使えない、というのは危険だからというわけじゃなく、本当に鍛えた人でないと却って墓穴を掘るからということも納得。
稽古の後、恒例のお楽しみ。今日は白と赤、2本開けた。
ニンニクの黒焼き、ゴルゴンゾーラチーズ、ほうれんそうとブロッコリーの中華風サラダ柚子胡椒風味、中華風大根のきんぴら、ペペロンチーニ・・・師との昼食の機会もあとわずか。喜んで上がって下さることに感謝。
奥様を大事にしなさいよ・・・人間の基本は夫婦。これは只の雄雌じゃないんだよ。
二人の宇宙を拓いて下さいよ・・・真剣に、真剣に、誰にも知られない人生を生きる師。
思えば上海の師父も、福岡の村上師匠も、誰も知らない個人の生活に、押しつけの無い、それでいて揺るぎの無い美意識を確立されている。
ものを言わずとも、その人と関わる中で、否応なく感化されてゆく・・・これが本当の教育と言うのなら、私は善き師であるのだろうか・・・眼差しを、背中を、雰囲気を・・・利他と言わずに人に利する、薫風のような師匠たちのたたずまいをこそ、受け継いで往き度く・・・
温かき背の囁きに耳澄ませば 虚空に満てり松風の聲
躰術と名乗ってはいるが、まだまだ武の道は遥かなり。