見出し画像

膝関節伸展制限を伴うX脚の私なりの考察

こんにちは。理学療法士のこうやうです。

今回は珍しくまじめな内容です。

変形性膝関節症の中でも

X脚について触れていきたいと思います。

変形性膝関節症を呈している高齢者は多いですが

膝の変形は個々で異なります。

O脚への変形の推移は割と有名ですが

X脚に対する仮説はあまり見たことがありません。

私の勉強不足の可能性がかなり大きいですが。

私なりの見解を述べていきたいと思いますので

よろしくお願いします。

それでは始めます。


X脚とO脚

この二つの膝の変形は有名ですが

なぜ二つに分かれるのでしょうか。

ずばりいうと

これは下腿に対するストレスの違いです。

O脚は下腿外旋といい

ふくらはぎが外側に捻じれるストレスを受け

それに対して適応するために脛骨(ふくらはぎの骨)

を外側に捻じらせ、O脚を作ります。

ではX脚はどうかというと

想像通りで下腿内旋ストレスが加わり続けることにより

変形するという形で

真逆のストレスを受けているわけです

私の個人の見解ですが

O脚を呈している人は痛みの訴えが多いですが

X脚はそれほど痛みを訴える人が少ない印象があります。
(ちなみに経験年数1年未満のため、信頼性のない情報であることはご考慮ください。)

なぜここまで差があるのでしょうか。

それは負担のかかる組織に違いがあると私は考えています。


変形性膝関節症の歩行

膝OAを呈する人の歩行で特徴的なのは

膝屈曲位での歩行ですよね。

立脚初期は膝伸展位であることが理想とされていますが

膝屈曲位での歩行となると

LCL(外側側副靭帯)やMCL(内側側副靭帯)は伸展位のみに作用するため

これらの靭帯が使えなくなり

結果的にストレスが腸脛靭帯に集中します。

そして大腿筋膜が過緊張→外側広筋の過活動という流れになり

膝蓋骨が外方に引っ張られ、O脚となるわけです。

そして下腿外旋ストレスは膝蓋下脂肪体に集中し

膝の痛みを呈するわけです。

という形でO脚になるわけですが

ではX脚はどのようにできるのでしょうか。



X脚の人の戦略

前述したとおり、膝伸展位での接地ができないと

膝の靭帯は使えなくなります。

だから腸脛靭帯に負荷が集中する・・・

という流れになるはずですが

実はこれを防ぐ方法があります。

それは内旋位で接地することです。

内旋位で接地すると実はある機能が使えます。

それは中心靭帯系安定化機構

と呼ばれるものです。

これはどういう機能かというと

下腿内旋、大腿外旋させることにより

膝関節内にある前十字靭帯と後十字靭帯が互いに捻じれることにより

膝の安定性を確保するものです。

実はある場面でこの機能はよく使われています。

それは走行です。

実は走行では地面に足を着いたときは膝屈曲位です。

しかし下腿を内旋位にすることにより

内旋ストレスが膝に加わり

この中心靭帯安定化機構を働かせ

安定性を確保しているんです。

X脚の人の歩行はこの機能を存分に使っている状態なわけです。

ですからO脚の人に比べて

膝を安定させる機能が多いため

痛みを呈する人が少ないと個人的に考えています。


まとめ

・X脚は中心性靭帯系安定化機構を使うことで膝を安定させている。

本日はこれで以上です。

このように機能制限や異常姿勢は

決して悪いわけではありません。

むしろこれから生きていくための

脳が作り上げた戦略を表しているといえます。

むやみに正常に近づけることは患者さんを悪くする可能性が高い

ということを念頭に入れて日々の臨床に取り組みましょう。

本日はこれで以上です。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?