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【書籍紹介】プルースト『失われた時を求めて』の入門・解説書を紹介する
今回は『失われた時を求めて』で有名なマルセル・プルーストの生涯や作品を解説した入門書を紹介します。あまりに長い作品の上、前提として求められる知識も膨大なので、解説書を手元に置いて読んだ方が良いと思います。安価で購入できるものは買い、高価なものは図書館で借りてみるのが良いでしょう。
1.『プルーストを読む』(集英社新書) 鈴木道彦 著
鈴木道彦 著『プルーストを読む』です。
著者は集英社文庫で『失われた時を求めて』の完訳を達成しています。
プルーストの生涯や、作中後半で重要となる「ドレフェス事件」、さらにはアルベルチーヌとの恋愛描写についても解説。
2.『評伝 プルースト』
ジャン=イヴタディエ『評伝 プルースト』です。規模の大きい図書館に行くと置いてあることもあります。新刊書店で見たことはないので、図書館で借りるのが現実的かと思います。ブックオフとかで安く買えると超ラッキーですね。
3.『「失われた時を求めて」の完読を求めて』
鹿島茂『「失われた時を求めて」の完読を求めて』。こちらは2019年に出版されたため、新刊書店でも入手しやすいかと思います。
全7篇のうち、第1篇「スワン家のほうへ」を詳細解説しています。つまづきやすいポイントを解説してくれるほか、「読むポイントさえ押さえれば退屈しても構わない」というおおらかなスタンスで読者を完読へ導いてくれます。
「でも1章だけでしょ?」と感じる方もいると思いますが、プルーストは当初、「スワン家のほうへ」のみで構成していようと考えていたらしく、1章には作品のテーマや伏線が多数ちりばめられています。
そのため、1章をしっかり読み込むことは完読につながります。全編完読の助けになってくれることでしょう。
4.『プルースト 読書の喜び』(ちくま学芸文庫)
保苅瑞穂『プルースト 読書の喜び』です。『失われた時を求めて』の名場面について書いたエッセー集です。ちくま学芸文庫は文庫の中ではやや高価ですが、『評伝 プルースト』よりは安く買えるので、読んでみるのもありですね。
5.『「失われた時を求めて」への招待』
吉川一義『「失われた時を求めて」への招待』です。
著者は岩波文庫で完訳を達成しています。
6.『カラー版 絵画で読む『失われた時を求めて』』
こちらの書籍は作中に登場する絵画を手がかりに、『失われた時を求めて』を読解していくものです。新書なので絵は小さいですが、カラーなのでわかりやすいのが魅力。
作中では訳者による注があるものの、注には辞書的な説明くらいしか書かれていないため、より詳細な知識をこうした本で得るのは意義があると思います。
7.『収容所のプルースト』
『収容所のプルースト』。入門書というにはやや難解ですが一応紹介します。
第二次世界対戦下、ポーランド人はソ連によって強制収容所に入れられ、極寒の中労働を強いられていました。
このままでは精神に異常をきたす、と恐れた彼らは何か知的な作業に取りかかることを決意。著者のジョゼフ・チャプスキはそこで『失われた時を求めて』の連続講義を開始。原著すらない状態での講義で、頼りになるのは己の記憶のみでした。
極限状態における「文学」との関わりについて知りたい方は一読の価値ありです。
8.『プルーストへの扉』
『プルーストへの扉』。訳者は光文社古典新訳文庫でプルーストの全訳に挑戦中です。
プルーストの人物像や、「なぜプルーストを(『失われた時を求めて』を)読むのか」という根本的な話からじっくり語ってくれます。
9.『プルーストと過ごす夏』
『プルーストと過ごす夏』。熱心なプルースト読者8名による、プルースト作品の主題や魅力、読みどころを解説した本です。
これから読破を目指す人にとりあえず読んでほしいですね。
10.『プルーストからコレットへ』
『プルーストからコレットへ』。20世紀パリの文壇に立った二人の作家、プルースト、コレットの作品を軸に「風俗小説」の読み方を探ります。
11.『楽しみと日々』
入門書というか本人が書いた作品ですが、プルーストの作家人生における作品は、ほぼ『失われた時を求めて』1冊に集約されます。他の作品はこれへの準備・伏線のような位置付けと言って良いでしょう。
だから、本作『楽しみと日々』もプルースト、ひいては『失われた時を求めて』の理解を深めるのに役立つはずです。
12.『難解な本を読む技術』
厳密にはプルーストの入門書ではありませんが、プルースト自体難解な作家と言われているため、本著も役立つと思います。
13.まんがで読破『失われた時を求めて』
イースト・プレスの「まんがで読破」シリーズから『失われた時を求めて』です。
2000ページ以上ある作品を400ページ弱、しかもマンガに詰め込んでいるため、ストーリーはかなりすっ飛ばされていますが、ざっくりした概略を掴むには良いと思います。何より最後の大団円が素晴らしい。
14.フランスコミック版『失われた時を求めて』
フランスコミック版の『失われた時を求めて』。イースト・プレスの漫画版はこれを参考にしているらしいです。まだ読んだことがないので、読んだらレビューしたいですね。
15.おわりに
ということで、プルーストの解説書、読解補助書の紹介でした。
難しい本なので大変ですが、今回紹介した本を参考に1巻だけでも読んでみてください。普通の小説では味わえないような感覚を味わうことができます。
このブログも、当初は『失われた時を求めて』の読解のために開設したのですが、長らく投稿が止まり、期間がかなり空いてしまいました。
再開時期は不明ですが、note記事の投稿モチベ自体はなんとか保っているので、本やゲームの紹介をしながら少しずつプルーストに触れていきたいと考えています。
それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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