【短編小説】ここではないどこか 2
部屋の中には、大きな本棚があって、そこに400冊以上の本が並んでいる。本は全て薄いけど、中身より立派な表紙がそれぞれついている。若干、薄汚れたものもあるけど、ほとんどは新しく、読まれるのを、お行儀良く待っている。それらの本の中身はすべて読みつくした。というか、記憶している。
僕は本棚の前の床に寝ころんで、本を読んでいた。もう何回目かになるか分からない。記憶しているから、読む必要はないと言えばないのだが、本の手触りとか、紙の匂いとか、最後のページに書き込まれたコメントとか、何