【短編小説】仲介役は、自分に向けられた好意に気が付かない。
クラスメートの男子から、今回の件の顛末を聞かされた。聞きながら、そうだろうなと思った。毎回、私の予想を裏切ってくれないかなと思いつつ、それが叶えられたことはない。
どちらにせよ、結局、私の橋渡しは実らなかったわけで、私は彼に向かって「ごめんね。」と言った。彼はそれに対して、困ったような笑みを浮かべる。
私に謝られても困るだけだろうとは、分かっている。でも、力になれなかったことには謝っておかないと。相手は、「気にしなくていいよ。」と言って、寂しげな顔でその場を後にした。私は