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小説夜明けのすべて感想

ネタバレ無しの感想


他のレビュー通り、この作家さんの作品には優しさで溢れていた。誰かの優しさに包まれたい時は、この作家さんの本を読むことにする。


この物語は2人の持病持ちの若い男女の物語。パニック障害とは別の精神疾患を持っている私であるが、パニック障害のことを知らず、こんなに苦しい病気なのかと同情の念を抱いた。私は男性だが、PMSの苦しみも同時に伝わってきた。それほどまでに病気の描写がリアルで、作者は病気について相当勉強したんだろうなと思う


そんな持病持ちの2人の男女が、恋愛的にいい関係でもおかしくなさそうなシーンもあるのに、どこか距離感がある。付き合ってないのかと落胆した。これはまるで若い親戚の男女関係に茶々をいれる親戚のおばさんではないか。齢23にして、中年女性とかした一方、恋愛関係に発展しないかなと期待する少女漫画を読む少女のような心もあった。少女とおばさんという、歳が離れた2人が私の心に同居するという不思議な感覚を味わった。世にも奇妙な物語出てもいいんじゃねぇーかこれ笑


私が親戚に恋愛関係のこと聞かれて、嫌な思いしたことあるのに、自分もそうなったじゃないかとふと我に返った。彼らのことをあれだけ非難してたのに。そうなったのは、最近文学の読み過ぎのせいとしか言えない。文学は男女2人きりになると、たいてい恋愛始まるもんね。愛や恋愛について敏感な体質になってしまったのかも。


ネタバレありの感想

山添と藤沢の間に距離があったのは、完全に山添のパニック障害のせいだと読み取れた(特に後半)。パニック障害で誰とも交流したくないという心情がリアルに描写されていたと思う。2人のお互いのことを好きになるかもしれないの推量の部分が、2人の距離感の乖離と親しい場面もあったことを絶妙に表していて良かった


自転車を買ったり、かつて好きなものを思い出したりと、彼の表情や顔の血色が良くなるのが小説を読んでいるだけでも伝わった。藤沢も似たような感じで、仕事への考え方が変わり、彼女の生活や心情に変化をもたらしたのも伝わってきた。


最初は読んでいて鬱々としていたが、読後感は非常に良い。二人の人生に幸あれ!

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