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子どもの読解力と学習障害について考えたこと

 息子の成長を見ていて、学習障害(LD)があっても、読み聞かせを続けていれば、読解力は身につくのかもしれない、と思ったのことの覚書。


1.息子の特性と学習障害(LD)について

 8歳になる我が子は、発達障害的特性があるものの医師の診断はついておらず、いわゆるグレーゾーン。
 読み書き障害もあって、現在3年生だが、2年生で習った漢字の読み書きができていない。
 
 小学校入学後の息子の文字習得ペースは以下の通り。

 1年生(4月) ⇒ 「ひらがな」「カタカナ」の読み書きができない。

 2年生(4月) ⇒ 「ひらがな」「カタカナ」の読み書きができる。
       「1年生で習う漢字」の読み書きがほとんどできない。

 3年生(4月) ⇒ 
       「1年生で習う漢字」の読み書きがほぼできる。
       「2年生で習う漢字」の読み書きがほとんどできない。

 3年生(9月現在) ⇒ 
       「1年生で習う漢字」の読み書きがほぼできる。
       「2年生で習う漢字」の読みが50%、書きが40%できる。


という具合で、文字の習得ペースがおよそ1学年程度遅れている。


2.息子の学習障害(LD)を疑う

 私自身が無類の本好き(むしろ活字中毒)だったため、我が子も本好きに違いないと思い込んでいた。
 教育熱心な知人から「ブックスタートは早ければ早いほど良い。生後4ヶ月くらいから読み聞かせを始めるのが効果的」とのアドバイスを受け、息子には生後5ヶ月から絵本の読み聞かせを始めた。
 
 私は朗読好きでもあるので、読み聞かせは苦ではなかったが、息子が興味を持たなければ止めようと思いながら始めた。
 初めて読み聞かせをしたのは五味太郎さんの「きんぎょがにげた」で生後5ケ月の息子は私が読んでいる間、食い入るように絵本をじっと見つめた。読み終えると、喃語と身振り手振りを駆使して何回も読んで欲しいとせがんだ。長新太さんの「わんわんにゃーにゃー」も数えきれないくらい読んだ。
 保育園や幼稚園に行くようになっても読み聞かせが大好きな息子は、気に入った本は何度も何度も読むことを強要した。

 読んでもらうことは好きなのに、息子は自分から字を読もうとはしなかった。本屋さんで息子がねだるまま買いそろえた絵本は、小学校に上がるまで息子自身が読むことは終ぞなく、物語はすべて私の口を介して息子の耳から伝わった。
 こんなに絵本の内容に興味があるのに文字に興味がないなんておかしい。小学校入学を控えた6歳の時、私は息子の学習障害を疑った。
 市の子ども支援室に行き相談するも対応したカウンセラーからは「まだ就学前なので単に文字に興味が持てないだけかもしれません。様子を見ましょう」と言われた。
 毎日読み聞かせをしているのに文字に興味を持たないのはおかしいと思ったが、本人が興味を持たないものを無理に教えるのは本意ではなかったし、無理に教えて文字が嫌いになるといった逆効果の懸念から、入学までは何もしなかった。
 はたして息子は入学してもひらがなの読みも書きもがなかなかできず、学習障害の疑いが濃厚となった。


3.余談(母である私の文字習得について)

 私自身のことを振り返ってみると、いつの間にか字を読んでいた記憶しかない。我が家は忙しい自営業(小売店を営んでいた)であったため、幼少期も学童期も母親が私の遊び相手をすることはほとんどなかった。
 ひとりっ子だった私は近所の同年代の子ども達と近くの公園で遊んだり、近くの川でメダカやカエルを捕まえたりする子どもで、それなりに活発だったと記憶している。本も大好きで、家にあるグリム、アンデルセンの童話と日本の童話集を小学1年生までには全て読んでしまっていた。
 学童期には学級文庫(クラスに置かれていた本)はほとんど毎日持ち帰って読み、新しい本が入ると本好きのクラスメイトと争って持ち帰った記憶がある。学校の図書室、市の図書館にも頻繁に出入りして図書館司書さんとは顔なじみだった。

 私がどうやってひらがなを覚えたのか母に尋ねてみた。
「あなたは自分から本の文字を指して『これなんて読むの?』と一字ずつ聞いてきて、いつの間にかひらがな全部読めたんだよね。3歳前にはひらがなが全部読めて、自分で本を読んでくれるから手がかからなくて楽だったよ」
 
 私が小学生当時のことを振り返ってみた。当時は現在ほど読書は推奨されておらず「本をたくさん読むけどごくフツーの成績」の私よりも、「本は全く読まないけれど成績優秀なクラスメイト」の方が学校の先生の覚えもめでたかったし、優遇されていたように思う。
 私自身も、「読書」は単なる娯楽のひとつであって、本好きな自分が特別凄いとか優れているとも思わなかったし、それは今も変わらない。


4.息子の現状

 地方の比較的田舎住まいなので、学習障害に対応できるような塾などの教育機関が近隣には見当たらず。診断が出る程重度ではないため市の療育対象にもならずでお手上げ状態。
 そんなこんなで、自分なりに、息子の文字習得に役立ちそうなことを試みている。
 様々な漢字ドリルを買い与えたが、これは、息子にはあまり効果がなかった。まず、ドリルは本人が少し書いた後は書くことを断固拒否。
 そんなわけで、買い与えた1年生用、2年生用のドリル5冊は、どれも最初の1、2ページだけ埋まっているだけで、あとは真っ白である。

 小学3年生の現在も、寝る前の読み聞かせを続けている。
読み聞かせる本は、息子の年齢よりも少し上の学年のものを選んでいる。
私が小学校6年生の時から繰り返し読んでいた夏目漱石の『坊ちゃん』を試しに読み聞かせたところ、言葉や言い回しにわからないところがありながらもストーリー展開がワクワクして楽しかったとのこと。やはり時代を超えた文豪の名作は凄い。余談だが、久しぶりに読み返してみると、『坊ちゃん』って、数ある熱血教師ドラマの原型のような気がする。

 
5.読解力テスト

 7月に某雑誌に載っていた有名な読解力テスト(小学生版)を息子に試してみた(読めない漢字はすべてルビを振った)ところ、予想に反してあっさりと正解した。ちなみにこの問題の中学生の正答率37.9%と発表されている。


6.私なりの結論
 
 読解力を身につけるためには読書が欠かせないのは間違いない、と思うが、読み書き困難な我が子のようなケースであれば、親等が読み聞かせを続けることで、読解力もそれなりについていくのかもしれない、という結論に至った。
 毎日の読み聞かせが、少しでも読解力の習得に役立つのであれば、これからも読み聞かせを続けていこうと思った。
 とはいえ毎日読み聞かせをするのは結構な労力なので、早く自分で本を読むようになって、寝る前の苦行から解放されたい、というのが正直な気持ちである。

 
 


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