PDCAサイクルの落とし穴
Planの原点を見落としがち
社会人になれば誰もが一度は耳にする「PDCAサイクル」。これは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の頭文字をとって命名された業務の効率化を図る手法で、日本では1990年代後半から使用されるようになった。
しかしながら、見落としがちなのはスタートのPlanを生み出したのは何であるかということである。ゼロ→イチのPlanを立てる時には、その業務全体に対する“思い”や“熱量”があったはずだ。
今のPDCAサイクルは、スケールを獲得するため誰しもが簡単に実行できるように、業務の効率化が第一とされているばかりで、“原点”を見落としがちになってしまっている。“思い”がないまま「プラン、プラン」となっていたり、プランは上司から言われたことをそのまま受け入れたりしている状況が多い。そうなると、もはや絵空事を回しているだけになってしまっているのだ。
またPlanと同じく、日本ではそれをCheck(評価)する部分が大きくなりがちで、過剰なコンプライアンスやコストパフォーマンスを生み出し、大胆なDo(実行)とActionがしづらい環境でもある。なので、日本ではイノベーションが起こりにくいのではないだろうか。
理論や知識だけに振り回されずに、自身の感性や好奇心を大事にし、現場と現実から本質をつかむべきである。
これは国際協力でも同じことが言えて、“何のため”を忘れてしまうと空回りしてしまう。
今、国際協力関連業務の多くは新型コロナの影響でストップしてしまっている。そんな時だからこそ、それぞれのアクターが“何のため”に国際協力を志したのか振り返って、今後の国際協力のあり方を再考していくタイミングなのかもしれない。