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野生の島のロズ 大切なものは一つだけ  

この映画は元旦に観に行ったライオンキングムファサの
予告編で知りました。
映像の美しさに魅了されて、公開されたら観に行こうと思っていました。

どうしてここまで映像に心惹かれるのかと思ったら
絵画調のルックがこの映画の特徴だそうです。
ライオンキングは本物のように見える3DCGでした。

舞台は絶海の孤島
海に囲まれた島には森が広がり川が流れ
蝶や鳥たち、動物たちが生きる大自然を「絵画調」で
表現することで、「本物らしさ」より「美しさ」が際立つようです。

私たちは今、本物と見分けのつかない生成よりも絵画的な美しさに
改めて気づいてきているのかもしれません。

コントロールされたプログラムで動くロボットに
雛の子育てを通して、芽生えていく「心」がテーマのようです。

言葉や物語の力も改めて感じました。

現実の世界では、鳥は巣立ったら二度と戻りません。
でも、映画を見ていて気づいたのですが
もしかしたら、二度と親鳥に会うことはなくても
親と暮らした短い時間を忘れずに、どこか遠くの空で
存在をいつも感じているのかもしれないと。

倉嶋厚さんのエッセイ「癒しの季節ノート」の中に
こんな記述があります。

父が80歳を過ぎたころ
「私は先に逝くが向こうに世界があったら
全力をあげて通信してみる。
お前はそれを受信できるか実験してみよう」と提案した。
以降50年近く実験は続いていますが、これが父からの電波だと実感したことは
一度もありません。
しかし「お前の心配事を縦に並べられないか」と自問自答したことは数知れずあります。
そのとき父の通信が届いていたのだと、このごろ思うようになりました。

私もときどき両親の言葉をふと思い出すことがあります。
それももしかしたら、父や母が彼岸から送っている通信なのかもしれないと思います。

映画は、ただ「美しい、心温まる」だけでなく
スリリングで思わず身を乗り出し手に汗握る
息つく暇もないシーンに惹き込まれます。

パンフレットにはロボット研究者の
鈴森康一さんのエッセイも掲載されていました。

スクリーン上のロズはロボット研究者から見てもよく描かれていて
こんなロボットを創ってみたいというヒントがいくつも散りばめられていて
アッという間の1時間42分であった。

鈴森さんによると
ロボットには2つの側面があるそうです。
1つは 「役にたつ機械」
もう一つは「生き物への憧れ」
AI研究の成果を利用して神経系の情報処理やそこから生まれる
知的な行動を発現させる研究が盛んになっているようです。

人のために役にたつということを使命にしているロズの姿は
カズオ・イシグロの「クララとお日さま」のAFのようでした。

挿入歌K iss The Sky が感動的でした。

一つだけ残念だったのは
ロズの声が綾瀬はるかさんだったこと
第一声から、あ、綾瀬はるか・・・と思ってしまう
声と喋り方。ロズがもう綾瀬はるかにしか見えなくなりました。
ただ、それは最初だけで、ロズのイメージにはぴったりでした。

キツネの声は、エンドロールを見るまで私には誰かわかりませんでした。(あれほど熱心に光る君へを観たのに)最初の憎まれ役から徐々に優しさが引き出されて魅力的な声に変わっていきました。

映像を楽しみたいときは字幕が邪魔なので吹き替え版を観ています。

タイトルの大切なものは一つだけ
これは、是非、劇場でご覧になってください。

読書と同じく映画は束の間ではありますが様々な事を擬似体験できる機会だと思います。


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