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荷葉(かよう)の香り

昨日放送「光る君へ」
中宮様ご懐妊の兆しとなる「荷葉」の香り
源氏物語にも登場する薫物(たきもの)ですが
言葉で「かようの香りでございます」と言っていたら
香炉を捧げていても、薫物の「荷葉」とは結びつかない人が
多かったのではないでしょうか?


「こんな香りです」くらいに聞かれたのでは?
薫物は、日本へ奈良時代に伝わり、平安時代には
貴族の間で教養や感性を表す1つとして創作され
洗練されていていきました。

平安時代に高貴な方々に愛された薫物「荷葉(かよう)」
夏にもっとも香り高い薫物として知られている「荷葉」は
蓮の葉の香りになぞらえたものです。
源氏物語 梅枝編、鈴虫編にも登場します。

初夏に荷葉作りのワークショップを開催しました。
(協力:ひがしこうち香酸柑橘類研究会)
今回は、平安末期に藤原範兼(平安末期の公家)が勅命により
著したと言われている『薫集類抄』の記録を参考に しました。
高知モネの庭の蓮の香りを嗅ぎながら
(蓮そのものを使うわけではありません)
香料を混ぜ合わせてその香りに近づけていくものです。

沈香 甲香 丁子 熟鬱金 甘松 安息 白檀 

を使い、蜂蜜で練って丸薬のような薫物に仕上げました。

薫物作りは源氏物語「梅枝」の段 香合わせが有名です。
明石の姫君を東宮入内させるつもりの光源氏が、その準備として
六条院の女君たちや前斎院に薫物作りを依頼する話があります。

薫物合わせというのは、それぞれが作った薫物の香りが
どちらが良い香りが競うものです。

以前、高知県にある北川村モネの庭で開催された
ひがしこうち興産柑橘研究会が開催する薫物ワークショップに
参加して、薫物合わせを準えた、薫物コンペに参加しました。

その場に用意された香料を調合して、名前を伏せて
提出し、参加者や見学者の投票で結果がでます。

私は香りの仕事に携わっているので、内心、良い結果が得られると
思っていたのに、3位でした。
1位になられたのは、私よりもずっとご年配の自宅の庭に
高知県で唯一残っている香酸柑橘類の原木がある方でした。

なんと・・・と言ったのは、
高齢になると、誰しも嗅覚が衰えてくるので
多くの人が好きと選んだ香りを作られたことが、不思議ではありましたが
私も、その方の作った香りが上品でとても好きでした。

結果発表のあと、司会者が投票した人に感想を聞かれたのですが
私に投票した人?と尋ねると、挙手した人が全員男性だったのに
驚きました。
柑橘系の香料を使って、甘い香りを避けたのが、男性受けしたのかもしれません。


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