マッチングアプリに学ぶ、自己アピールのヒント?
「じゅくちょうに、文章を書いていただきたいのですが」
ありがたいことに、最近そんなご依頼が増えてきました。出版のお手伝い、講演やプレゼンの原稿作成、SNS投稿、物語制作……文章にはいろんなカタチがありますが、いずれも大切なのは「伝わる」こと。言いたいことが伝わるように、言葉を磨くのがじゅくちょうの仕事です。
(もはや「じゅくちょう」じゃねえだろ)
どうすれば、人に伝わる文章になるか?
文章に限らず、会話や講義も含めたあらゆるコミュニケーションは、「伝えた」と「伝わった」は違う、というのが真理です。伝えたつもりでも伝わっていないことはよくあり、それに気付いた人がいつも頭を悩ませています。伝えたつもりになって言いたい放題言ってる人の方がよほど気楽です。
じゅくちょうのクライアントには仕事を楽しんでいる人が多いので、食事をご一緒する時にコミュニケーションの話で盛り上がることも多々あります。中でも最近のブームは、マッチングアプリのプロフィール文作成です。
マッチングアプリを使ったことがある人はわかるかもしれませんが、あれって意外と奥が深いんです。
プロフィール文作成でよくある悩み
進むも地獄、戻るも地獄、みたいになる人もいて、そんな話が出ると飲み会は大いに盛り上がります。特に30代より上の世代はアプリを使ったことがない人も多く、実態がどんなものなのか気にならずにはいられません。もはや最近の恋バナにおける力関係は、
「独り身<恋人持ち<既婚者<アプリ使用者」なのかもしれません。
(そんなわけあるか)
データから読み解く、文章の効果
じゅくちょうもマッチングアプリは使ったことがあります。「10−20代のじゅくせいの心情を理解するには、これからの恋愛事情も知っておかなくては!」という大義名分のもと、数年かけていろいろ試しました。
(寂しかっただけだろ)
見た目やステータスはどれくらい重要なのか、プロフィール文を変えるとどれくらい反応が変わるのか、いろいろ試行錯誤してデータを集めてみたので、そういう経験をシェアすると喜ばれます。特にプロフィール文は一番工夫できる領域なので、じゅくちょうの文章力が威力を発揮するみたいです。
そんなわけで、今回は「プロフィール文 Before&After」をご紹介することで、文章を工夫することの大切さをお伝えできればと思います。「恋愛における自己アピールと、ビジネスにおける商品アピールは、原理的には同じである」というのがメッセージです。
自分で書く文章と、人に書いてもらう文章の違い
少し前の飲み会で実際に添削した文章をお見せします。
(プライバシー保護のため、一部改変しております)
普通にプロフィール文を書けば、おそらく多くの人がこんな感じになると思います。真剣かどうか、どんな人がタイプか、自分はどんな人か、基本的な情報を載せていますね。
自分で書いた文章に抜けがちな視点
しかしこのままでは、「個性」が見えにくい。誰にでも書ける文章では、「あなたじゃなきゃダメ」にはならない。(ビジネスでも、「この商品でなくてはいけない理由」が必要です)
もう少し尖らせるため、じゅくちょうはこんなフィードバックをしました。
「真剣に彼女がほしい」といっても、「まず付き合ってみたい」という人もいれば、「きちんと関係を育んで付き合いたい」という人もいます
「相手を尊重できる」というのも、「自分からリードする」のか「相手のペースに合わせる」のかで全然違います
趣味に関しては、「実際に付き合うとどんなふうに一緒に楽しめるのか」が大事ですね
自己アピールだけでなく、相手の気持ちを理解する視点=「一緒に感」が大事です
まあ飲み会の席なので、恋バナの延長線みたいな会話なのです。人の恋路に茶々入れするのは、なぜこんなにも楽しいのでしょう。
(性格悪いぞ)
その方は、そこからさらに文章を改良し、こんなプロフィール文を書いてくれました。
なかなかその人らしさが出てきた印象です。自分をアピールしつつ、相手のことも気にかけている様子が伝わってきます。
他者の視点を盛り込んだ文章とは
ただ、誰にでも「自分では気付けない魅力」というものがあります。それをプロフィールに盛り込むには、一人で考えるのではなく、他者からの意見が必要です。そんなわけで、飲み会のノリでじゅくちょうも本気の添削をしてみました。
↓その結果がこちらです↓
いかがでしょう? 言っていることの中身自体はそんなに変わらないのですが、表現を工夫するだけで伝わり方って全然違ってきませんか?
自分の「頭の中のイメージ」に邪魔させるな
自分では「一言で伝わるだろう」と思っていても、実際は具体性に欠けていることがよくあります。自分が頭の中でイメージしていることは、相手からは見えません。相手に伝わる文章を書くには、「頭の中のイメージ」をあてにせず、ていねいに描写・言語化することが大切です。
読み手の想像を想像せよ
まどろっこしい表現ですみませんが、あなたの文章を読んだ時、読み手がどんな想像を膨らませるか考えることができれば、人に伝わる文章が書けるようになるはずです。今回でいうと、じゅくちょうが想像したのはこんな視点です。
「あなたのことを気にかけてます」という印象が伝わると、相手もあなたのことを気にかけてくれるようになるはず。恋愛もビジネスも、「相手を理解しようとする姿勢」が大切、ということですね。
「言葉を磨く」とは、人の心に届く言葉を見つけること
「言葉」は普段から使っているものなので、誰でも使えると思いがちです。でも、誰かに伝えるために使うなら、一人で使いこなすことはできません。人と分かち合うには、そのための言葉を選ぶことが大切です。
他者の視点、他者の気持ちがわかれば、他者に見合った言葉を選ぶことができます。だから、話したり伝えたりするためにも、まずは聞いたり理解したりすることを大切に。ぜひ「自分が使っている言葉」に目を向け、 人に伝わるように磨き上げてみてください。
あなたの言いたいことが、大切な人に伝わるように、 「ものの見方」を広げていきましょう。
じゅくちょう 福田幸志郎
サポートがあると、自信と意欲にますます火がつきます。物語も人生も、一緒に楽しんでくださって、ありがとうございます。