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(本の紹介)悲観論に惑わされないために

世代や業界を問わず、リーダー・責任者に求められる「学び」とは何か?
 ・常識に囚われず、「事実」に基づいて考える
 ・経験や流行を鵜呑みにせず、「名著」から学ぶ
 ・正解にすがることなく、「未知」を探求する
一緒に学びながら、【ものの見方】をアップデートしていきましょう。

お金の本と見せかけて、心理学の本!?

今回取り上げるのは、書籍全体としては「お金との向き合い方」がテーマの一冊。でも実際に読んでみると、お金のノウハウよりも「メンタル・マインド」について書かれている方がメインです。特に、データやエビデンスを用いて「事実から判断しよう」と提案してくれているところが素晴らしかったです。

(目次の一部をご紹介すると……)
・裕福になることと、裕福であり続けることの違い
・お金から得られる最高の配当とは
・高級車に乗る人のパラドックス(逆説)
・貯金の価値
・悲観主義の誘惑

ここでは「悲観論の誘惑」をご紹介

本の中から、一部を抜粋してご紹介します。

まずは、2008年12月29日、リーマンショック直後に『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙の一面に掲載された経済予測について。

ロシア人の大学教授イゴール・パナリン氏によれば、2010年6月下旬から7月上旬に、アメリカは6つの地域に分割される。
まず、アラスカはロシアの支配下に戻る。(中略)カリフォルニアはパナリンが「カリフォルニア共和国」と呼ぶ複数の州の中心となり、中国に帰属するか中国の影響下に置かれる。テキサスは「テキサス共和国」と呼ばれる州の中心となり、メキシコに帰属するかメキシコの影響下に置かれる。ワシントンDCとニューヨークは欧州連合に加盟する可能性のある「大西洋米国」の一部となり、カナダはパナリンが「北米国中央共和国」と呼ぶ北部の州の中心になる。ハワイは日本か中国の保護領になる。

(P.257~258から引用)

これは、世界有数の権威ある大手経済新聞の一面に掲載された、権威ある学者の考えをもとにした主張です。しかし、実際には起こりませんでした。

一方、こちらはもしもの話ですが、「第二次世界大戦直後の日本で、日本の学者がこんな予測を主張したとしたら、世間からどう見られただろう?」という文面が紹介されています。

国民よ、元気を出せ。我々が生きている間に、日本経済は終戦前の約15×の規模に成長するだろう。
平均寿命は約2倍になり、株式市場は史上空前の収益を上げるはずだ。今後40年以上は失業率が6%を超えず、電子技術の革新と企業の経営システムにおいて世界のリーダーになるだろう。じきに我が国は、アメリカで一番地価の高い不動産を所有するほどの富裕国になる。
先の戦争で敵国だったアメリカは我々のもっとも身近な同盟国となり、日本の経済的成功からヒントを得ようとするようになるだろう。

(P.259から引用)

実際にこんな予測をした学者は存在しません。しかし、これは実際に日本で起きた出来事です。当時、もしこんな予測を立てた学者がいたら、おそらく世間はこの学者を笑い物にしただろう、と本に書かれています。

人間は、恐ろしいほど「予測」がヘタクソ

多くの人は、楽観論よりも悲観論の方を「知的」とみなします。事実はさておき、社会や人生、人間に対する世間の「ものの見方」は悲観論が主流を占める傾向があります。「人生は甘くない」「人は裏切るものだ」「社会は不平等だ」……果たして、実際の割合としてはどうでしょう?

世間には数々の未来予測や経済予測が出回っています。これから社会がどうなるのか、どんな未来が待っているのか、「予測」は多くの人の心を惹きつけるため、多くの人が派手な予測を繰り広げます。

しかし残念なことに、多くの予測は「検証」されないまま、次の予測に取って代わられてしまいます。大々的に予測する専門家やメディアはたくさん存在しても、「私があの時にした予測は外れました。ごめんなさい」と言えるプロはほとんどいません。自らを顧みることなく、また「次の予測」に目を向ける人が世の中にはたくさんいます。

果たして、「事実」はどうなのか? 予測をした人が過去に言っていたことは、実際どうなったのか?
人の意見や世間の噂は鵜呑みにせず、時間を置いて真偽を見極めたいところですね。(難しいのは、多くの人が「自分は適当な予測や噂を鵜呑みにする人間ではない」と思い込んでいること)

自分の中にある、気付いてすらいない思い込みや刷り込みに振り回されないために、学び続けていきましょう。

お読みくださいまして、ありがとうございました。


サポートがあると、自信と意欲にますます火がつきます。物語も人生も、一緒に楽しんでくださって、ありがとうございます。