ビジネスマンには二つのタイプが存在する。 (仲井戸潤 『七つの会議』を読んで)
買ったその日の晩のうちに一気に読み切りました。
仲井戸潤の『七つの会議』。
この本を読み終えて、そして自分の経験と照らし合わせて思ったこと。
それは、ビジネスマンには二つのタイプが存在する、ということです。
主人公である八角民夫の奥さんの言葉を借りれば、スジを通せる人と、そうで無い人、です。
八角民夫は、会社の中でスジを通してきたが為に、会冷や飯を食わされてきた人物。
一方で、この物語の登場人物の大半は、保身の為に不正行為に走る、またはその隠蔽工作に走る、スジの通せない人達ばかりです。
そして加えて気づいたのは、この二者には大きな違いがあるということ。それは会社というものの捉え方違いです。
八角は、会社を通して世の中に貢献したい、または会社とは世の中に貢献するために存在すべきものだと考えている。その為その視線の先には常に顧客の存在があります。利他の精神の持ち主です。
一方の他の人々は、会社は利益を追求すべき存在であり、売ることが全てと捉えている。その達成の為には、競合はおろか顧客や取引先、社員までをも陥れることも厭わない。利己的な考え方です。
これは物語であり、そのコントラストは極端に描かれていますが、自分の身の回りを観察しても、タイプは概ねこの二者に集約されます。
そして残念ながら後者のタイプが圧倒的に多いことに気づきます。今の会社組織では悲しいかなそんなタイプの人が評価されやすく、何故なら会社は短期的な成果が手から喉が出るほど欲しいからです。
「半沢直樹」をはじめ仲井戸潤作品がこれだけもてはやされるのは、本心はスジを通したいと思っていながらも、組織の中に組み込まれてしまうと通すこともできず、もやもやしている人が多いからではないでしょうか。
そして、実際に冷や飯を食わされている人からすると、物語とは言え、その主人公達は正義のヒーローに見えるのでしょう。
かく云う私もそのひとり。
いくら短期的な成果が欲しいからとは言え、人の気持ちを蔑ろにして良いわけないだろうと憤りを感じつつも、立ちはだかる組織の壁は限りなく高く、途方に暮れてしまうのです。
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