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「責任を負わせないから、とにかく提出してください」 #マネジメント探求の道(2)
数ある記事の中から、この記事に興味を持っていただきありがとうございます。
ところで皆さんは、日ごろ活き活きと働いてらっしゃるでしょうか?
または、活き活きと働いた経験をお持ちでしょうか?
私はあります。
働くことってこんなに楽しいことだったのかと思うほど、心の底から楽しく活き活きと働いた経験があります。
しかしそれは、今から15年以上も前(2000年初頭)の話ではあります。
前回、”基本と原則”に反していたが為に、最終的には売却されてしまった組織のことを書きました。
今回ご紹介するのも、その組織(売却前)で起きた出来事です。
ある時、その組織のトップが、今後の戦略にM&Aを取り込んでいく、と言い出し、その検討タスクが立ち上がりました。そのメンバーのひとりになぜか私が選ばれたのです。
当時の私はまだ主任になりたてくらいの立場。他のメンバーは部門長クラスが多く、なんの知識もないのはマズイだろうと思い、本を買って勉強し、それなりの準備をしてそのタスクに向かいました。
そして第一回目の打ち合わせ。
事務局から趣旨の説明などが行われたのち、こう告げられました。
「では次回までに、買収したいと思う企業を選定し、このシート(Excel)に記入して提出してください。」
へ?と思いました。なんだこの事務的な進め方は・・
このM&Aで何を実現したいかも示されないのに、もっといえば組織の向かうべき方向性も不透明なのに、何の議論も行わずにいきなり候補先を提出しろっていうのはどういうことなのか・・
こういう時、部門長クラスの方々は大人しいのですよね。上位からの指示には従順というか。。
私一人、その事務局の担当者にあれこれ疑問をなげかけていたら、半分キレ気味でこう言われました。
「あなた一人に責任を負わせるつもりはありませんので、とにかく良さそうと思う企業を探して提出してください。」
その後、組織の幹部の方々に対して、この組織をどうしたいか、今後どういう方向に向かいたいのか、ヒアリングにも行きました。けれども出てくるのは、あまり深く考えていないような個人的な感想レベルの話ばかり。ビジョンの無さが返ってあからさまになるばかりでした。
その後、どう過ごしたか私自身よく覚えていませんが、3回目ぐらいの打ち合わせから呼ばれなくなりました(笑)。
もはやドラッカーさんの知見を借りるまでもないくらい酷い話ですが、せっかくですので、ドラッカーさんによる”企業買収による5つの成功原則”をここにご紹介しておきます。
第1に、企業買収は、買収される側に大きく貢献できる場合にのみ成功する。
第2に、企業買収は、買収される側と共通の核がある場合にのみ成功する。
第3に、企業買収は、買収する側が買収される側の製品、市場、顧客に敬意を払っている場合にのみ成功する。
第4に、企業買収は、買収される側に、1年以内にトップマネジメントを送り込める場合にのみ成功する。
第5に、企業買収は、最初の1年間に、買収される側の者と買収する側の者を、多数、境界を越えて昇進させる場合にのみ成功する。
この出来事は、私がこの組織から抜け出そうと決心するに十分すぎる出来事でした。
企業にせよ、チームにせよ、シンプルで明快なミッションを必要とする。
ミッションがビジョンをもたらす。
ビジョンがなければ事業とはなりえない。
人の群れがあるだけである。
端的に言えば、こういうことだったのでしょう。