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組織課題に関心を持つようになったきっかけ #マネジメント探求の道(1)

数ある記事の中から、この記事に興味を持っていただきありがとうございます。

ところで皆さんは、日ごろ活き活きと働いてらっしゃるでしょうか?
または、活き活きと働いた経験をお持ちでしょうか?

私はあります。
働くことってこんなに楽しいことだったのかと思うほど、心の底から楽しく活き活きと働いた経験があります。
しかしそれは、今から15年以上も前(2000年初頭)の話ではあります。

でも今回お伝えするのは、その活き活きと働いていた時期から数年経った頃の話です。

その時配属された組織は、表向きは和気藹々としてオープンな雰囲気の組織ではありました。しかし、特に若手社員の多くはその心の奥に閉塞感を抱えながら働いていました。

今でこそ組織課題の殆どは「マネジメント」の観点で説明ができる、と断言できますが、その頃はその閉塞感がどこから来るのかはっきりと認識することが出来ず、日々悶々と過ごしていました。(まだギリギリ若手社員のひとりとして…)

実際に若手社員が次々と辞めていく中で、何かこの状態から抜け出すきっかけが無いものかと考えていたとき、出逢ったのが以下の本でした。

スコラコンサルト創業者の柴田昌治さんのベストセラーです。
この本で組織風土という言葉を初めて知り、また、風土改革という手法があると知りました。

また、実例を元にしたて描かれた風土改革の生々しいストーリーは、とても他人事とは思えないものでした。だからこそ、その風土改革手法は自分の所属組織でも活用できるのは、とも思えたのです。

しかし現実は厳しかった。そんな話は殆どの人が興味を持ってはくれません。

その頃、管理職の方々が口を揃えて言っていたのは、「今この状況の中でやれる事をやるしか無い」でした。

でも若手社員は次々と会社を去っていく。

つまり、ごくごく僅かな「やれる事」をやったとしても成果など上がる訳が無く、活き活きと働く事もできないのです。

当然、私自身も活き活きと働く事もなく、結局最後はその組織を離れる決断をしたのです。

ではこの組織には何が足りなかったのか。ドラッカーの思想を借りて少し解説を試みます。

真っ先に思い出すのは以下のフレーズです。

“いかに余儀なく見えようとも、またいかに風潮になっていようとも、基本と原則に反するものは例外なく時を経ず破綻する”

(ドラッカー「マネジメント エッセンシャル版」)

そうです。この組織には、基本と原則に反していた経営を行なっていました。

繰り広げられていたのは、上位組織から課せられた営業予算と、何となしに作り出されたいくつかの製品、それだけでした。

ビジョンもなく、故に明確な戦略もなく、検討される施策もその場凌ぎ。けれども営業予算のプレッシャーだけは強くのしかかってくるため、常に右往左往していました。

この「戦略も施策もないけど営業予算だけはある」という状態に陥ってしまう組織は結構多いのでは無いでしょうか?

会社とはそういうもんだ、とか、予算達成が営業の使命だ、とか言った言葉に誤魔化され、悶々と過ごしている方も多くいらっしゃると思います。

では、こう言った組織に必要な「基本と原則」は何なのか。

「マネジメント エッセンシャル版」にはこう書かれています。

”マネジメントには基本とすべき三つの役割がある。”

(ドラッカー「マネジメント エッセンシャル版」)

その三つの役割とは、以下の三つです。

”第1に自らの組織に特有の使命を果たすことである。 
 第2に仕事を通じて働く人を生かすことである。現代社会においては、組織が、生計の源、社会的な地位、コミュニティとの絆、自己実現を手にする手段である。
 第3に自らの組織が社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題の解決に貢献することである。”

(ドラッカー「マネジメント エッセンシャル版」)

これを読んで思い出すのは、当時行われた予算対策会議の風景です。

その組織はサービスビジネスを展開している組織でした。月額で回収するモデルのため一度に纏まった金額の売上は見込めません。しかし売上予算とのギャップが激しい。だったら売上を上げる為に単発のシステムものを仕入れて売るのはどうかと、という案が出され、管理職含めて真面目に議論が繰り広げられました。

モノ売りからコト売りへ、という言葉はよく聞きます。その組織はモノ売りから脱却し、コト売りを展開する為に設立された組織であったのですが、売上予算のプレッシャーからコト売りをやろうと真剣に議論をしているのです。これには正直面喰いました。

上記でご紹介したドラッカーの言葉に、“組織に特有の使命を果たす”とあります。ここで注目すべきは“特有の”と書かれていることです。

しばしば組織はこの”特有の使命”を忘れてしまうのです。

例えば、「予算達成が営業の使命である」とよく言われます。正しいように聞こえます。しかしこれはどんな会社にも、どんな営業組織にも当てはまる使命であり、全くもって“特有”ではありません。

本来は、どのような組織にも“特有の使命”があるはずです。“特有の使命”があるからこそ、社会に存在しているはずなのです。

私のいた組織も、当然ながら明確な役割や使命を持って設立されているはずなのですが、時間が経つにつれ予算の達成が優先されるようになり、本来持っていたはずの役割や使命がどんどん薄れていってしまっていたのです。

そしてもっと言えば、その“使命”は、第三の役割に書かれているように、何らかの”社会の問題の解決に貢献すること”であるべきなのです。

売上予算の達成は、あくまでも組織存続の為の手段でしかありません。これを使命や目的と勘違いしてしまうところに、組織の不幸の始まりがあります。

結局その組織は私が去った数年後、子会社化されたのちに会社ごと他企業に売却をされました。その使命を果たせていないと判断された、と言っても過言では無いでしょう。

悶々とした日々を過ごしはしましたが、この組織での経験と、「なぜ会社は変わらないのか」の本との出会いが、私を組織課題への興味を持つきっかけとなり、その歩みが最終的にはマネジメント探究の道へと繋がっていきます。

その後の話はまたの機会としたいと思います。

なお、上記でご紹介した「組織の三つの役割」については、國定克則さんの以下の記事にて、その理解を深めていただくことをお勧め致します。

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