『ポンコツ一家』 にしおかすみこ・著
"エンタの神様"では女王様キャラを度々見てきた"にしおかすみこ"さん。
TVでよく見かけた当時は『攻めたキャラ』だなぁという印象と...
なんとなくの和みを感じていた様に思い出します。
最近観たYoutube動画で久しぶりにその姿を見て、
読んでみたいと自然に湧いたのでAmazonで取り寄せしました。
母、80歳、認知症。
姉、47歳、ダウン症。
父、81歳、酔っ払い。
ついでに私は元SMの一発屋の女芸人。45歳。独身、行き遅れ。
全員ポンコツである。
読み始めてすぐに"スミ"と家族のなかなか難しい日常が伝わってきますが、
優しくてユーモアある文章が、それを少しコミカルな物語に変換します。
いつでも口が悪くて、いつでもお姉ちゃんが第一の元看護士のママ。
子育てについては評価ゼロ、家の中では一番立場の低いパパクソ。
生まれたときに受けたお医者の宣告よりずっと長生きしているお姉ちゃん。
家族の世話にもイロイロあるけれど、"子育て"というジャンルであれば
今少々の苦労をしても、いずれ報われる期待感やゴールがあります。
むしろ家族にとっては楽しみが増えることの方が多い。
でも、もし自分がスミの立場だったらどう消化できるか想像がつきません。
酔っ払いで、認知症で、障がいも有り...治癒するものでもなし。
都会の刺激や、仕事にも便利な東京暮らしを後にして、
千葉の実家にUターンして家族を支えることにした長女の純子(スミコ)。
人によっては将来を重く感じてもおかしくない状況のなか、
スミからは家族への無私の愛情や芯の強さを感じるし、
認知症で不思議言動のママには、スミへの感謝の気持ちが断片的に見える。
もしこの一家についての続編があるならば...
娘をこんな人柄に育てられたママとパパクソが若かりし頃、
姉妹が幼かった時代のエピソードも聞いてみたく思えました。
表紙の砂色や、マトリョーシカの並ぶ順番にも意図が有ります。
"ポンコツ"ということば選びの絶妙さも◎
Youtubeでのインタビューと併せて読むとさらに深まると思います。
にしおかすみこさん、素敵な続編を楽しみにしています。
https://youtu.be/ymheuJbDSqI
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