イモムシの○○○は十虫十色! 桃山鈴子2023新作展のお知らせ
イモムシ画家 桃山鈴子さんの個展「わたしのイモムシ2023」が4月1日からメリーゴーランドKYOTOで開催されます。
今回はイモムシの○○○を画材として活用した新作を多数展示いたします!
これまで桃山さんの作品発表は東京が中心でしたが、今回は京都で初めて個展を開催されます。関西方面にお住いの皆様、ぜひお運びください。
会場は子どもの本の専門店「メリーゴーランドKYOTO」さんです。ミナ ペルホネンの入っている素敵なビルの5階にあります。
京都にやってくる新作イモムシのラインナップはこちら!
アケビコノハ
マイマイガ
オオミズアオ
アオバセセリ
アメリカシロヒトリ
オオウンモンクチバ
マメドクガ
タケカレハ
ルリタテハ
他にも旧作を何点か展示予定です。
そして今回のポイントは!
イモムシの○○○染め!
昨年秋、「新作進んでますか?」と桃山さんに聞いたところ、いきなり送られてきた画像がこちらでした。これは一体?
ビンのふたにつけられた種名で、なんとなく察し……
イモムシを飼育していると、大量に生産されるもの。
そう、うんち。
イモムシのうんちを集めて、煮出して、染液にしたものです。
↓桃山さんのコメントお読みください。
イモムシを飼育する時には、フンの掃除がしやすいように飼育ケースの底にキッチンペーパーを敷くことが多いのですが、ある時、キッチンペーパーの上のフンに水がかかり、色が染みだしていることに気がつきました。
今まで私はコーヒーや紅茶を使って紙を染めていたのですが、フンで染液が作れるのではないかと、水で煮出してみたところ、思った通りの染液ができました。染液の色や香りはイモムシの種類によって十虫十色です。イモムシのフンは食草と深く結びついていて、その香りがしますが、染液も食草の香りがします。
今回フンを煮出していて、特に印象に残ったのはルリタテハの染液の芳香です。ルリタテハの食草はサルトリイバラです。私の住んでいる中部地方では、この葉の塩漬けに包まれた「いばら餅」という和菓子があります。柏餅の柏の葉がサルトリイバラの葉に置き換わったようなお菓子で、ほんのりとサルトリイバラの香りがします。ルリタテハの染液も同じ香りがしました。サルトリイバラの若い葉は食べることが出来、実も果実酒に、根は漢方薬として重宝されているそうで、染液もお茶として飲めそうです。
サルトリイバラとイモムシが混じり合い凝縮したフンで染めた紙に、イモムシを描きながら、自分もサルトリイバラとルリタテハの世界に入ることが出来ているような気持ちがしました。(桃山鈴子)
うんちといっても原材料は植物。
イモムシの代謝を活用した草木染めといってもいいのかもしれない。
なんだか、ふわ〜っとおいしそうな香りがただよってきそうですね。
サルトリイバラの葉を使った三重県の郷土菓子「いばら餅」↓
中部以外でも西日本のいろいろな地方で作られているようです。呼び名もいろいろあるみたいですね。noteでも、いばら餅の記事が見つかりました。
桃山さんは最近、絵本『へんしん』のトークイベントで子供さんたちを前にお話しする機会が増えています。
イモムシのうんちについてのお話は特にみんな興味津々のようです。
たとえば福津市立図書館での講演会ではこんなお話を披露して聴衆をざわつかせていました↓
毎朝おそうじをして集めて、弱火で煮出して……ゆっくり時間をかけて染めた紙に、こまかく点描を打ってイモムシ画を描いていく桃山さん。今回の個展に展示するほとんどのイモムシは、それぞれのうんちから抽出した染液で背景を染めているのだそうです。
新作のマイマイガ、ルリタテハ、アケビコノハそれぞれのカラーサンプルと作画過程をご覧ください。
【マイマイガ】 飼育時の食草はサクラ
【ルリタテハ】 飼育時の食草はサルトリイバラ
【アケビコノハ】 飼育時の食草はアケビ
ぜひ、実際の絵を京都の新作展でご覧ください。
背景の紙の色にもぜひ注目してくださいね!
なお、伊丹市昆虫館さんでは「むしのうんこ展」を2023年5月8日まで開催中です! 桃山さんの個展開催期間中ですので、ぜひ伊丹にも足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
桃山鈴子さんの作品集『わたしはイモムシ』(工作舎)、絵本『へんしん』(福音館書店)も好評発売中です。