
「 いつもありがとう 」 4
席替え
「そう…だな。もう6月だし席替えするか!」
「じゃー、言い出しっぺの拓也!くじ作るのよろしく。」
担任の早川憲剛(ハヤカワケンゴ)は、その言葉どおり拓也の提案を受け入れた。
「はーい!」にっこりして颯爽と教壇へと向かう拓也。
ザワザワザワ~
「次は、窓際がいいなー」「俺、一番うしろがいい、寝れるし。」
ちらほらと次の席がこうであってほしいという要望をそれぞれつぶやきはじめる。
ぼくはどうでもいいなーと心の中でつぶやきつつ、斜め前の席のカバンに付いている少しグロテスクでどこか可愛らしいぬいぐるみをぼけーっと眺めていた。
「ねーねー相川さ-ん!つくるの疲れてきたからさ女子の分手伝ってくれない?」
「うん、いいよ~。」
相川は、このクラスの中で人気が高い女子だ。陸上部で顔も可愛いし、そんなにガツガツ話さない。それに体育の授業のときだったか「おれ、相川に告白しようかな?」と誰かが言っていたのを耳にしたことがある。
10分後
ぼくの手の中にあったくじの番号は、
18番だった。
黒板から見ると、廊下側から2列目の後ろから2番目だ。
~もくじ~