フルーツ盛り合わせという不思議な憧れの存在 【プロ資格マニアのつぶやき】
※カバー写真は阪九フェリー「いずみ」のフルーツポンチ
キレイにカットされたフルーツが、ぎっしりと美しく並ぶ「フルーツ盛り合わせ」。テレビやグルメ雑誌、写真素材では見たことがあるが、実物を見るにはどうしたらいいのだろうか?
りんごのうさぎが嬉しかった子ども時代
幼稚園に通っていた時、お弁当箱にときどき隠れていた「りんごのうさぎ」。祖母が一手間かけて作ってくれたのが、嬉しかった。
私が中学生、高校生だったころ、料理人対決番組や高校生の料理選手権がテレビでよく取り上げられていた。そのようなコンテストでは、ただ料理を作るだけでなく、美しい盛りつけ、複雑な飾り切りなども求められていた。
私もマネをして、りんごをかっこよく切ったり、トマトや柿、チーズ、ハム、チョコレートなどいろいろなものをキレイに並べたりしていた。
フルーツ盛り合わせをテレビで見たのは
フルーツ盛り合わせをテレビで見たのは、ホテルのレストランで働く人々を映した番組だった。
パーティのための豪華な盛り合わせが作られていたが「派手にすればいいだけでなく、切った果物の大きさを均一に、断面はきれいに」と気を使われているのが印象的だった。
「うわぁ、こんな綺麗なもの、プロの人だからできるんだなぁ……」
ゴージャスなフルーツ盛り合わせを、実際に見てみたい。美味しいフルーツをたっぷり食べてみたい。フルーツ盛り合わせは、憧れの存在になった。
カットフルーツならスーパーで売られている
スーパーの果物のコーナーに、カットフルーツが並ぶようになったのは、いつ頃のことだろうか? いろんな種類のカットフルーツが、透明のパックに詰め合わせられている。凝った切り方をされているわけではないが、何種類ものフルーツが詰め込まれているだけで、おしゃれな感じがする。
「自分で作る何か」は「憧れの何か」とはかけ離れてしまいそうな気がする
今の時代、フルーツ盛り合わせの作り方(切り方、飾り方)自体は、ネットで調べればわかる。スーパーで販売されている果物の種類もかなり豊富で、材料をそろえることもできるだろう。
時間と労力をかければ、自分でフルーツをカットして、きれいに盛り付けることはできるかもしれない。
しかし「できるかもしれない」のに、やるのが少し怖い。自分で料理をするようになったからこそ分かる、プロと素人の決定的な違いや、自分の苦手な部分。それが分かっているからこそ、「自分で作る何か」は「憧れの何か」とはかけ離れてしまいそうな気がするのだ。
お腹を満たすための食べ物、心を満たすための食べ物
私たちが生きていくためには、お腹を満たすための食べ物が必要だ。そして、お腹を満たすだけではなく、心を満たすことに役立つ食べ物もある。
この2つははっきりと分かれているわけではなく、たとえば果物も健康を保つために必要な部分がある。そして、美しく飾り付けられたフルーツ盛り合わせの形になると、心を楽しませてもらうための食べ物という役割が強くなる。タピオカドリンクやアフタヌーンティーなども、お腹というより心を満たすためにいただくことが多いだろう。
お腹と心、どちらもバランスよく満たされているときこそが、幸せだと思う。料理を作るのに、お金や時間をかけられないときでも、友人や家族と楽しく食べることで、美味しさが変わる。
いつか、どこかのレストランでフルーツ盛り合わせを注文できるような人になって、大事な家族や友人たちと一緒に食べてみたいなぁ。
そのような憧れの気持ちが、食べ物を実際にいただく前から、心を満たしてくれているのだと改めて思う。
河野陽炎の本とコンサルティング