広告振り返り~2023年の広告を振り返りつつ広告最強ランキングを作る~
今年もいよいよ終わる。2023年も大量の広告が作られ、放映され、様々な人々の目に広告の形で情報が届けられた。相変わらず広告賞で見かける広告や、広告を作る側の人間が素晴らしいと紹介する広告は何だか分からないし、そもそも現代人の多くは広告ブロッカーを使用しているらしいではないか。
広告を見ている人間はもはや少数派なのかもしれないが、それでも広告を見るやきそばは広告を見続けてきました。自分でまとめた計697205文字からなる12ヶ月分のまとめと追加資料から、2023年の広告をランキング付けしていきましょう。
・2022年広告のあらすじ
2022年はTwitter広告が最後の輝きを放っていた時代だった。広告四天王と呼ばれたザ・グランドマフィア&マフィアシティ、ザ・アンツ、EVONYはTwitterにおいて見かけない日は無かったし、唯一四天王の中に割り込んだ光の広告、なかやまきんに君が出演する広告が放映されれば大体バズる、という状況であった。
悪質な広告として挙げられるのはスーパーウィザードや神獣伝説~エボリューション・ディバウア~が著作権を無視していた程度。それ以外は誇張が激しいパズル&サバイバル、秋葉原をジャックした最強でんでん、茶番ばかりしているおねがい社長、「もう、また騙された!」で話題を獲得した超次元彼女などがうざい広告、クソ広告と誹られていた。
2022年11月、イーロン・マスクがTwitterを買収し、新CEOに就く事が発表された。これによって政治的な主張の偏りが無くなるとか、いけすかないTwitter Japanの社員が解雇されるとか、Twitterに生息するオタクたちが喜んでいた所から、2023年の広告振り返りが始まる。
より詳しくは昨年の振り返りをご覧ください。
・2023年広告ダイジェスト
・2022年12月
最速のパクリ屋、X-ヒーローが登場。この時期に流行していた犬をハチから助ける広告をベイラーレジェンドからパクり、いつの間にやらX-ヒーローが犬を助ける広告の第一人者になってしまう。
異様に出来が荒い広告として無限レーンが登場し広告好きの間で話題になるが、それ以外に目立った新作は無し。おねがい社長やアンツ、マフィアシティなど既存の強い広告が幅を利かせていた。
・2023年1月
この頃から徐々にTwitterの様子がおかしくなる。手始めにTweenやTwitpaneなどのサードパーティアプリが禁止された。それと同時に広告を減らせる有料プランを導入し、Twitter広告をまともに見ないユーザーも増加していった。
にわかにTwitterの異変を察し、MissKeyやmixiなどの別SNSへの転進を考えるユーザーが増えていく。自分もTwitter運営に違和感を抱き、Tiktokのサブ利用と広告探索を開始したのがこの頃。
それでもまだTwitter広告のシェア、環境は健全だった。陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデンやNIKKEなどは比較的オタク向きの広告であったし、最強でんでんやおねがい社長といったいつもの面々も引き続きTwitterでの広告を続けていた。
・2023年2月
2023年広告の特徴、ガチャインフレの波がやってくる。名将の復讐が無料1000連ガチャを広告し始め、それまで無料200連ガチャが定番だったゲーム広告界隈に衝撃を与えたのだ。しかも、23年の偽ゲーム広告でしばしば使われるモチーフになったゲートくぐり広告が登場したのも2023年2月のAge of Originsだった。
生成AIを用いた合成音声でHIKAKINに成りすました広告が放映される事件も発生し、時代が大きく動く前兆を感じさせる月である。
・2023年3月
ダークテイルズ、空の勇者たちも無料1000連ガチャブームに乗り、いよいよゲームの最初は1000連ガチャという風潮が強まった。最新iphone、PS5、Nintendo Switchのプレゼント企画とセットで1000連ガチャを告知しつつ、偽ゲームやテーマソングを紹介する阿波羅モデルは、2023年の新作ゲームが扱う常套手段と化していく。
そして生成AIを活用した広告の雄であるオタ恋が登場したのも3月。生成AIも広告を制作する際の選択肢の一つとして認識されるようになり、2023年の広告環境において重要なターニングポイントとなった月である。
余談だが、3月に消費者庁がステマ規制を10月から行う事を発表する。今にして思えば、極めて巧妙に一般人の言論に擬態するような広告が増加しつつあった状況にテコ入れが入ったのは英断だったと言えよう。
・2023年4月
ショッピング広告や借金減額診断の広告で複垢での投稿が目立ち始める。アカウントをブロックされても広告出来るようにする広告側の抵抗術であり、プラットフォーム問わず複垢投稿を行うのが一種の広告避けの攻略になりつつあった。
それ以外にも新規タイトルが大量に登場し、最強でんでんは35本もの広告を一ヶ月に連続投稿して話題になる。春の新生活に合わせて活発化した広告が目白押しであった。
・2023年5月
Youtubeが広告ブロック返しの導入を発表し、広告ブロッカーへの対策が各所で講じられる風潮が生まれる。この時期にYoutubeが発表した30秒飛ばせない広告も12月現在実装されており、15秒の飛ばせない広告×2を見させられるようになった。
またテンプレ流し込み広告、長編案件広告、過去の広告の使い回し、広告の一般募集など、様々な広告の形が再検討されるきっかけにもなった月だと言えるだろう。
・2023年6月
中華系ショッピング広告が大量に発生し、Twitter広告がショッピングの波に押し潰された。その数ゆうに165作の広告がアカウントを20種以上用意して襲来し、完全に似たようなスマホホルダーやズボンの広告ばかりになってしまう。
YoutubeやTiktok上ではメンズクリア系の脱毛広告も大量に広告を発出。脱毛器の広告も含めると遭遇率が非常に高い広告になり、脱毛か、通販かの二択を迫られるような環境に変貌しつつあった。
この時期からオタ恋が太った男性を活用した広告を開始し、おねがい社長は3周年を記念して地上波で山田孝之を起用した茶番広告を放映。広告の勢いはブロックや有料会員バリアを張られてから一層増した。
・2023年7月
TwitterがXに変わり、コミュニティノート機能が実装される。これにより追い風を受けたのがEVONYで、この機能で偽ゲームにツッコミを受ける事でかえって注目度を高める事に成功した。
またドット勇者が多数のゲームタイトルから映像をパクリ、叩かれて謝罪文を公開する。これもかつては著作権の認識が甘い海外タイトルがやってきたかと思われていた。
しかしこの頃から、Xで行われていた広告が他プラットフォームに主戦場を移すような動きが活発に見られるようになる。イーロン体制になってからXから広告主が離れた、というのは真実だろう。
・2023年8月
1000連ガチャに端を発したガチャバトルは、ワンちゃんごちゃごちゃ大戦争がぶちこんだ無料9999回ガチャから急激に勢いを無くしていく。代わりに登場したのが宝箱式の広告で、無料で手に入る宝箱(育成アイテムを含むガチャ)を1000個以上引ける、という形で異なるガチャ風広告のアプローチを行うブームが起きた。
ショッピング広告ではオナホールのCMがYoutubeで流れてしまい、一時騒然となった。これまでも性行為描写のある漫画が採用された通販広告などは存在したが、直接的にオナホールが流れたのは初めての事である。
・2023年9月
9月は過激なエロ描写を目指した広告が増加したのが特徴。獣人女の胸を舐め回すウルフゲーム、姫が茂みで召使と行為に及んで子を作るが血筋の違う子を産んだせいで王宮を追放されるキングスチョイスを筆頭に、削除されないギリギリのエロを求め始める。
有名人に成りすました投資詐欺広告がニュースになったり、Google広告経由で振り込み詐欺サイトに繋がる場合がある事が報告されたりと、クリックする事すらリスクにつながるような広告も急激に増加。8月にも福島第一原発処理水問題に絡んだ詐欺サイトへ飛ばす広告や水質検査キットの通販広告が放映されており、広告界隈のモラルが完全に終わっていた時期。
・2023年10月
様々な方向から生成AIの活用が見られたのが10月の特徴で、AIタレントの実戦投入から巧妙な詐欺広告まで様々なAIの活用が見られた。結局は使う人間の良識次第とはいえ、この状況では安全な物であると紹介するのは難しいだろう。
この頃からX上でスパム投稿やスパムリプライも増加。Xへの不満は日に日に高まる中、PC版X限定でブラクラ広告が流れるような事件も起こる。その上でbing chatの回答にマルウェア入りの広告が流れたりと、そもそもサービス本体の歪みも表出してきたような時期である。
・2023年11月
10月までの広告があまりにも荒廃していたせいか、11月は比較的穏やかな広告環境であった。
目立った事件は無く、比較的各広告の力作を落ち着いて見られるような状況になっていたのが印象的。巧妙に一般人の投稿に擬態した金曜夜ドラマ『ハイエナ』、妙にのっぺりしたアバターが印象に残るmeta quest 3と推しの子のコラボ広告、NIKKEのテンプレ流し込み広告など、色々と面白い広告を見られた。
・広告2022年組の経過観察
・X脱出か、それとも残留か
2023年はぐっと表現の過激さが増した結果、既存タイトルとしては何かしらの+αが求められる年だったと言えるだろう。
例えば環境の変更。TwitterがXになってからルールが頻繁に変わる上に、ユーザーが有料会員になって閲覧しない権利を得た今、Xにしがみ続けるのは危険だと捉えるタイトルが増えた。例えばパズル&サバイバルやトップウォーは、早々にXでの広告を避けて主戦場をYoutubeやTiktokに移している。
生成AIも新しく取り入れる武器としては強力だ。特におねがい社長は上手くAIを活かしてコストカットをしつつ、コラボの頻度を増やす事に成功した。社長に関しては4月を境にXを退いてYoutubeやTiktokを主軸に広告しており、そちらで新しい顧客を探すエネルギッシュさを見せている。
あるいはXに残るにしてもコミュニティノートを追い風にする離れ業をかますEVONYや、単純な変わり種広告の物量で勝負するアンツ、コラボの頻度をさらに高めて勝負する荒野行動なんてのもいる。解決法は様々だが、何かしらの特色が無いと評価向上は難しかったと言えるだろう。
・新しい武器の無い既存勢は苦しい立ち位置
2022年はとにかく面白い物を出すか、あるいは可能な範囲での物量戦を仕掛ければよかったのだが、生成AIを活用する新規勢やモラル無視の広告を仕掛ける中華系広告、1000連ガチャという武器を振り回す新規勢はあまりにも強い。
その点新しい武器を手に入れられなかったマフィアシティや最強でんでん、state of Survivalは広告が難しかったと思われる。特にマフィアシティとステサバは3DCG広告が多いし、生成AIを適用するにしても背景素材に少し使えるかどうかだろう。
・なかやまきんに君は万能広告役者に進化
2022年に猛威を振るったなかやまきんに君を筆頭とした筋肉広告であるが、筋肉があれば話題になる、というほどでは無くなった。いまだに面白い一要素ではある物の、最盛期ほどではなくなった印象。
その中でなかやまきんに君だけは農林水産省、厚生労働省などの行政機関の広告や埼玉県の統一選挙PR動画などに出演するようになり、もう一発屋の広告芸人とは言わせないレベルの大活躍を見せるようになったのはご存知だろうか。昨年までは出れば受けるネタキャラだったのが、今年では健全だけで構成されたようなイメージキャラクターとしての道を歩み始めたのだ。
もちろん2023年でもブックオフ、カップヌードル、0秒チキンラーメン、ローソン、LINEMOなど企業の広告にも出演。筋肉が広告で有効なのではなく、なかやまきんに君が特別広告との親和性が高かったのだと知らしめる形になった。
・2023年の広告トレンド
・Adblock対策の流行
最初に書いておくべきこととして、Adblockやサードパーティアプリによって広告を見ない選択肢を取る人間が企業から見ても看過できないほど増えた事は念頭に置かなければならない。
Adblockなどの外部アプリによる広告排除自体は2000年代からあったらしいがそれがより一般に普及し始めて、YoutubeやXなどが対策に乗り出さねばならなくなったのは明らかである。
しかしAdblockの使用によって広告を出している側の収益が減る事を認識した人が増えたのもまた事実。結果Adblockを活用しつつも、有料会員登録が出来るなら有料会員登録をして広告を消す人も増えた。
・生成AIの活用(2023年全般)
合成音声、Stable Diffusionなど、さまざまな生成AI技術が広告で試されたのが2023年の特徴。
詳しくは以下の記事をご覧頂きたい。
・射的広告(2023年全般)
偽広告のジャンルとして様々なゲームが2023年にパクったのが、Age of Originsが生み出した射的に加えて「+3」などとかかれたゲートをくぐる広告。
これのどこに魅力があるのかは分からないが、EVONYやパズル&サバイバル、モリノファンタジー、トップウォーなど多くのタイトルがマイナーチェンジを加えながら射的広告をパクっていた。最後にはやられる所までがお約束であるが、Age of Originの場合は最後に生還するようなパターンもたまに出して飽きないようにする工夫が見受けられた。
・メンズクリア式脱毛広告(2023年全般)
3万円のAmazonギフト券や12万円相当の脱毛器など、プレゼントを紹介しつつ施術費用の割引を訴求するメンズクリア式脱毛広告はプレゼント内容に各社アレンジを加えながらパクられるテンプレとなる。
摑みは美人な女性店員が出てきて、彼女が怒ったり、懇願したりしながらプレゼントを紹介し、施術内容を伝える。そして予約枠が減ってきている事を伝えて急かしながら、広告を終えるのが基本的な流れだ。広告によって順番は前後するが、概ね紹介する内容は一緒。
メンズクリアがショート動画形式で行っていた脱毛広告は、RBLやレイロール、メンズRushと言った脱毛サロンから、AGAクリニックのような髪を生やす方の広告にまで採用されるようになる。このブームに乗らなかった脱毛サロンはメンズエミナルくらいであり、それ以外はアマギフをちらつかせる広告が非常に多かった。
・阿波羅モデル(2023年4月~)
「大量ガチャ+豪華プレゼント」「偽のステージ紹介広告」「偽のゲーム紹介広告」「Tiktokウケしそうなテーマソング」の四本柱で広告を行うのが阿波羅モデルである。おそらくベースになっているのが2021年に魔剣伝説をリリースした4399の広告方針で、それに現代的なアレンジを加えたような最新広告戦術と言えるだろう。
ちなみに大量ガチャは1000連ガチャ付近を告知しつつ、PS5、Nintendo Switch、最新iphoneなどをプレゼントする事を謳うのが定番。プレゼント内容は時期によって変化するが、大体は高級電化製品と大量のガチャを告知するのがポイント。
これをダークテイルズ、三国志アナザーと阿波羅テクノロジーが開発したゲーム2種にそのまま適用したことから、阿波羅モデルと命名した。阿波羅モデルを明確にパクったのはドット勇者や時計物語:リセット、こんにちワン!ヒーローなどが挙げられる。
・テンプレ流し込み広告(2023年5月~)
2023年になってから急激に、テンプレに流し込んで作られたであろう似通った広告がYoutube上でしばしば見られるようになった。もちろん時期の問題もあるだろうが、テンプレ流し込み広告も以前より選択肢に入るようになったと言えるだろう。
結局凝った広告を依頼するのは金がかかるし、高い金を払って広告の結果が出ない可能性を考えると安上がりで広告して名前だけでも覚えてもらおう、という方針で行っている物と思われる。広告などどうせブロックされるけど一応やっておきたいと考える人にとっては、当たればラッキー程度の精神でやる選択肢が増えたと言えよう。
・クローン系ショッピング広告(2023年6月~8月)
複数アカウントから大量のショッピング広告を投稿する広告方針。
一つのアカウントをブロックしても他のアカウントから広告が流れてくる複垢戦法自体はメンズクリアも取っていたが、それをより派手にしたのがこれ。具体的には1ヶ月で最低でも165作投稿されていた時点で、その異常性が伺えるだろう。
詳しくは以下のまとめをご覧頂きたい。
・長編案件動画全編上映(2023年6月~)
Tiktok Liteやアイスダンディが取った広告戦略は、10分以上ある案件動画を全編広告で放映するという手法だった。特にTiktok Liteを広告する『【衝撃の実話】温泉でなごみの元カレと遭遇して喧嘩になった話がヤバすぎた…』は、24分21秒もの長さの案件動画を全編いきなり垂れ流しにする辺りに他の広告とは一味違う所を否応なく感じさせる。
これだけ長い案件動画を流す事によって、広告だと思わせずに広告を閲覧させようと言う狙いだろう。実際に広告は嫌いでも案件と言うなら広告を見るようなユーザーは非常に多く、今後これをVtuberや芸能人、その他各ユーザーに興味のある範囲内でやり始めたら人々はコロッと広告を見始めるのではないかという懸念がある。
もちろんYoutube広告は以前から59分くらいある動画を突然プロモーションで流したりしていたが、明確に日本語で、かつ告知の意図のある動画を放映し始めたのは今年からの流れのように思う。
・宝箱広告(2023年8月~)
阿波羅モデルによって1000連ガチャにインフレしたガチャバトルは、さすがにそのままインフレし続けては危険だと考えられたのか別方向での勝負を検討し始める。その際、ガチャの代わりに持ち出されたのが「宝箱」だ。
無料で手に入る宝箱を開くとキャラクターの育成用アイテムあるいはキャラが登場する。要素としてはこれだけだが、こうすると無料で大量にガチャを引けるかのように告知出来るのだ。雰囲気としてはガチャっぽいが、結局育成するには大量にキャラを合成しないといけないのでさしてお得という訳では無い。
何はともあれ、1000連ガチャは1回きりだけど宝箱は毎日大量に配られて、毎日大量にガチャを引けるから無課金に優しいぜ! しかも一瞬で2000ステージ進むし朝起きたらレベルは1000になってたぜ! というインフレを主張するのが基本である。三魚国志は実際にやったので知っているが、当然これは誇大広告。
宝箱を採用したタイトルは三魚国志、サンローラン騎士団が代表例。この宝箱広告をベースに、阿波羅モデルを一部採用したのがこんにちワン!ヒーローで、9999回ガチャという衝撃的な物量をぶつけつつ宝箱システムを採用したのがワンちゃんごちゃごちゃ大戦争。
・エロ広告ブーム(2023年9月~)
誰も彼もが大量のガチャを紹介出来る訳ではない。そうなった時、残されるのは様々な形で性的描写を出してネットの注目を集める事である。
これが成功したのがHero Warsとウルフゲーム。Hero Warsは単眼巨女のよだれを受けると大幅にレベルが上がる主人公を登場させ、視聴者の度肝を抜いた。それ以外にも恍惚の表情で剣を扱き出す異常男性を出したりと、元々エロ釣りは結構やっていたタイトルだ。
ウルフゲームはシンプルに狼が獣女の胸を舐めるというYoutubeショート広告を放映し、これもこれで視聴者を驚愕させた。海外はケモノには優しいというジンクス通り最初に発見された1週間後にも未だに放映が続いており、おそらく削除されないまま放映期間が終わったと思われる。
広告に関する審査が甘くなっていたのもあるだろうが、特殊な性癖をぶちまけていく事によって注目を集めるような広告で勝負をかける広告は今後も増えていくのかもしれない。
・2023年広告最強ランキング
ここまでで2022年~2023年の広告を振り返れたので、さっそく本題に入ろう。広告を見るYAKISOBAが1年間収集したデータより決めた、最強ランキングは上の通りである。
今回本noteでは広告を以下の7つのステータス、広告七要素に分類し、広告を評価する事を試してみた。この評価基準はあくまでオリジナルの物なので、今後変更、調整を行う場合がある点をご容赦願いたい。
基本的にはこれらの要素を最低0点、最高6点で評価し、これらを足し合わせた総合得点が高い物を上位においている。
今回は広告数、総合評価などもグラフで用意したが、かなり画像が多くなるためB~Cランクの紹介はグラフでの紹介は省き、文面と得点のみ後述する。主に今年の広告を象徴するレベルに到達しているAランク以降から、広告最強ランキングを詳しく見て行こう。
・Aランク 広告七星
・ドット勇者~全てを過去から手に入れた勇者~
ドット勇者はパクリ広告をリリースして謝罪文を出すところから広告を始めるというユニークなスタートダッシュを切ったのが印象的。それ以降は偽広告、プレゼント紹介、1024連ガチャとダークテイルズの初動戦略をベースにした広告をメインとしていた。
パクリ広告をリリースした事によって悪名が広がったかと思いきや、ドット勇者自体は広告によって売り上げの向上を果たしているのは意外。そもそもパクリ問題自体Xに張り付いていたゲーマーしか知らなかった可能性もあるし、広告で惹かれて始めてみたらそこそこ面白かったという声もある辺り、ゲームの出来自体は結構良かったのだろう。
登場が遅かったとはいえ、サービス開始した9月よりも前、7月から多数の広告をリリースしていたのは注目したい。主に7月付近に著作権違反でボヤ騒ぎを起こし、実際にゲームが始まる9月に一気に広告を畳みかけていた辺り、パクリ自体は計算ずくでやっていた可能性も考えられる。
パクリ問題で炎上すれば広告をブロックしている人間にもタイトルを周知出来るし、色んなタイトルでパクリをやればどこかでひっかかる可能性が高まるだろう。初動は悪い話題で認知度を高めつつ、リリース後は比較的正統派な広告を続けて結果を出すという流れがキレイにハマった。
・Jmin Games~虚空のAI魔術師~
実在しないゲーム広告という珍妙な新ジャンルを持ち込み、市場調査用に生成AIを活用した意欲作。生成AIを活用した広告はJmin gamesが最初であると言う説(個人の意見です)もあり、広告界隈の異端児と言って良い内容になっている。
存在しない偽広告自体は見慣れたものだろうが、ダウンロードする事すら出来ない広告は中々お目にかかれない。
最初に見た時の衝撃で言えばどの広告よりも強かった。アンケートとして広告をやるにしてもアンケートフォームへのリンクがあるイメージがあったから、単にインプレッションや反応を見て効果を判断する予定だったのだろう。
以下の記事で詳しくまとめているので、気になった方はそちらもご覧ください。
・マフィアシティ/ザ・グランドマフィア~試行錯誤の極道兄弟~
昨年と比較すると1段ランクは落ちたが、依然存在感のある古参プレイヤーがここで登場。今年はマフィアシティがPEAKY BLINDERSという海外ドラマともコラボし、広告もやっていた。
実はグランドマフィアが年末に生成AIを活用した広告をTiktokで試していた事もあり、今後新しいスタイルの広告を試そうとしている最中だった可能性も高い。2024年に期待。
XがTwitterだった頃は活動が活発だったが、イーロン運営になって以降どこで広告をやろうか、と迷った形跡が見られる。Youtubeに帰るのか、それともTiktokを開拓するのか。もしかしたらもう少しYoutube広告をやっていたかもしれないが、それにしてもそう頻繁にはやっていなかったはず。
何にせよ、そうそうXには戻ってこないだろう。
・荒野行動~6年超えてなお強まるコラボの魔王~
荒野行動が特筆すべきは、やはりその怒涛のコラボ力である。毎月1回以上はコラボを確認しており、その相手も転スラやオーバーロードのようなラノベからHIKAKINのような配信者、エヴァンゲリオンやULTRAMANなど、とにかくコラボ先が豊富なのである。
よほどやり手の営業がいるのか、それとも日本とのパイプがしっかりと出来上がっているのか。NetEaseと集英社ゲームズが共同でゲームを開発しようというプロジェクトは聞いているが、どうやってここまでコラボ力を鍛え上げて来たのかはかなり気になるポイント。
コラボが目立つとはいえ荒野行動らしい実写CMであったり、ゲームをやや誇張したような広告も引き続き行っている。Xではコラボ告知がメインで、Tiktokでは見映えする偽ゲーム広告がメインなのが特徴。
・ダークテイルズ~2023年を揺るがした阿波羅モデルの先鋒~
1000連ガチャ時代を切り拓いたパイオニアの一人、ダークテイルズはここにランクイン。同期に1000連ガチャをリリースした名将の復讐に対抗して1001連ガチャを出していたのも面白いが、画像広告や茶番広告の形式なども後にドット勇者、三魚国志、時計物語リセットなどがパクっていく基礎になった。
ちなみに新登場のキャラクターにテーマソングをつける紹介をしていたのも独自性がある。これは同社が出していた三国志アナザーでも運用された手法であり、1000連ガチャ、プレゼント、テーマソングは阿波羅テクノロジー社のテンプレ広告戦略、通称「阿波羅モデル」として運用されていた。
このように複数のタイトルで同一の広告戦略を取る例は2021年に魔剣伝説で猛威を振るった4399モデルを髣髴とさせる。
主にリリース付近の3月~5月、アニメ『ラグナクリムゾン』とのコラボ時に広告をしていた10月にピークがあるような推移となっている。Xに対する信頼性がやや低かったためか、TiktokやYoutube広告も併用して手広く広告をしていた印象。
コラボ期にXでの広告が増えるのは、TiktokやYoutubeだと話題を流す事は出来ても一般ユーザーから話題にしてもらうような働きが難しいから、という所が考えられる。この辺はコラボ広告を多数行っている荒野行動が未だにX広告が多い辺りも、コラボの告知をする際は未だにXが強い、というのは覚えておいても良いでしょう。
地味に11月はコラボのTVCMも放映されていたらしい。おそらくラグナクリムゾンが放送されているタイミングで放映されていたと思われるが、自分は確認できず。X広告を参考に記載しておいたが、見かけた方がいたらご一報ください。
・X-ヒーロー~音速のアイデア泥棒~
X-ヒーローはとにかく何でもパクるし、そのパクリ先も節操がない。Tiktokのエフェクトゲームだってパクるし、カジュアルゲームは一通りパクって広告にしてしまう貪欲さとスピード感が一番の特徴だと言える。しかもパクるたびにタイトルを変えるので、見るたびに違うタイトル違うサムネイルになっている事も珍しくない。
2022年12月にブームになっていたハチから犬を助ける広告をベイラーレジェンドからパクったのが成功してからというもの、それに味をしめて延々とパクリばかりやっていたのは面白過ぎる。ゲーム内の映像なんか一度たりとも出てこなかったぞ!
最初期はXがメインだったが、徐々にX以外を試そうとしているうちにゲーム本編が沈没してしまった印象。
そもそもパクれそうな所を全部パクったけど全部ダメでした! という所も考えられる。一時の成功経験を引きずり続けないようにしたいですね……
・トップウォー~嘘を独自の傑作に見せる天才~
偽広告を誇張し全く新しいゲーム広告を生み出してくるのがトップウォーの真骨頂。その様は元ネタの偽ゲームが分からなくなるほどであり、見ていてこれほど実際に遊びたくなる広告は無い。存在しないんだけど。
しかし2023年下半期以降は急激に新しいジャンル感が失われ、普通の偽ゲーム広告メーカーに落ち着いた印象がある。広告を作っている人がいなくなったのか、それとも誇張をしないでベースに忠実な広告をやっていた方が良いと考えたのか。真実は不明である。
2023年以降の主戦場はYoutubeに移した印象。
ちなみに2023年11月頃から、Last Warというタイトルがトップウォーの広告映像を直接パクって広告を始めている。このパクリに対して現状は静観しているようだが、今後どうなるかは注目して見て行きたい。
・Sランク 広告六道
・パズル&サバイバル~コラボに目覚めたゾンビパズル王~
ゾンビ入りパズル広告はそのままに、コラボの数を増やして注目度アップを狙ったのが2023年のパズル&サバイバルの特徴。ホラー系の作品を中心にコラボしているので、それが好きな人は自然にいきやすかったと思われる。
個人的に残念だったのは、後半のパズル&サバイバルが射的広告に凝り始めてしまった事か。猫も杓子も射的広告にとりつかれてしまったのは、一体何があったのだろうか。
パズル&サバイバルもYoutube広告に移住した広告の一人。youtubeショートでも、通常の広告でも見かける機会は多かった。
一応Xの広告も少しはやっていたが、あまり印象には残らず。コラボ広告もYoutubeやTiktokでの広告がメインになっていたので、Xを活用して云々という気は最初からなかったのだろう。
・EVONY~コミュニティノートを帆にして突き進む古代戦艦~
2023年のEVONYを語るなら、Xで追加された機能「コミュニティノート」のツッコミによって大きな話題を獲得した事は切っても切れないだろう。本来ウソを指摘するための機能だったはずが、あまりにも指摘を入れやすいが故に話題が急沸騰。
これを好機と見たEVONYはピン抜きではない様々な偽広告をリリースし、その偽広告の9割にツッコミが入ると言う偉業を達成した。悪い広告に指摘を入れよう、成敗しようという視聴者精神に見事に刺さったと言える。
コミュニティノートパワーで話題になるため、EVONYはわざわざXから移住する必要性が無かったタイトルだと言える。
とはいえさすがにX以外も開拓しようと考えたのか、9月頃からTiktokやYoutubeでの目撃例も出てきつつある。
・Hero Wars~数比べ広告のトップオブトップ~
Hero Warsは2023年に精力的に活動を再開し、評価をもう一度高めた広告界隈のレジェンド枠だと言える。鎧を着た男、ガラハド君が様々なヒドイ目に遭う定番パターンはもちろんだが、頭の上についた数を比べ合うミニゲーム広告の練度だけで言えば当代一である。
特に今年のHero Warsは、マニアックすぎる性癖をぶちまけていたのも特徴。単眼巨女によだれをかけられて最強になるガラハド君、剣をシゴいている様を見られて彼女にキレられるガラハド君、高台から小便をしていると思ったら滝を眺めているだけだったガラハド君……その出だし6秒で飛ばされないような衝撃的な画作りの巧さは古豪ならではのノウハウを感じる。
Hero Warsはちょっと珍しい広告構成。バナーとYoutube広告をメインに、時々Twitchで活動する配信者に案件を投げていた。
それも小路KOGや総師範KSK、ウスイなどチョイスがいちいちシブい。他にも案件を投げていたのかもしれないけど、自分の観測範囲に限ってHero Wars案件がガンガン投げられていたのは面白かった。
・ザ・アンツ~徹頭徹尾アリ広告を極めた職人~
アリを出演させた茶番広告を極めたのがアンツ。とにかく人間の姿が出てくる例が少ない……のが過去の特徴だったが、2023年になってからは舞台装置として人間が登場する例が散見されるようになった。
アリだけでなくカエルが踊る広告やトカゲと蜘蛛が戦うシーンなど、様々な動物の描写が見られるのも特徴。人間が出演するのが当たり前の広告において、これほどアリと他の動物ばかりが出てくる広告も珍しいだろう。
アンツはXがメインだが、たまにTiktokに実況風広告をあげていたのは確認されている。
何故アンツがXから離れないのかは不明。別に他プラットフォームに行く理由もないからだろうが、それにしてもXを捨てる広告が多かった中でXに残ったのは少し嬉しいポイントだった。
結果としてXでは数少ない面白いゲーム広告的なポジションにいるワケだし、無理に移住しなくても良かったのかもしれない。
・おねがい社長~生成AIとコラボ広告の二刀流~
おねがい社長は生成AIを取り入れてエロ方面に振った広告をメインにし始めたのが特徴。何故ならX広告では茶番広告をメインにした方がウケていたし拡散を狙えたのだが、TiktokやYoutubeでは茶番広告をやったからと言って二次的に拡散してくれないからだ。
社長の画風と生成AIの画風が似ていたのはラッキーだったが、そのラッキーを上手く活かして安価にハイクオリティな広告を出していたのは社長の手柄である。
これでコストを浮かせた分を有名芸能人、声優、アイドルコラボに使う事によって、過去には見られなかったほどのコラボの物量を達成。コラボCMの中でも山田孝之を採用した金持ちババの10連ガチャ広告は広告界隈が待ち望んでいたおねがい社長の実写化であり、想像以上のクオリティで感動させてくれた。
こうしてグラフで見ると、おねがい社長ほど明確にXからTiktokやYoutubeに移った事が分かるのも珍しい。一応9月はXで頭文字Dのコラボ広告を行っていたが、それ以外はYoutubeとTiktokを主軸にした広告戦略を取っていた。
おねがい社長を見かけなくなっていた人も多いかもしれないが、それはXをメインにインターネットを使用している人だろう。活動自体はX時代よりも活発になっている可能性がある。
・モリノファンタジー~全方位に完成度の高い万能選手~
モリノファンタジーはとにかく全方位にバランスが良い悪さを放出していた。特に3億ダイヤ配布を謳いながら、そのダイヤはキャラの育成に使用するアイテムですという告知文句は盲点としか言いようが無い。ダイヤと言われたらガチャの石だろう、と思う人の先入観を見事に活用した。
それ以外にも著作権を破るし、相変わらず茶番広告はTiktokでやっているし、Xというフィールドを離れてからより一層活動が激しくなりつつある印象。
4月に異様にXでの広告が多かったのはDr,STONEコラボのため。
今回は集計から外れているが2023年12月にはデジモンアドベンチャーコラボを行い、その際もXでの広告が活発になっていた事を鑑みるに、やはりアニメコラボがある際はXで広告して二次拡散を狙うのは鉄板行動になっているようだ。
逆にそういうコラボが無い場合はTiktokでの広告を行い、知名度を上げようとしているようである。
・SSランク~二天~
・nonnotoo~広告界隈を焼き尽くしたショッピングの赫焔~
2023年の広告界隈の中でも格が一つ違う暴れ方をしており、広告擁護派の自分でもAdblockを使っている人を批判できなくなってしまうレベルで悪行を重ねたnonnotoo族はSランクよりも一段階上だと評せざるを得ない。
Sランク以下の広告でやっている悪行というのも当然悪行ではあるんだけども、文字通りレベルが違う。もちろん著作権を破るとか、広告に虚偽が含まれるとかも良くない事ではあるんだけども、ルイヴィトンのニセモノ販売や水質検査キットの販売容疑回り、また購入したとしてクレジットカードの番号を抜き取って不正利用されましたというのはもう視聴者に実害が及んでいるのだ。
広告から誘導されたサイトを使用すると危険な時代にまで戻るのは明らかに好ましくないし、このような広告を野放しにして「イヤなら有料会員になれ」というのもおかしな話だ。悪質なサイトから自衛するためにAdblockを使う方が健全な判断にすら思う。
ショッピング広告の活動は6月が最も活発だったのでグラフがおかしなことになっているが、後に中国からやってきたTemuなどもここに含めるなら11月~12月になっても大量に広告が見受けられる。
・オタ恋
生成AIを活用した広告であるオタ恋もSSランクの強さがあったと言えるだろう。しかし、この得点表で評価する分にはやや点数が足りないように見える。広告七要素的にはドット勇者よりも点数が少ないのだが、一体オタ恋はどこで他の広告と差をつけたと言うのか?
これを理解するには、ここまで真上から見ていた広告七要素のレーダーチャートを側面から見てみるとしよう。
そう、オタ恋が差をつけたのは隠された8つ目の広告七要素、話題性である。
最初に生成AIを使った事で得た話題性だけなら、他のおねがい社長やJmin gamesだって獲得している。しかしオタ恋はネタとして生成AIを消化するだけでなく、そこから男性と女性のカップル広告という第二の話題を作り、さらにぽっちゃり男性シリーズとして第三の話題を生んだと思ったら、ネットミームを生成AIで再現する第四の話題を作り出す。
これだけ大量の話題を作り、スクショで一般ユーザーに拡散してもらう事によって他の広告では実現し得なかった話題性の強さを実現したのだ。
そもそも広告とは何か。本来広告とは商品やサービスをメディアに乗せて、広く伝えるための物だった。それがいつの間にか過剰に我々の目の前に出てくる存在となり、快適な使用すら妨げるような障害物になった。その結果広告は有料会員になったり、Adblockを使用して表示させない物になっていった。伝える事ではなく見せる事が目的になってしまったから、広告は忌み嫌われるようになったのだ。
それに気づかず、Adblockを対策する側に回る者もいた。1000連ガチャやiphoneをプレゼントする事でプラスの要素を提示する者もいた。複数のアカウントを用いて強引に広告を見せたり、案件として見せたりする者もいた。だがこれらの対策は全てズレている。そもそも広告は見せて終わりではなく、それでサービスを伝えなければならないのである。
そんな広告が広告としての役割を果たせない時代に、広告が本来の役割を果たす方法は何か。その一つは一般ユーザーに受け入れられて、話題になる事である。有料会員になっても、Adblockを使っても、人の話題は消せない。優れた広告は話題になり、消費を促進し、社会に貢献していく。
オタ恋は過剰に読み込まない。スクショで拡散するだけでも充分な効果がある。面白さを多くの人と共有できるし、見たくなければスワイプして飛ばせる。元々X自体が無理矢理広告を見せるSNSでは無かった事もあいまって、オタ恋は自然と話題になり広告としての役割を充分に果たす事が出来たのだ。
・まとめ
2023年広告を見るYAKISOBAエンディングテーマ『空に響く約束の歌』
2023年は広告ブロッカーだけでなく、有料会員になって広告を飛ばすことが良いという風潮が広まった一年だったと言える。もちろん元々広告は邪魔な物だという認識があったかもしれないが、2023年になってからその邪魔さがいよいよ閾値を超えてきたのだろう。
現にYoutubeの飛ばせない広告は30秒に伸び、悪質な広告は増える一方で、バナー広告は消せない位置に×印が現れる。その上実害が及ぶ広告まで増加しているのだから、残念ながら広告をブロックするという行為は賢いと書かざるを得ない。だが、見せ方が悪かっただけで広告の内容自体は2022年よりも進化し、より良い広告になっていったタイトルもある。
もしも全人類がAdblockを入れたとして、人間の営みがある限り形を変えて広告は在り続ける。2024年は広告が広告のままで人と共存する日がやってくることを願い、本まとめを締めさせて頂きたい。
・オマケ~選外になったBランク、Cランク広告の短評~
グラフを作ろうとすると小さくなってしまい見た目があまり変わらないとか、ただでさえ文量が多いので全部グラフ形式で書いてたらスワイプ数が増えすぎてしまうとか、そういう理由で省いたBランク、Cランクの広告に関する短評を以下に記す。
・Bランク
・商人放浪記
とにかく不潔な広告である。靴下ミルクティーと称してミルクティーに靴下と羊のフンを入れるセンスは間違いなく他に無い。あっても困る。
・こんにちワン!ヒーロー
『社畜の逆襲は今だ』だけネット民に大人気。逆に言えばこのテーマソングが人気なだけであって、こんにちワン!ヒーローの広告は皆まともに見てないでしょ。さすがにこの曲だけで上位入りまでは出来ない。
・最強でんでん
プレイヤーから広告を募って実際にXで放映する「クラブ応援キャンペーン」は新しい広告とユーザーの関係を模索する良い広告だった。この影響で最強でんでんプレイヤーの方とコンタクトが取れたし、もっと広告は身近な物であると思わせてくれるような施策があって良いと思うんですよね。
・無限レーン
シンプルに出来の粗さで笑いを取ってくるタイプの広告。何も考えずに広告を見たい場合はオススメ。
・天地英雄伝
ファミコンソフト『天地を喰らう』をパクった作品。いつか消されるだろうと思ったら案外生き残っているんだよなあ……
・state of survival
茶番広告勢。見ていて面白いんだけど、いかんせん作品数が増えづらいのと確認の難しさが気になる。Youtube広告勢はリンクを取れないと拡散しづらいのがつらい。
・Rise of Kingdom
state of survivalに近い。こちらは海外ドラマ感を楽しみたい場合向き。
・メンズクリア
複垢広告と言えばこちらを思い浮かべる人も多そう。アマギフプレゼントで釣ろうと言う姿勢や延々同じ事をやっている感じは面白いのだが、いかんせん複垢勢は中華ショッピング広告のやっている事が悪過ぎた。
借金減額診断も似たような理由で選外になった。
・Cランク
・勝利の女神:NIKKE
X、Tiktok、Youtube、バナーのすべてでバランスよく広告していたのが印象的。ネタの具合としてもすべてがちょうど良かったのだが、全般的にちょうど良過ぎて上位勢ほど尖り切れてなかった感もある。
とはいえ2024年で一番期待できるのはNIKKEかもな、とは自分はフンワリ思っています。
・時計物語:リセット
昔ながらの魔剣伝説リスペクターに生成AIを加えた感じ。今広告が多いタイトルなので2024年に期待系。
・マージマンション
地上波進出や渋谷、新宿の野外広告など3周年でやっている事がかなり派手だったが、結局やっている事はあまり変わらず、見飽きてしまった感がある。おばあさんの謎を解け、というメインテーマにもう一捻りあったら間違いなく評価が二段階上がるタイプ。
・Toon blast
古参パズル広告勢。Xではっちゃけた広告をやっていたが、なんか薄味な広告が延々続いてた感がある。
・ワンちゃんごちゃごちゃ大戦争
広告の内容だけで言えばこんにちワン!ヒーローよりも面白かった。9999連ガチャとかはさすがに度肝を抜かれたが、いかんせん広告数が少ないまま消えてしまった印象。
・キングスチョイス
日替わり内室リスペクターとして、広告自体はかなり面白い。エロ要素が目立つがそれ以外も尖った映像広告が多く、見飽きない。登場が9月と遅くてより派手な広告が上位に多かったため相対的に落ちたが、来年もこれが進化したらさすがに評価が上がる。
・下町ドリーム
一時レトロ風広告でウケた。これもこれでちょっと汚い要素があったり、生成AIの活用があったりと意欲的な作品だった。ただ2023年全体で見るとパンチに欠けてしまったのも事実。
・パニシング:グレイレイヴン
カッコいいアクション広告、テーマソング推しは健在。だがそういう路線の広告として崩壊:スターレイルが登場したのが痛い。
そもそも健全広告は上位に上がりづらい要素付けになってしまっているので、その中でCランクにいる時点で充分すごいとも言える。ちなみに健全でカッコいい広告にしたいなら、パニグレ、原神、崩壊スターレイルの3タイトルの広告をしっかりベンチマークしてくれると出来が素晴らしくなるんじゃないかなと勝手に思っています。
・エバーテイル
広告目撃数自体は激減したが、まだ各所でぽつぽつと目撃証言が上がっている。むしろ広告の頻度が減った事で本物の怪異、あるいは幻のポケモンのような神秘性を得ている珍しい例。
自分もエバーテイルを探して広告を見ているようなところはあるし、熱狂的なファンを生む悪い奴なんですよ。
・Royal Match
王様を虐待する広告として年末になって話題があがってきた広告の一つ。
2024年の活躍に期待勢。