広告振り返り:~8月総括編~
・8月の広告のあらすじ
・ルーキー級に期待の新人が多数登場
8月のルーキー級は新人が非常に多く、2023年に広告を本格的にスタートしたタイトルの多さに目を見張る結果となった。
既存のテンプレをなぞったような内容から独自性溢れる物まで多くの広告が登場したので、是非確認してほしい。ちなみにざっと確認したところ新規広告は以下のタイトルだった。特に数が多い物は太字にしている。
・ガチャインフレの飽和点に到達した可能性
名将の復讐、ダークテイルズに端を発した1000連ガチャブームであるが、ワンちゃんごちゃごちゃ大戦争が9999回ガチャというプレイヤー1人に与えられる中ではほぼ最大であろうガチャ数で殴り込みをかけてきた。
1日1回だけ10連ガチャを引ける×999回という形で9999回ガチャを実現しているので若干ズル気味ではあるが、そのツッコミを避けるために9999連ガチャではなく9999回ガチャと紹介しているので詐欺ではない。ちなみに端数は最終日付近の995日目以降に含まれている。
とはいえさすがにガチャ数で勝負をし続けるのは難しいとなったのか、ガチャではなく宝箱を1000個以上引けるというアピールポイントにすり替わっているゲームも増えてきた。
この宝箱が一体何なのかは分からないが、三魚国志、サンローラン騎士団、こんにちワンヒーロー、ワンちゃんごちゃごちゃ大戦争が採用しており、新しいガチャバトルのフィールドは宝箱に移っている可能性がある。
こちらは自分もまだよく分かっていないので、8月まとめが終わり次第実際にやってみて確かめてみる予定です。
・ルーキー級の注目タイトル
・三国志アナザー
三国志アナザーはダークテイルズをリリースしたYUANLONG NETWORK LIMITEDの新作である。そこで学んだ新システムを活用しているのが印象的だった。
1000連ガチャ、ステージ紹介、PS5等豪華プレゼントキャンペーン、そして凝ったキャラソンを活用しながらもしものストーリーを紹介するキャラ紹介広告。この四本柱で攻めるのがYUANLONGスタイルであり、こうして独自戦略を組み立てて広告を攻略しようとしている様はかつて魔剣伝説で一世を風靡した4399スタイルを彷彿とさせます。
4399が天下を争った広告戦略は「偽ゲーム」「有名声優インタビュー」「有名俳優コラボ」「カッコいい、面白そうなPV」の四本柱だった。だが有名俳優を起用するのはコストがかかるし、有名声優インタビューもやられ過ぎて手垢がついてきた感は否めない。
そこで有名人に頼らないで見映えする広告戦略を確立しようとしているんだろうな、という気がしました。ダークテイルズの方がオタク受けする分評判が良かったように思うが、そこはYUANLONGの今後の研究力に期待です。
・ショッピング広告シリーズ
Youtubeで性処理用具のCMが堂々と流れてしまったのはもっと大事にしても良いと思うんですよね。オナホの広告が流れました~ってくらいはネタになるけど、9月には放射能汚染水問題にあやかって水質検査キットの広告まで出し始めるんだから、Youtubeの検閲はガバガバなんじゃないかと嫌疑をかけざるを得ません。
ショッピング広告勢としては使用者のスマホから通話履歴、写真などを不正取得した疑いがあるTemuも活動を開始したので、ショッピング広告界隈の治安の悪さは日に日に増していく一方です。ここ最近の広告界隈で一番終わっているのはショッピング系だ、という事だけでも覚えて帰ってください。
・こんにちワン!ヒーロー
こんにちワン!ヒーローはこの珍妙なテーマソング『社畜の逆襲は今だ』に全てが集約されていると言っても良いでしょう。Youtube界隈ではこんにちワンヒーローMADが増加し、歌ってみたまでアップされる微妙なブームがやってきている。広告界隈のレコード大賞があるとしたら間違いなく『社畜の逆襲は今だ』がノミネートする。
『社畜の逆襲は今だ』は本当に珍妙な音楽なんですよ。『酔いどれ知らず』に似ていると言ってもマッシュアップに仕上げるとそれっぽくなるだけで似ている気はしないし、歌詞とメロディのリズムは微妙にずれているし、歌詞は韻を踏んでいそうで踏んでなくて、PVはおじさんと犬が踊ってるだけ。全体的に変な曲だからかえって印象に残っちゃう中毒性の強さが魅力です。
ちなみに他の広告は有名声優インタビューやPS5などのプレゼントキャンペーン、2000ステージ進んだことを紹介する広告や宝箱紹介などトレンドには乗っているが、それらの広告の印象は全部『社畜の逆襲は今だ』に持っていかれている事に気付きました。とにかくテーマソングが面白い。
・ワンちゃんごちゃごちゃ大戦争(映像閲覧注意)
単純に広告のダメさ、悪さで勝負をかけているという意味では、ワンちゃんごちゃごちゃ大戦争の方がこんにちワン! ヒーローよりもすごいという事は触れておきたいなと思います。
広告でやっちゃいけない濃いピンクと明るい黄色のパカパカ演出、意味の分からない和訳広告、他社ゲームの音楽の無断利用、そして9999回ガチャという明らかに1000連ガチャブームに対して上回るように差し向けられたガチャ自慢。もう世の中で言う『クソ広告』のど真ん中ストレートを投げてきたのがワンちゃんごちゃごちゃ大戦争である。
今日びこんなにひどい広告を出しているのも珍しいし、何ならこのまま魔境の2021年に持って行っても文句なくクソ広告の烙印を押せるレベルの傑作です。こいつはすごい。
・ミドル級の注目タイトル
・オタ恋
オタ恋はAIイラストを活用した広告を4月頃から出しているが、8月に登場したファンタジー系広告でもう一話題取ってきた。
最近気づいたオタ恋の特徴としては、ほとんどの広告を画像1枚にしている事からスクショによる二次拡散でもポテンシャルを10割発揮できる事。広告投稿であるとXの有料会員、あるいはブロックしている人には広告が届かないし、その上ターゲティングから外れている場合も広告を見せられない。
しかし一般ユーザーからであればスクショ経由で広告を見せる事が出来るし、ターゲティング外の人にも見せつける事が出来るのでシステムの埒外までも広告の射程範囲に収められるのだ。しかもそれはネタツイートの体を成しているせいで広告なのに広告だと思われない。
だからスクショによる二次拡散を含めると額面以上の効果が出ているのは間違いない。動画広告やカルーセル広告の方が見映えすると思っていたのだが、現代のスクショによる話題性を考えるとネタになる画像広告もまだ捨てたものでは無いと証明してくれた。
・無期迷途
これをピックアップするかはメチャクチャ迷ったんだけど、それにしてもこのラップはマジで見て欲しいんですよ。ラップ広告と言うかただのラップだろうと言われたらそうだし、広告の機能を完全に果たしていないのかもしれないけども、安直に「広告でラップやりゃ話題になるんでしょ~?」とでも言いそうな現代の広告界隈に喝を入れるガチガチなラップ広告です。
放映されていたのもXだけなので知名度も低いんだけど、知名度が低かろうが良い物は良い。そういう事です。
・NIKKE
前々から広告を見かけていたNIKKEだけども、ピックアップするのは今回が初だろうか。イベント紹介、尻振りダンス、イベント限定キャラを紹介する広告と、必要な所をバランスよく全て紹介してきたなあという印象。
個人的にはNIKKEのダンス広告の妖しげな雰囲気が一番好きなんだけど、これだけだと8月に紹介している広告の中じゃあパンチが弱いんですよね。
こういう目を引くためだけの広告と、ゲームを真面目に紹介する広告を両方やるバランス感覚がピックアップの理由となっております。
・ライト級の注目タイトル
・タイミー
タイミーは雇用主側、労働者側セットで見ると味がしてくるカツ丼系の広告です。働かせる側は人手が欲しいけどずっと雇用しなくても良い人が欲しいし、働く側はずっと働きたくはないけど金が欲しい。そういうニーズをうまい事広告で表現している。
別にこういう広告自体はいつだってあるけども、全く同タイミングで両視点の新作が見られたのが良かった。最近はスキマバイトなる広告もやたら増えており、人手不足の深刻さを感じますね。
・有名人投稿擬態広告
8月のXから爆増したのがこういう一般人、あるいはインフルエンサーの投稿に擬態して広告を出しているパターン。正直以前からあったんだろうけども、10月1日から始まったステマ規制を見越して「#PR」というタグが付き始め、その広告性が明らかになった。
最近はツリーにPRをぶら下げて投稿自体はいかにも話題になりそうな文面を掲載しておくようなパターンも増加しており、広告に対するアンテナを常に張っておかないと広告の手伝いをしてしまうリスクがぐっと増えました。普通に広告をしていたら皆ツバを吐いてくるからって、広告じゃないように見せて広告をするからステマ規制の話が出てくるんだよなあ。
この辺は広告と言われたら無条件に嫌って受け取ろうとしない消費者にも責任の一端があると思うんですがどうでしょう。もちろん肝心のサービスが使いづらくなるほど過剰に広告を打ちまくったり、受け手の気持ちも考えずに強い表現をやる広告側も悪いので、現在の広告環境は人の業の末路と言っても過言ではありません。人類の罪、広告と向き合え!
・マスター級の注目タイトル
・ダダサバイバー
ダダサバイバーはスポンジボブとコラボする事によって、「A few moment later」をコラボで使うという荒業を仕掛けてきた。普段は黒寄りのグレーみたいな雰囲気で使われているあのmemeを堂々と使って怒られないのは公式コラボだけ!
ちなみにこの機会に改めてゲーム紹介広告も色々リリースしており、スポンジボブコラボへの気合の入り方が伺えます。
・EVONY
EVONYは相変わらず偽ゲーム広告をやっていたが、その中で一番面白かったのはこのウシを育成する広告。後にAge of Apesなどで猿を育成する広告が登場するけども、ウシが生肉を食って強くなるのはEVONYの特権です。
それ以外にもいつものAge of Originsの射的風広告をパクったりしているんだけど、ちょっとオリジナリティがあるのが良いですね。そもそも8月は常連勢が相当元気無かったので、これくらいしか無かったと言うのは内緒である。
・2023年8月のMVP
2023年8月のMVPはオタ恋です。
実際広告を観測しているとオタ恋が広告界隈外で話題になっているタイミングって3度あったんですよ。最初が露骨に生成AIである広告を出した3月で、2回目が太った男性と美女のツーショット広告を出していた6月、そして太った男性がコスプレしたり、イカツイ男性とくっついたりし始めたことで改めて話題になったのが8月の第3回ブームです。
実際3回も話題を作るって相当難しいし、これだけ話題になるバリエーションを作っている実績を考えると広告において最もAIを活用していると言っても過言では無い。その様はかつてのエバーテイルやおねがい社長、魔剣伝説クラスの話題性を持つと言って良いでしょう。AIイラストの間違い探しという最初の話題から、AIネタ画像という路線にシフトした慧眼が光る。
ちなみにこれらのAI広告、マジで実績が出て女性の入会者数が3~7倍増えたらしいので本当に効果のあるAI使用広告です。2023年2月頃は山ほどいたAI技術に驚く人達も見かけなくなってしまったが、もしまだいるなら是非オタ恋の広告を褒めちぎってくれよな!!