公立高校入試平均点からみて
本日もよろしくお願いいたします。今回はほぼ出そろいました公立高校入試平均点の結果をもとに、僕なりの視点でお話しできたら、と思います。
来年度から大きく入試形式が変わるところもあります。もちろん、問題の出題形式も異なるところが出てもおかしくありません。そこで、2022年までの平均点をもとに少し話していきたいと思います。
最後までお付き合いよろしくお願いいたします。
■【最新】入試正答率公開状況
まず、こちらの方をアップデートしたいと思います。2022年になって入試正答率を公開している府県が増えましたので、報告させていただきます。
①正答率をWeb上で公開している
北海道・青森・岩手(2022年より公開)・秋田・山形・福島・栃木・茨城(2020年より公開)・埼玉・千葉・東京・神奈川・新潟・山梨・静岡(2019年頃より公開)・岐阜・滋賀・大阪・兵庫・奈良・鳥取・岡山(2020年より公開)・広島・愛媛・高知・福岡・大分・宮崎・鹿児島
(以上29都道府県)
②正答率は作成しているがWeb上では公開していない
・宮城(問い合わせ中)
・群馬(非公表)
・福井(2020までは公開、開示請求を行う必要がある)→開示請求認可後、資料と郵送代金の振込を行う必要がある
・長野(冊子にて公表している・購入することで入手可能)→冊子が届いた後に指定口座に代金を振込む
・三重(開示請求にて対応)→開示請求認可後、資料と郵送代金を現金書留で郵送する必要がある
・島根(塾向けに資料請求にて応じてくれる)
・山口(非公表)
・香川(Webにて開示請求に応じてくれる、ただし全体の5%の数値)→郵送の場合は振込用紙に代金を支払った後に郵送
・徳島(非公開)
・佐賀(資料請求にて応じてくれるが取扱注意)
・長崎(冊子の貸出で対応)→250円返信封筒(A4)を年度分用意、返還時はまとめて送ってもよい
・熊本(県庁の情報プラザで公開しているが県外向けに対応はしていない)
・沖縄(開示請求にて応じてくれる)
(以上13県)
③正答率は作成してない
富山・石川・愛知・京都・和歌山
(以上5府県)
このようになりました。愛媛県は議事録という形で公表していました(とあるサイトでは非公開とありましたが、かなり前から公開されていました)。また、2020年から岡山県も公表してくれるようになりました(ただし平均点はWeb上に掲載していない)。現状作成しているかわからない3府県については判明次第報告させていただきます。また、今年より岩手県も正答率をWeb公開してくださりました。
岩手県・岡山県の素晴らしい英断に感謝したいと思います。反面、非公開にしている福井県、県外対応を渋っている熊本県などについては、素晴らしい英断に期待したいと思います。また、正答率を作成していない富山県・石川県の英断にも期待したいと思います。和歌山県については以前は公表してくださったのですが、情報によると近年は平均点及び正答率を一切公表してないそうです。何かしらの理由があるかもしれませんが、今後の入試制度を鑑みて公表していただけると幸いです。
是非、一つでも公開して指導の参考にできたら、と思っています。
■公立高校入試平均点からみて
では、本題です。今回の公立高校入試の平均点ですが、無事にデータが揃いました(熊本県は英進館のサイトより公開されました。)。
そこから見た平均点を見たいと思います(平均点データについては別資料を参照)。
いつもは単独で記事を出していますが、今回は思ったこともあるので、こちらで記事にしました。
そんな中、とある都道府県教育委員会から衝撃の話をいただくことができました。それは、「入試の平均点は60点を目標に作成している」ということです(ただし、都道府県によって基準は上下します)。つまり、どの都道府県もそれを目標として作成しているはずです。
ですが、上記のデータを見ていただくとわかりますが、その目標に近いのが国語のみなのです。理科・社会は55点前後、英語が53点、数学が50点となっています。社会は2021年のときの平均点が58点となっていましたが、これは入試範囲の縮小が起こっただけで、本来は55点くらいに収まっています。
そして、恐ろしいのが、2017年から2022年までの過去6年トータルの全国平均点と単年の全国平均点がほぼ一致しているのです。
そして、国語はほとんどの府県で平均点60点を超えています。その反面、数学ではほとんどの府県で平均点50点を下回っています。
僕の専門科目である社会ですが、上下差が大きいのが特徴です。60点以上を常に超えている都道府県もありますが、その逆に平均点が40点になっている都道府県もあります。現在、社会の平均点が50点を切っているところが石川・滋賀・広島・高知です。ここ数年は高知・石川が難化していますが、全体的に難しいのが広島です。
広島が難しい理由は、短文記述問題、自由記述の論述問題が課せられている点です。短文記述問題は全体の3~4割は出題されていますが、他府県と大きく異なるのが、2019年から100字をこえる自由記述の論述問題が課せられている点です(それ以外で論述問題を課しているのが新潟・静岡・福井など)。この問題の正答率があまり高くありません。部分点をもらえる前提でいくならそこまで正答率は悪くありませんが、この形式の問題が増えるのであれば確実に難易度が高まります。
その反面、岐阜県の平均点が高い理由は、9割は正誤問題、選択問題、一問一答形式の問題で占められています。短文記述問題も各大問で1題のみなので、高得点勝負になります。つまり、1問のミスが大きな影響を及ぼしてしまうのです。
注意しないといけないのが、突然平均点が高くなった年の次の入試です。そのまま高くなることもありますが、大体はV字で悪くなることもあります。
我々指導者もこのような次の年ほど気を付けるように指導をしています。
■今年、社会の難度が高かった理由は?
今年、社会の難易度は昨年よりも上がった、といってもいいと思います。理由としては、2021年入試は出題範囲の縮小があったため、その反動がそのまま出た、というよりは、2020年に戻った、と思った方がいいでしょう。
もう一つは、歴史でいうと戦後、公民でいうと国際社会の分野での正答率がやや低かったです。この理由としては、学校での学習時間が十分に確保できなかったのが要因とされています。つまり、学校指導の限界がすでに起こっているのです。それを解消するには、早い段階からの学習定着を映像授業・自習学習などで行っておかないといけません。遅くても冬期講習までには基本学習が終わっておかないといけない、のです。
これから、入試問題などの解析を踏まえて難度が高くなった理由などを解析したいと思います。
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