高校入試頻出テーマ史の攻略6 ジェンダー論
本日もよろしくお願いいたします。
久々に高校入試頻出テーマ史の攻略を行いたいと思います。
今回のテーマはジェンダー論です。少しばかりデリケートな内容もありますが、恐らく来年以降、出題される可能性が高いテーマの1つになると思います。
そこで、僕なりにテーマ史の攻略をしたいと思います。
最後までお付き合い、よろしくお願いいたします。
■ジェンダー論の背景知識
まずは、ここから行きますが、なぜ、ジェンダー論が出題されるか、というと、理由はいくつがあります。
このあたりが理由になります。まあ、簡単に言うと、時事的要素が強い、というのが理由になります。実際、SDGs絡みの問題で出してきた公立高校入試があります。なので、これらのテーマと関連性は知っておいたほうがいいと思います。
なお、ジェンダー論ではないが、歴史では女性史の出題もされています。こちらも合わせて解析したいと思っています。
■ジェンダー論 出題形式
では、早速、ジェンダー論をテーマとしたときの出題形式などをみていきたいと思います。
このあたりが形式になります。つまり、地理単独で出ることはあまりない、ということがわかります。では、1つ1つ解析していきましょう。
①歴史分野(前近代)
前近代の歴史分野で出るジェンダー論は女性史の出題が中心です。つまり、人物史での出題が中心となります。
女性史の出題で多いのは、皇室関係の問題、文学史の問題が中心となります。
古代・近世は皇室関係が中心、平安時代・中世は文学史、鎌倉時代では分割相続に関連させた問題がそれぞれ出題されています。
関連して押さえておく問題が分かれば、前近代の女性史はそこまで難しくないと思います。
注意点は、飛鳥時代・奈良時代の女性史が出る場合、都の変遷が出る可能性もあります。もちろん、時期別正誤問題や年代並び替え問題なども出題はあります。
②歴史分野(近現代)
続いて、近現代の場合ですが、前近代と異なり、政治に関わる人物(ただし、卑弥呼や北条政子が出ることもあります)、社会運動に関わる人物などが出てきます。共通して出るとすれば、文学史の出題です。
政治や社会運動で出題されるなら、津田梅子、与謝野晶子(文学史でも出題あり)、平塚らいてう、市川房枝あたりでしょう。
もう一つ、人物史ではないが、教育関係の出題も視野に入れておくといいでしょう(男女の通学比のグラフが出ることがある)。
また、津田梅子、樋口一葉は貨幣史とのかかわりで出題されることもあります。
人物史といっても、関連テーマとの出題があるので、前近代よりは関連性を意識しておきましょう。
③公民分野
公民分野での出題は主には女子差別に関する話、LGBT関係の内容が中心となります。
そして、SDGsの「ジェンダー平等を実現しよう」と関連させて出題することがあります。代表的なものは、女子差別撤廃条約、男女雇用機会均等法、男女共同参画社会基本法辺りは出てくるでしょう。そして、女性の働き方に関する問題も関連して出題されると思います。
④三分野総合
三分野総合問題の中心は、歴史・公民の融合が中心となります。地理を融合するのは少し難しい感じです。
上記のことと別に出題されるのは、女性参政権があります。
■入試で実際に出題された例
では、ここからは実際に入試で出題された例をもとに解析していきたいと思います。なお、今回は実際の出題例をもとにした解析なので、問題の使用許諾関係は特に問題ないと思います。
①出題例1:2016年和歌山県大問3
2016年和歌山県の問題では、人物史の中の女性史で出題してきました。主に時代で活躍していた女性を中心に説明文があり、それに関連した問題で出されています。この問題は全時代範囲の問題となっています。
女性も働き手になっていることも関連して出題しています。つまり、歴史分野を中心とした出題となっています。難易度は特に難しくありません。
②出題例2:2023年福島県大問4
続いて、今年出題された福島県の問題です。こちらも人物史を中心とした問題となっています。どちらかというと教育、近代産業を中心とした問題になっています。
また、世界の女性の例としてアンネ=フランクを題材に当時の世界の情勢を出題したものもあります。
つまり、このタイプの問題は、関連性を意識していなければ正答率が上がらないということがわかります。
実際、福島県の大問4の正答率は(1)(6)が正答率60%以上ありましたが、(4)を除くと正答率が40%を切っています((5)は部分正答率を含めても47.4%しかありません)。ちなみに、(4)は55.1%でした。
そして、これはテーマ史に限ったことではないのですが、近現代の歴史の正答率は全体的に高くありません。近現代の学習が追い付いていないのも原因としてありますが、それ以上に、語句の知識だけで何とかしようとする受験生が多いのでは、と思うのです。
今は思考力を求める問題が多いため、単純知識の学習だけでは対応ができません。そのうえ、直前期の学習だけで……という無責任な指導者がいるのも事実です。その学習だけで入試を乗り越えても高校に入っても同じようなことを繰り返すだけです。いち早く安易な学習から脱却して、思考力問題などを意識した知識の獲得を意識してください。
■テーマ史学習は最後の仕上げにも最適
現在、社会の入試実戦の最後の問題集として、テーマ史学習は最適解だと思います。もちろん、過去問を中心に行うのも悪くはないですが……
個別指導の講師によっては、単元別問題集を中心に行っても事足りる、といっていますが、それは状況による、と思います。もし、志望校の偏差値が50前後のところであれば、その学習でも効果はある程度あると思います。しかし、志望校の偏差値が55以上であれば、それだけでは点差がつきにくいのです。だから、他府県の過去問などを行っているのが実情です。
注意点は、その問題をやったのちに解答があっているか、あっていないかだけを意識するのでは効果は薄いです。できていないところの原因、出題の言い回しなど気を付けること・意識することが多いのです。
つまり、小問対策を強化してほしいのです。大問対策は自府県の過去問で対応できると思いますが、高得点を取るにはそれだけでは不十分なのです。
現在の著書作業が落ち着いたら、次の作業として、テーマ史学習用の参考書をまとめたいと思っています。これは最後の仕上げにも最適だと思いますし、なによりも、市販教材としては今まで販売されていません。
そのためには、まずは僕が今まとめている著書の売れ行きと世間のニーズが大きく影響を及ぼします。
現在まとめている原稿については、もう少しで情報解禁できると思います。そこまでお待ちください。