第2章 病気を自覚し覚悟を決めた瞬間。闘病生活の始まりと心境の変化
まだ23歳。
こんなに若くして、自分が希少ガンになるなんて想像もしていませんでした。
「まだまだ人生これからって時なのに…」
「もうすぐ死ぬのかな…」
「何で自分なんだ…」
当然、最初はそう思いました。でも、普段からポジティブな性格だったこともあり、「誰だって人生は一度きりだし、時間は平等に与えられているもの。いつ死ぬかは誰にもわからない。だから、今できることを精一杯しよう。今を生きよう。」とガンを宣告された病院内ですぐに気持ちを切り替えました。そして、「1%でも生き延びられる確率を高められるように行動していこう。」と決めて、入院生活をスタートさせました。
入院初日、闘病生活は思っていたよりも過酷だと知ることとなります。コロナ禍ということもあり、病院外の人と一切の接触を禁止されることになりました。抗がん剤治療により免疫力が低下するため、万が一コロナウイルスに感染した場合、それで命を落とす危険性があることから、家族にすら会うことができない状態となりました。
この時の心境としては、このまま家族や友人に会えずに命を落とす可能性があるなと感じました。抗がん剤の強度が高いこともあり医師からは「この治療中に、体が耐えられなくて命を落とす可能性もある」と言われていました。そのこともあり、入院してからは走馬灯のように今までの人生が思い出されて、1日中ぼーっと過去の思い出や、これからの人生で成し遂げたかったことが頭をよぎっていました。
あとは自分はどこまで生きられるのかを真剣に考えるようになりました。自分の病気に関することを端から調べ始めます。海外の治療データや生存率や後遺症などを調べました。自分の中で将来のあらゆる可能性をできるだけ正確に把握して置きたかったのです。5年生存率はだいたい20%ということがわかりました。言い換えると100人いたら80人は5年以内に死ぬということです。またその生き残れた20%の中でも、障害や後遺症が残る人がほとんどということもわかりました。
この結果を知ったとき、皆さんならどう感じますか?
私は自分なら20%に入れると思いました。というか思うことにしました。数字だけ見たらたしかに生き残れる確率は少ないと誰がみても思いますよね。でも私の性格は少し変わっていて、逆境に立たされたとき「もしこれを乗り越えたらすごくない?」といつも自分に言い聞かせるタイプでした。実際に過去にもこのマインドで逆境を乗り越えてきた経験が何度もありました。学生時代の部活動であったり、就職活動でも周りが言う「そんなの無理だよ」とか「それはできないでしょ」という言葉を原動力に変えて成果を出してきた経験が自分の自信にもなっていました。
自分の病気の現状を把握したことで気持ちも整理できて、それと同時に自分の取るべき行動も明確になりました。一番優先すべきことを「生きる。そして病気前と変わらない生活を送る」と決めました。それによって治療内容の選択が必要なときも悩むことなくすぐに決断できましたし、病院での日常生活もだらけるのではなく、復帰した自分を想像して生活をしていけるようになっていきました。
入院して数日たつと、すごく楽観的になって入院生活を楽しんでいる自分がいました。小さいころからスポーツ漬けの日々を送っていた私は、人生でこんなにも時間を持て余したのが初めてだったので、テレビをぼーっとみたり、興味あることを勉強したり、充実した日々を過ごせるようになっていきました。しかしその一方で、テレビを見ながらなぜか急に涙が出てくることもありました。自分は精神的にも強く、なんでも平気だと思っていましたが、精神状態は不安定だったのかもしれません。新たな自分に出会うことができました。(笑)
それからの入院生活では、自分の人生設計をし始めました。もういつ終わるかわからない人生だから、いつ終わっても満足できるような人生を送りたいと強く思いました。20代で経験したいこと、成し遂げたいことをかき出し、すべてを達成するためのプランを考えたりしました。そして、人生設計をしていると自分の将来の可能性にどんどん期待が膨らんできて、生きたいという気持ちがより強くなっていきました。
日常生活にも変化が起こってきました。今までは割とぼーっと過ごしていることが多かったのですが、何事にも興味を持ち、なぜこのような仕組みなのか、より良い手段はないのかなど、あらゆることに対して好奇心をもって思考するようになりました。それからは様々な企業のビジネスの仕組みを理解したり、金融リテラシーをあげて経済の仕組みを理解し投資を実践したり、いろんな方の生き方などを学んで自分の人生に取り入れたりと、より良い人生にするために知識を吸収して実践する習慣をつくることができました。
病気になることは確かにプラスなことではないと思う。
でも、起きてしまった過去の出来事や失敗を取り消すことはできない。
残された可能性を信じて、今の自分にできることを精一杯やって生きることが人生を有意義にする一番の近道だと身をもって体感できた。だから、限られた人生の中で落ち込んでる暇なんかない。何事も楽観的に捉えて、すべての経験をプラスに変えていく行動をしていく。そんな人生を歩んでいこうと決めました。
そして同じような境遇の人の役に立ちたい。健康であることのすばらしさを伝えたい。という気持ちからSNSで発信することを決めました。もともと社会人1年目からTwitterには力を入れていたのですが、ビジネスに関する投稿から一転、闘病生活を発信することにしました。そうすると予想以上の反響があり、多くの方から応援メッセージをいただくことができました。結果として私のほうが勇気づけられてしまいました。(笑)
ここから厳しい現実を知ることになりますが、闘病生活を乗り越えていきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。