いかめしが食べたくて
イカの足は10本あると世間一般にはおもわれているが、正確にいうと、あれは足ではなくて腕なのだそうだ。
北海道の水風呂は、なんだか冷たいような気がする。
俺は、ホテルのユニットバスが嫌いなので、そんなときは、グーグルで近くの銭湯を探して、浸かりに行く。できればサウナがついているとよろしい。
北海道新幹線で、函館に行ったのだ。
夜中、ある銭湯で、水風呂に入っていた。皮膚がビリビリくるほどの冷たさに驚き、慌てて飛び出たら、タイルに足を滑らせて転びそうになった。なんとか踏ん張ったのだが、その時に、左ひざをあらぬ方に曲げてしまい、靭帯を伸ばしてしまった。旅行一日目である。
痛みは、翌日からひどくなり、片足を引きずりながら歩いた。
その日は、JR函館線の森駅へ、有名な駅弁「いかめし」を食べに行ったのだが、片足を引きずりながらいかめしを食べに訪れた人は、世界広しといえども、そうはいないであろう。
悲しいことに、JR北海道は全路線が赤字であり、その中でも、この函館線・函館~長万部間は、赤字額が約42億円ともっとも高い。
そんな路線を走る列車内で、俺はひざの痛みに耐えながら、いかめしを頬張っていた。
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