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短編小説「人生」

俺は生粋のゲーマーだ。

365日、寝ているとき以外は常にマウスやコントローラーを握るという生活を、もう十何年と続けている。

今までプレイしてきたゲームの数は、何千?何万?だろうか。
そんなのもう、数えていない。
世間的に有名な作品はもちろん、ほとんど知られていないようなマイナーな作品まですべてやりきった。

他人ひとは俺を奇異な目で見るが、そんなことはもう気にならない。
ゲームへの情熱は、俺の生きる原動力であり、他人の評価に左右されるものではないのだ。

しかし、問題もあった。
最近は新作を待つ以外に過去のやり込みしかやることがないため、退屈して過ごしていた。


そんなある日、ずっと待ち望んでいた新作のゲームが発売された。
普段はダウンロードで購入するのだが、ゲーム販売店とのコラボで限定先行アイテム特典があるらしい。

そのために、渋々だが家を出ざるを得なかった。


店には同じ目的の人が、5,6人ぐらいで列を作っていたが、無事、新作を手に入れることができた。


軽い足取りで帰り道を歩いていると、見たことのない廃れた店があった。

店のポスターには、
|世にも珍しいゲーム|
と、書かれている。

俺は吸い寄せられるように入店した。


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