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国が積極的に利用を勧めている信用保証協会の保証制度


コロナ借換保証制度は原則終了でも、国が積極的に利用を勧めている資金繰り支援施策があります。


日本政策金融公庫の融資、また信用保証協会の保証つき融資は、中小企業にとって「借りやすい融資」と言えるでしょう。


民間金融機関からプロパー融資をしてもらいにくい中小・零細企業が資金調達しやすくするために、国が定めている制度だからです。

しかし2024年4月の金融庁「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」の改正により、公庫の融資や信用保証協会の保証つき融資は、審査が厳しめになっています。


そんな中、国が積極的に利用を促している融資制度や保証制度があります。


・国が積極的に利用を勧めている制度は借りやすい?

2024年6月7日に経済産業省・金融庁・財務省から、ニュースリリース「今後の中小企業向け資金繰り支援について公表します」が公表されました。

今後の中小企業向け資金繰り支援について記載されています。

このなかに記載されている融資制度や保証制度は、「国が積極的な利用を促している」制度。

それだけに公庫も保証協会も、これらの制度の利用に関しては、無碍に断りにくくなっているようです。
そのため、比較的借りやすいのではないかと考えられます。

・借換に利用できる保証制度は2点

上記ニュースリリースには、こうあります。

民間金融機関においては、コロナ融資の返済が厳しい事業者については、コロナ借換保証制度は原則終了するものの、例えば、100%保証を100%保証で借換可能とする小口零細企業保証や、認定経営革新等支援機関(金融機関等)の支援を条件に保証料を低減する経営力強化保証(80%保証)等を活用し、コロナ融資の借換等を通じて、資金繰り支援を行うこと。


つまり国は、「小口零細企業保証」や「経営力強化保証」を積極的に利用するように金融機関に要請しているのです。

①小口零細企業保証制度

小口零細企業保証制度とは、次のとおりです。

責任共有制度の実施に伴い、金融環境の変化による影響を受けやすい小規模企業者を対象として創設された責任共有制度対象除外となる保証制度



・小口零細企業保証制度の概要

● 保証限度額:2,000万円(既存の信用保証付融資との合計で2,000万円の範囲内)

● 保証期間: 10年以内(据置期間1年以内)など(各信用保証協会所定)

● 保証料率:0.5%~2.2%など(各信用保証協会所定、経営状況によって異なる)

● 保証割合:100%保証

● 担保:原則として無担保

● 対象企業者: 小規模企業者


②経営力強化保証制度

経営力強化保証制度とは、以下のとおりです。

中小企業者の資金調達にあたって、金融機関が認定経営革新等支援機関と連携して中小企業者の事業計画の策定支援や継続的な経営支援を行い、中小企業者の経営力の強化を図ることを目的として創設された制度

金融機関および認定経営革新等支援機関の支援を受けつつ、自ら事業計画の策定ならびに計画の実行および金融機関への当該計画の進捗報告を行う中小企業者が利用できます。

・経営力強化保証制度の概要

●保証限度額:2億8千万円(普通保証 2億円以内、無担保保証 8千万円以内)

●保証割合:80%

●保証期間:10年(既往借入金を借り換える場合)

●据置期間:1 年以内

●貸付金利:金融機関所定利率

●保証料率:
責任共有制度の対象の場合   0.45% ~ 1.75%
責任共有制度の対象除外の場合 0.5% ~ 2%

●申込み方法:金融機関経由


・経営改善・再生支援に資する保証制度

また上記ニュースリリースには、こうあります。

コロナ禍で債務が積み上がり、事業再生のニーズが高まっていることを踏まえ、経営改善・再生支援に資する資金繰り支援策の活用を検討すること。

具体的には、本年12月末まで期限を延長したコロナ経営改善サポート保証や日本政策金融公庫等のコロナ資本性劣後ローンの活用を検討すること。


つまり国は、経営改善や再生支援について、「コロナ経営改善サポート保証」を積極的に利用するように金融機関に要請しているのです。

・コロナ経営改善サポート保証制度

コロナ経営改善サポート保証制度とは、以下のとおりです。

経営サポート会議や中小企業活性化協議会等の支援により作成した再生計画等に基づき、中小企業者が事業再生を実行するために必要な資金の借入を保証するために必要な資金を保証協会の保証つき制度で支援し、経営改善・事業再生の取組を後押しする制度


コロナ経営改善サポート保証制度の概要

●保証限度額 2億8,000万円(⼀般の普通・無担保保証とは別枠)

●保証割合 責任共有保証(80%保証)
ただし100%保証およびコロナ禍のセーフティネット保証5号からの借換については100%保証。

●保証料率 0.2%

●⾦利 ⾦融機関所定

●保証期間 15年以内

●据置期間 5年以内

今、以下の目的が伴っていなければ、金融機関は融資に前向きに対応しようとはしてくれません。

「今回、融資による資金調達を行うことで、経営改善に取り組む原資とする」

なぜなら金融庁の監督指針で、「安易な融資を行わない」「融資を行う際は、経営改善につながるものかどうかについて検討すること」とされているからです。

つまり「資金繰りが苦しいから融資してほしい」では、金融機関も対応しにくい。

「この融資をしてもらうことで、新たな取り組みを行い、売上や収益を増加させる」という目的で申し込むことが求められます。

もちろん経営者は、そんな金融機関の融資方針の変化を知りません。

だからこそ多くの経営者から士業・コンサルタントに、「金融機関は融資に厳しくなった」という相談が増えているのです。

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