靴下
人は、僕たちを夫婦みたいだと言う。
着かず離れずの時間がそうさせたとしたならば、青春は罪深い。
深く根を張った木はそこからは動けない。
時間と共にお互いを労うように並んだ木と葉を交わらせる。
近頃は、心の人と頼りあって生きていきたいと思うことが増えた。
お金もなかった頃に描いた夢への道が、儚くも見え始めたからだ。
今を見れば不足はない。
満ち足りていて、余ってしまうくらいの喜びがある。
必ず来る未来で怖いことは、今ではなくなることくらいだ。
繰り返してきた場面を化石にして閉じ込められたなら、それはきっと素敵なことなんだろうと、浅はかな夢を見る時もある。
じっとしていればいいものを、僕の定まらない心拍数で揺すり続けている。
僕は正直だから、一つ残らずあなたに見せているはず。
いつも笑ってくれるから、つい話してしまう。
問いかけど問いかけど、青い心は答えを出そうとしないこともよく分かる。
頭では正しいと解っていても、先延ばしにできるならば誤魔化していたいんだろう。
僕も、ロージーもアレックスも同じ。
一握の勇気と、後で悔やまないためのきっかけを待っている。
僕たちは未熟だと知っているから、それは2人で気にしないでいよう。
あなたはよく靴下を無くす。
もう片方はどこかと叫び声を上げながら家中を探す。
でも両方を無くした時にはきっと気づかない。
物事の大半は、無くなって初めて見えるようにできてる。
穴が空いたなら、僕は縫うことができる。
色があせてしまったならば、新しい色で染めてしまおう。
歌は歌われることで初めて歌になって、服は着られて初めて服になる。
それだけで僕たちが一緒にいる理由だと思っている。
これが足枷なって欲しくはないから、これ以上は言わないようにする。
何かが溢れそうになったなら、電話をかけておいで。
僕は少し散歩をするけど、いつもの公園には来ないで欲しい。
メロドラマに落ちぶれたくはないからさ。
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