分野横断ネットワークの人、淇園
『皆川淇園とその仲間たち』 第12回
今回は、現代のお話し。最近行政の文化課の方と伝統文化の振興についてお話する機会がありました。日本の文化は元来、今でいう産業、芸術、文学といった分野ごとに区別されることなく人々の中にあったからこそ日本独自のユニークな文化が生まれてきたのでは、という話の中で、 行政としては産業課、文化課と分かれてしまっているので、そういう支援の仕方は難しいということでした。
行政の枠組みとしての可否はともかく、今こそ、民間で皆川淇園が築いたような分野横断的なサロン、人的・知的ネットワークを作り上げていくことが必要なんだと改めて考えさせられました。
国の文化政策ももちろん大切ですが、淇園だって幕府の支援を元に学問所・弘道館を設立した訳ではありません。私たちひとりひとりが持っている知恵と技術を持ち寄り、ゆるやかなネットワークとして繋げていくことが、淇園の学問所跡で「有斐斎弘道館」として活動するわたしたちに求められているのかもしれません。
(勝治 真美)
【2015.1.15 嵯峨野文化通信 第215号】