言語研究で捉えた、実字虚字助字の構造
『皆川淇園とその仲間たち』 第9回
皆川淇園は彼の唱えた「開物学」にもみられるように、言語研究においても大きな功績をのこしました。言語を構造的に捉え、 実字、虚字、助字、という三つに分類しそれぞれの役割について考察しています。
実字とは、具体的な何かを表す字(例えば犬・川・人など)、虚字とは実在の 物事を表さない字(例えば走、生、高、低など。主に動詞・形容詞・副詞)、助字は実字、虚字を助ける字で漢文にみられる也・焉・哉・乎・於・之・而などのこと。
特に助字については『助字詳解』という著作からもその研究を知ることができます。現代でも淇園についての研究は中国語圏でさかんで、有斐斉弘道館にも中国、台湾からの研究者が多く訪れます。古典中国語から言葉の意味を扱う「開物学」という新しい学問へと淇園の研究は広がっていきました。先日の台湾からの研究者の訪問は、日本が漢字文化圏であることを改めて思い起こさせてくれました。
(勝治 真美)
【2014.10.15 嵯峨野文化通信 第209号】