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二宮金次郎命日の例大祭に初めて参加して ―地域の伝統が教えてくれたこと―



はじめに

「今年は参加してみよう」
そう決意して臨んだ11月17日の例大祭。

二宮金次郎さんの命日に行われるこの大切な行事に、私は今回初めて参加することになりました。
私の住む栃木県真岡市は、実は二宮金次郎さんの足跡が今も色濃く残る土地なんです。
今日は、その例大祭での経験と、そこで感じた様々な思いをお話ししたいと思います。

真岡市と二宮金次郎のつながり

みなさんは二宮金次郎さんと聞いて、どんなイメージを持っていますか?

たいていの方は、薪を背負いながら本を読む少年の姿を思い浮かべるのではないでしょうか。
確かにその姿は広く知られていますが、実はこれは金次郎さんの生涯の一場面を象徴的に表現したものなんです。

実際の金次郎さんの真価は、大人になってからの活動にあります。
下野の国(現在の栃木県)での農村復興、それも見事なV字回復を成し遂げた手腕にこそ、注目すべきポイントがあるんです。

私の住む真岡市は、その金次郎さんが「報徳仕法」という独自の復興方法を完成させた地なんです。
のちにこの功績が認められ、全国の小学校に設置された銅像や1円札の肖像画のモデルとなったわけです。

桜町二宮神社と例大祭について

金次郎さんは、私のお寺である蓮城院のすぐ近くにある桜町陣屋に住んでいました。
陣屋というのは今でいう役所の出張所のような場所です。
ここを拠点に、地域の農村を回って復興に尽力したんですね。

その功績を永く後世に伝えようと、昭和15年に桜町二宮神社が建立されました。そして毎年11月17日の命日には例大祭が開催されています。
これは単なる追悼行事ではありません。

金次郎さんの遺徳を偲ぶとともに、五穀豊穣への感謝を捧げ、現在の農業活動の報告も行われる大切な場なんです。

初参加で感じたこと

例大祭で特に印象的だったのは、金次郎さんの説いた「一円融合」という考え方が、今もしっかりと受け継がれているということです。
「一円融合」、なんだか難しい言葉に聞こえますよね。
でも、これは要するに「みんなで力を合わせる」という意味なんです。

たとえば、例大祭の準備や運営は、地域の方々が持ち回りで担当します。
会場の掃除や来賓のおもてなし、進行の段取りなど、すべてを地域の人たちで協力して行うんです。
これこそまさに、金次郎さんの教えが形になった姿だと感じました。

直面する課題

ただ、正直に申し上げると、気がかりな点もありました。

例大祭の参加者のほとんどが50歳、60歳以上の方々で、若い世代、特に子供たちの姿が全く見られなかったんです。
30代、40代の方も数えるほどしかいませんでした。

これは単なる世代間格差の問題ではありません。
地域の伝統や金次郎さんの教えを次世代に伝えていくという観点から見ると、とても深刻な課題だと感じています。

これからの展望

この状況を目の当たりにして、蓮城院の副住職として、私にできることは何だろうと考えました。
そして、これからは積極的に例大祭に関わり、若い世代への継承に努めていこうと心に誓いました。

具体的には、まず地域の子どもたちに向けて、金次郎さんの物語や教えを分かりやすく伝える機会を作りたいと考えています。
また、SNSなどを活用して、若い世代にも例大祭の意義や魅力を発信していければと思います。

読者の皆様へのメッセージ

皆様の地域にも、きっと大切に受け継がれてきた伝統行事があることでしょう。
「自分には関係ない」「面倒くさそう」と思われるかもしれません。
実は私も、そんな風に考えていた一人でした。

でも、実際に参加してみると、地域の絆や伝統を守ることの大切さが、はっきりと見えてきたんです。
それは、コミュニティの力であり、先人たちの知恵であり、次世代に伝えるべき価値なのかもしれません。

より良い未来のために、ぜひ皆様の地域の伝統行事にも目を向けてみませんか?
最初は見学だけでも構いません。
そこから何か感じるものがあれば、少しずつ関わりを持っていけばいいと思うんです。

きっと、新しい発見や気づきがあるはずです。
そして、それが地域の未来を作る小さな一歩になるのではないでしょうか。

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