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【よいエッセイの3条件】トホホな体験はエッセイで輝く!(2015年7月号特集)


よいエッセイの3条件

エッセイの起源はフランスの哲学者モンテーニュの『エセー』と言われています。「エセー」には試論という意味があり、欧米では綿密な思索に基づいた論文という意味で使われます。
一方、随筆の起源は、『エセー』より600年も前、清少納言の『枕草子』で、こちらは思うことを気ままにつづったもの。

エッセイと随筆(随想)は同じものですが、一般に日本でエッセイと呼ぶときは、随筆より広い範囲で使われることが多いです。
このエッセイについて、よいエッセイの条件とは何か、日本エッセイスト・クラブに伺いました。

会長の村尾清一さんは、よい文章の条件も人それぞれとしたうえで、以下の3つを挙げてくれました。

一つ目は「私」。他人のことを書くのではなく、私自身のことを書く。これはモンテーニュもルソーも言っています。

二つ目は「自由で勝手気ままであること」。随筆、随想の「随」という字は、気随気ままの「随」。起承転結など文章を書く法則にはとらわれず、自由に勝手気ままに書いたもの。

三つ目は「面白いこと」。面白いとは、辞書的に言うと目の前が明るくなることで、目からうろこが落ちた状態。新しい発見や気づきがあって、目の前が明るくなったような気になる。これが面白いということです。

では、どうすれば面白くなるか。村尾会長はポイントを三つ挙げてくれました。

一つは「短いこと」。これは正岡子規も言っています。
もう一つは、哲学的なことや難解なことなど「難しいことはやさしく書くこと」、逆に「やさしいことは深く重く書くこと」です。
最後は、「人が考えている常識とは逆のことを書くこと」。へえ、そうなんだ、と思わせること。

そうしたものは、どうしたら書けるでしょうか。

『英語辞典』を作ったイギリスのサミュエル・ジョンソンは、「エッセイは専門家が書いたものが真に面白い」と言っています。
ごく普通の会社員や主婦の方は専門家でも学者でもありませんが、誰にでも人一倍詳しいという得意分野はあるもの。面白いエッセイを書くには、そうした専門的な世界を持っていると有利です。

トホホな日をお金にかえる錬金術

1.最高賞金は100万円。原稿料は、1枚25万円?! これは効率がいい!

エッセイを書く前に、エッセイ公募の賞金額を確かめてみましょう。最高賞金額は、「約束(プロミス)エッセー大賞」の100万円でした。
規定枚数は4枚以内で、原稿料は1枚につき25万円。ちょっとこれは燃えますね!

2.約半数のエッセイが400字詰3枚以下! ビギナーにも狙い目!

エッセイ公募で求められる長さは、短ければ400字、長くても400字詰原稿用紙20枚で、約半数は3枚以下です。3枚なら小学生の宿題並みの短さ。それだけに要領よくまとめないといけませんが、ビギナーでも楽々チャレンジできます。

3.約6割が負の体験。悲惨であればあるほどインパクトも大きい?

エッセイの題材は半数以上が負の体験でした。時には思い出すのもつらい体験をすることもありますが、書くうえでは、そういう体験がチャンスを生みます!

4.トホホな体験を書いて読者を気持ちよくさせる。それがトホホ変換術

失敗談や不幸話はそれだけで面白いもの。しかし、ただトホホな話を書けばいいわけではありません。つらかった、悲しかったという話を書きながら、最終的には読者を気持ちよくさせる、読んで得した気にさせる。それがコツです。
トホホな題材をまんま書いてしまったトホホな失敗例

  1. 読者を嫌な気持ちにさせる

  2. 不幸自慢になっている

  3. だから何? と思われる

  4. 読んで得した気がしない

  5. 未来がなく救いもない

実は賞金だけじゃない!エッセイを書く効用

賞金は書くきっかけにもなりますし、書くモチベーションも高めますが、それだけが目的なら、お金を稼ぐ方法はほかにいくらでもあります。なのに、エッセイを書いて応募する人が増えているのは、そこにさまざまな効用、副産物があるからです。

書いているうちに、私こんなこと考えてたんだと思ったりして、自分を発見できます。

 

書く気持ちでいると、日常のなんでもないことに気づいたりして、毎日が新鮮なんですよね。

 

書きたいというのは人間の本能のようなもの。書くと精神的に満たされます。

 

入選して「すごいね」と言われたとき、なんだか自分の存在が認められたようでうれしかったです。

 

親しい人とおしゃべりすると気分が晴れますが、書いても同じ効果があるようです。すっきりします。

 

生きた証として、雑文集として出版するのが夢なんです。

 

スポーツで言うゾーンに入った感じ。賞金という獲物に向かって集中するあの感じがたまりません。

 

(コメントは本誌掲載の投稿から抜粋したものです)

特集:エッセイでトホホな日をお金にかえる!
公開全文はこちらから!

※本記事は2015年7月号に掲載した記事を再掲載したものです。

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