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「デッデッデー♪デッデデデー」が使われている曲・その1「アメリカ編」

素晴らしいリズムの話をしたい。
「デッデッデー♪デッデデデー」
良くご存知だと思う。
音楽にそんな興味もないって程度の人でも知ってる。世界一有名なリズムパターンのひとつ。心がウキウキ踊りだす魅惑のリズム。これだけで世界がハッピーになる魔法のリズム。

「デッデッデー♪デッデデデー」で最初にヒットしたのは、シュープリームスの名曲"You Can't Hurry Love"(『恋はあせらず』)と言われている。その後、「デッデッデー♪デッデデデー」は数多くの楽曲で採用されるようになる。
ものすごく有名なので、聴けばすぐに「おー、これね」と思うはず。まずはお聴きください。

素晴らしき「デッデッデー♪デッデデデー」である。2拍目と4拍目にギターが「ンジャッ!ンジャ!」と鳴らすところも実にキュートでカッコいい。イントロだけで心が鷲掴みになる。

基本情報
The Supremes / You Can't Hurry Love
Released : July 25, 1966
Recorded : June 11 and July 5, 1966
Label : Motown
Songwriters : Holland–Dozier–Holland

1966年7月に発表され全米ナンバーワンに輝いている。モータウンレーベルが生んだ偉大なヒット曲のひとつ。2017年にビルボードが発表した「100 Greatest Girl Group Songs of All Time」の第19位に入っている。

長年、このベースはジェームス・ジェマーソンという有名なベーシストが弾いていると思われていたが、近年になってキャロル・ケイという白人女性が弾いていることが明らかになっている。

この曲そのもののカバーバージョンも非常に多い。個人的にはフィル・コリンズのバージョンが好き。イギリス人のモータウン愛を象徴するようなカバーだと思う。PVも楽しい。

しかし、「デッデッデー♪デッデデデー」がなんでこんなに心を楽しませるのか不思議だ。イントロだけで楽しくなってしまう。音楽の魔力、リズムの魔法としか言いようがない。

オタクのみんなは「デッデッデー♪デッデデデー」ではなく「てってってー」のほうが馴染み深いと思う。アイドルマスターの「town」ね。曲名は「town」。「てってってー」は愛称。

ネットユーザーならどっかで聴いたことがあると思う。
アイドルマスターを例に出すまでもなく、このリズムパターンはめちゃくちゃ多くの曲で使われている。

自分は「デッデッデー♪デッデデデー」についてはオーソリティ()なので、ここから様々な「デッデッデー♪デッデデデー」をご紹介したいと思う。とにかく世界中で使われている。日本のアイドルやアニソンも「デッデッデー♪デッデデデー」が大好き。

あまりに多いので何回かに分けて投稿する。マジでゲシュタルト崩壊するので全部一気に聴かないほうがいいと思う。夢に「デッデッデー♪デッデデデー」が出てくるようになる。

Maretha & The Vandellas / I'm Ready For Love

Released : Octorber 6, 1966
Recorded : 1966
Label : Gordy
Songwriters : Holland–Dozier–Holland

「デッデッデー♪デッデデデー」を紹介するときに必ず引き合いに出される曲のひとつ。要するに作曲家が同じなのである。"You Can't Hurry Love"が大ヒットしたので、似た曲を作ったのだ。全米シングルチャート第9位まで上昇している。
マーサ&ザ・ヴァンデラスはシュープリームスと同じ女性3人組のコーラスグループで、"Dancing In The Street"など数多くのヒット曲がある。今でも「懐かしのソウル」だの「60年代ヒット曲集」といったコンピレーションアルバムに曲が収録されている。
シュープリームスはガーリーな印象があるが、こちらはもっとパワフルで、ソウルの香りも豊かに感じられる。

Donny Osmond / C'mon Marianne

Released : April 3, 1976
Recorded : 1976
Label : Polydor
Songwriters : L. Russell Brown, Raymond Bloodworth

元々はフォー・シーズンズが1967年に発表した楽曲である。フォー・シーズンズのバージョンは全米第9位のヒット。
カバーのほうをご紹介したのは単なる好みである。こっちを最初に聴いたからというのが大きいと思う。
ダニー・オズモンドは「オズモンド・ブラザーズ」という兄弟のアイドルグループのメンバーで、子役俳優として人気があった人。グループを抜けてからも何曲かヒットを出している。
このカバーは妹のマリーとのデュエットによるヒット曲を収めたアルバムの1曲目として収録されていて、シングルとしても全米38位を記録している。
オズモンド・ブラザーズは日本のジャニーズ的なグループ。"One Bad Apple" や "Yo Yo" などのヒット曲がある。

The Temptations / All I Need

Released : April 13, 1967
Recorded : 1967
Label : Gordy
Songwriters :  Frank Wilson, Eddie Holland, R. Dean Taylor

作曲者として名前を連ねているEddie Hollandは、"You Can't Hurry Love"を作った作曲家チームの一員である。全米第8位のヒット曲。柳の下にドジョウが何匹もいたのである。
テンプテーションズといえば、「ゲット・レディ」や「マイ・ガール」などの有名な大ヒットナンバーをいくつも出している名グループ。この曲は1967年発表で、「ゲット・レディ」の翌年。
2022年の今も現役で活動しているグループである。

Daryl Hall & John Oates / Maneater

Released : October 1982
Recorded  : December 1981
Label : RCA
Songwriters : Sara Allen,Daryl Hall, John Oates 

これまで「デッデッデー♪デッデッデデー」といえばガーリーでポップな明るい楽曲が多かったが、この曲はマイナーキーで作られている。マイナーのデッデッデーでは最初の大ヒット曲だと思う。ホール&オーツ最後の全米ナンバーワンソング。
ダリル・ホールによると、当初ジョン・オーツが作った楽想はレゲエで、後に「モータウン調にしよう」と思いついてソングライターチームの一員の女性に相談しながらこの曲調に落ち着いたらしい。2拍・4拍に入るギターのカッティングは往年の"You Can't Hurry Love"を受け継いでいることを感じさせる。
サビの「Oh, oh, here she come (watch out)」っていうのはジョン・オーツが良く使うメロディーラインで、これを活かした結果、新しいデッデッデデーの境地が誕生したのである。

Tell Her About It / Billy Joel

Released : August 8, 1983
Recorded : Spring, 1983
Label : Columbia
Songwriter :  Billy Joel

最高の「デッデッデー♪デッデデデー」である。大好きな曲。
"Just the Way You Are""Honesty"などの大ヒット曲を出したビリー・ジョエルが、1983年に「アメリカのポピュラー音楽に捧げる」という意味で出したアルバム「イノセント・マン」からのシングルカット。全米第1位。この曲は「シュープリームスやテンプテーションズなどのモータウンのミュージシャン」に捧げられている。
気持ちいいくらいに正しい「デッデッデー♪デッデデデー」で、切ないコード進行もツボを抑えている。
"You Can't Hurry Love"の歌詞は「私にママがこう言った。恋はあせっちゃダメよって」という内容なのだが、こちらは少年に話しかけるという設定で「あの娘に伝えなよキミの気持ちを。いつまでも待っちゃくれないぜ」という内容になっていて、一対になっているところもシャレてる。

Hang Up The Phone / Annie Golden

Released : 1984
Recorded : 1984
Label : MCA Records
Songwriters :  Ira Newborn, Pattie Brooks

1984年の映画"Sixteen Candles"(邦題『すてきな片想い』)のサウンドトラックに収められた楽曲。ジョン・ヒューズ監督のデビュー作で、青春コメディ映画の名作として知られる。
歌っているアニー・ゴールデンという人は、元々パンクロックをやっていたが、その後舞台女優として成功している。
この曲はあまり知名度は高くないがツボを抑えたコード進行とメロディが非常にバランスのいいポップスで、日本のガールスバンド「The Sugar Nuts」がカバーしている。(後に掲載するプレイリストにはそちらを入れてある)
日本のアイドルやアニソンで「デッデッデー♪デッデデデー」は大流行するんだけど、基本的な作り方の原型のようなものがこの曲に現れていると思う。

Bad Boy / Miami Sound Machine

Released : August 30, 1985
Label : Epic, CBS Discos International
Songwriters :  Lawrence Dermer, Joe Galdo, Rafael Vigil

1985年に全米8位を記録したヒット曲。ボーカルのグロリア・エステファンは日本でも人気が高い。キューバ出身歌手として確固たる地位にいる人。何かと話題には事欠かない人物である。
この曲は「デッデッデー♪」を強く打ち出してはいないが、このリズムの新しいイメージを作るのに成功している。

Sports & Wine / Ben Folds Five

Released : August 8, 1985
Label :  Passenger/Caroline
Songwriter : Benjamin Scott Folds

日本でも人気の高いピアノトリオロックバンド「ベン・フォールズ・ファイブ」のファーストアルバムからのシングル曲。単に明るいだけでない「デッデッデー♪」というのが開発され成功を収めていることが分かる。当初のガールズポップのトレードマーク的なイメージからの脱却が図られている。
この曲が収められたファーストアルバムは80年代のロックでも屈指の名盤だと思う。日本でもファンが多い。

Part-Time Lover / Stevie Wonder

Released : August 24, 1985
Recorded : Summer, 1985
Label :  Tamla
Songwriter :   Stevie Wonder

スティービー・ワンダーが1985年に発表した全米ナンバーワンソングである。世界的な大ヒット" I Just Called to Say I Love You"の次のシングル。
この曲はマイナーキーで作られていて、ホール&オーツが『マンイーター』で提示した「デッデッデー♪」の新しい境地をさらに開いたと言える。明るくポップなダンスナンバーのリズムという地位を超えて今に受け継がれることとなる。
スティービー・ワンダーはこの後、ディオンヌ・ワーウィックなどとのユニットでヒットを出すことになるが、ソロとしてのナンバーワンはこの曲が最後で、それを思うと感慨深いものがある。

Be With You / The Bangles

Released : 1989
Recorded : 1988
Label : CBS (United Kingdom)
Songwriters : Walker Igleheart, Debbi Peterson

世界的な大ヒットになった"Eternal Flame"の直後のシングル曲。全米30位。
プリンスなどからの楽曲提供でも知られるが、この曲はドラマーが外部の作曲家と作った曲で、自分でリードボーカルも務めている。バンドは2022年も現役で活動しており、「ガールスバンド」のお手本としてお馴染み。

Green Day / Stray Heart

Released : October 15, 2012
Recorded : February 14–June 26, 2012
Label : RepriseWarner Bros.
Songwriters : Billie Joe Armstrong, Mike Dirnt, Tré Cool

グリーン・デイが2012年に発表したアルバム『ドス!』の7曲目。シングルカットもされて、イギリスロックチャートの16位にまで上がっている。グリーン・デイはドラムとベースのキリッとしたリズムが魅力。この曲でもリズム隊の良さが活かされていて、パンクでも「デッデッデー♪デッデデデー」ができるという可能性を開いたと言って良いと思う。切ないコード進行もリズムとマッチしている。

Amazon Musicでプレイリストも作った。Hi-STANDARDなどの原曲カバーを含めて15曲。全部「デッデッデー♪デッデデデー」。我ながら狂気を感じる。軽く後悔しないでもないが、やってしまったものは仕方ない。
引き続きヨーロッパ編、邦楽、邦楽アイドル、アニソンと続ける予定である。

#私の勝負曲

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