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真夜中-W
無目的な読書。
とめどなく湧いてくる本を読みたいという欲求が付きまとう。一冊読んだらまた一冊。次の本を読んでいる最中にまた新しい本を知る。読んでみたいと思う、いや、読まないとと思う。予定があったり、体調的に読めない日もある。そんな日には欲求不満になる。もどかしいというか、本来読める時間に読めないこと、1日を無駄にしているような気分になる。それでいいのか、と思う。
私はいったい何のために本を読んでいるのだろう。思う。
小説もエッセイも哲学も科学も歴史も知れば知るほど知らないことが増えていき、積み重なった知識は新たな知識を求めるように触手を伸ばしていく細胞のように私はただただその細胞に操られる箱のように本を手に取り読む。そんな感覚がぴったりくるような気分になったりもする。
際限のない地底に潜り込んでいるような、海の中でひたすら貝を拾い集めているような、空の星を数え続けるような途方もなさを感じるのだけれど、新しいものを読んだとき、文章の美しさにぐっときたり、思ってもみなかった分野の知識同士が繋がったときの世界の秘密を知ったような感覚、同じ作家の作品を読み続けることで上がる作品世界の解像度、きっとそんな少しずつの充実感が醍醐味で、私は本を読むことをやめられない。好奇心も興奮も知識欲もきっとありとあらゆる感情を本から求めているのだ。
人生にこんな季節があってもいい。
思う存分、好きなだけ、飽きるまで、誇れるほどに無目的に本を読む。