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思っていることは言葉にしないと伝わらないよ(『三国志』荀彧と空箱)
ふと、荀彧(じゅんいく)の空箱のお話を思い出していました。
荀彧は三国志に出てくる優秀な参謀で、曹操の右腕として活躍した人物です。
広い人脈も持っており、彼が推挙した人物は誰もが有能だったため、曹操も絶賛しています。
しかし、当時滅亡寸前の後漢王朝の扱いをめぐって、曹操と荀彧の間に意見の違いが出てきてしまいます。
次第に少しずつギクシャクしていき、距離ができてしまうんですね。
そんなある日のこと。
南方に出陣している曹操に呼ばれ、荀彧は曹操の元へ向かいます。
寿春(じゅしゅん)という街に到着すると、荀彧の元へ曹操からの贈り物が届きました。
荀彧が箱を開けてみると、何故か中身は空っぽ。
それを見て何かを悟った荀彧は、毒を飲んで死んでしまうのでした。
というお話。
古代中国の知識人にとっては古典を覚えているのは当たり前で、とある言葉やイメージから古典の内容を連想して使いこなせるかどうかが重視されていました。
そのため、中国古典には比喩表現や例え話が多かったりします。
荀彧も空箱から「お前はもう不要だ」という曹操の意志を連想し、服毒したと考えられています。(諸説あり)
ですが、私はいまいちしっくりきません。
曹操が主役の『興亡三国志』が大好きなせいか、曹操が解雇通牒の代わりにわざわざ空箱を贈るイメージができないんですよね。
実際、曹操と荀彧は長年支えあってきた仲ですし、曹操は何度も荀彧を絶賛しています。
多少ギクシャクしていたとは言っても、今更そんな手の込んだネガティブな贈り物をするのかな・・と思うのです。
当時の荀彧は病気を患っていたとも聞きます。
長年のパートナーを心配した曹操が、空箱に見舞いと仲直りの意味を込めて贈ったのでは、と思ってしまうのです。
「私はこのお弁当のように器は大きいが中身はスカスカなのさ」
「だから荀彧の知謀で中身を埋めてほしい」
「元気になってこれからも支えてくれ」
みたいなことを伝えようとしたのではないでしょうか?
完全に私の願望ですね。
ですが、曹操の思いも虚しく、荀彧は毒を飲んでしまいます。
荀彧さんは真面目な人なので、曹操と後漢王朝との板挟みで精神的に追い詰められていたのかもしれません。
病気にかかっていたこともあり、悪い方向に考えてしまって思い余って毒を飲んでしまったような気がします。
と、そんな感じで荀彧の空箱のお話を思い出していました。
まぁ、何が言いたいのかというと、思いは言葉にしないと相手に伝わらないということ。
特に相手が精神的に疲れているときは要注意です。
私もそうでしたが、メンタルが疲弊しているときは何でもネガティブに捉えてしまいます。
なので、「これで伝わるだろう」と考えて、言葉にすることを怠ってはいけません。
逆に言えば、相手から何も言われていないのに、「〇〇しないとだめだ」「××さん、絶対怒っている」などと思い込んでしまうのもいけません。
重いは言葉にしないと正しく伝わりません。
荀彧と曹操の別れも、もしかしたら「あの人ならこう言うだろう」「あいつならわかってくれるだろう」という慢心が生んだものなのかもしれません。
「私は自分の思いをきちんと言葉にしよう」
そんなことを思いながら、お弁当を食べる日曜のお昼でした。
三国志からは人生に大切なことをたくさん学ぶことができます。
「読んでみようかな」という方は、こちらの記事もご覧くださいませ。
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![凪平コウ@古典・歴史愛好家](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/149833019/profile_b31cd809fa88fc796010c1f8457e83cd.jpg?width=600&crop=1:1,smart)