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詩経

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『詩経』に関する記事をまとめています。
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#大人の学び

重要で難しい問題だからこそ、早めに片付けることが大事(『詩経』小雅・魚麗篇)

今回取り上げるのは『詩経』小雅・魚麗篇からの言葉。 苦心しながら取り組むことに始まり、心穏やかな状態で終わる、という意味。 名君とされる周公の政治を称えた詩になります。 つまり、重要な問題は最初に片付けてしまうことが大事、ということですね。 周公とは、孔子も憧れた大政治家である周公旦(しゅうこうたん)のことです。 周公は兄の武王を補佐して殷王朝を打倒、兄の死後はその子である成王の摂政として活躍しました。 まさしく周王朝の基礎を作り上げた人物です。 孔子はそんな周

「他山の石」の誤用を他山の石として、言葉は正しく使っていきたい(『詩経』小雅・鶴鳴篇)

今回取り上げるのは『詩経』小雅・鶴鳴篇からの言葉。 他国の山の石であっても、玉を磨くのに使うことができる、という意味。 もともとは、国を治める方策について語った言葉です。 つまり、他国の優秀な人間は、たとえ身分が低くても積極的に登用すべきだ、ということですね。 今ではそれが転じて、他人の誤った言動を自分の修養に役立てる、といった意味になっています。 いわゆる「他山の石」というやつですね。 現代でも時々使う慣用句だと思います。 そういえば、ネットで見たのか、直接耳

自分の言葉に責任を持って行動できていますか?(『詩経』正月篇)

今回取り上げるのは『詩経』正月篇からの言葉。 人々は皆、「自分は優れている」「自分は行いは正しい」などと言っているが、誰がカラスのオスとメスを区別することができるだろうか、という意味。 カラスを見てオスメスを判別することができる方はいらっしゃいますか? 少なくとも私はできません。 仮にカラスと意思疎通ができて、「ボクはオスだよ」と教えてくれたとしても、私にはそれが本当かどうか見分けがつかないと思います。 どのカラスも(私にとっては)見かけ上は同じカラスに見えるからで

飲み会は大事かもしれないけれど、自分の健康の方がもっと大事(『詩経』小雅・鹿鳴篇)

今回取り上げるのは『詩経』小雅・鹿鳴篇からの言葉。 鹿が互いに呼び合って、仲良く野のヨモギを食べている、という意味。 「呦呦」というのは鹿の鳴き声のこと。 人々が大事な人と互いに談笑しながら楽しく飲食する様を表した例えです。 この鹿鳴篇は、天子が臣下や客を招いてご馳走を振る舞う様子を歌っています。 天子とは古代中国における支配者のことで、天帝から地上の支配を任された王様のような人のことです。 有名な「鹿鳴館」もこの篇が名前の由来になっています。 各国の賓客を招い

VUCA時代に求められるスキルは中国古典で学ぼう(『詩経』邶風・匏有苦葉篇)

今回取り上げるのは『詩経』邶風・匏有苦葉篇からの言葉。 川が深いときは衣全体をまくり、川が浅いときは裾だけをまくって渡る、という意味。 歴史や時代の流れは川に例えられますが、川を渡るのにも色々な方法があります。 深ければ服が濡れないように気をつけなければなりませんし、浅ければ靴を脱いで裾をまくるだけで良いかもしれません。 いつの時代も、その時々の流れに応じた在り方というものがあります。 つまり、世の中の変化に合わせて適切な態度を取りなさい、ということですね。 今の